57*アンナの出番?
【召喚獣】
高位な魔術師なら召喚獣を従えている可能性が大きい。
万が一、己の策略が暴かれてそれを使うようなことがあればその場で皇帝の命を奪おうとするかも知れない。アンナは考えていた。
そうなった場合どう対処したら良いかしら。
魔力で対抗して抑え付ける他ない。犯人の召喚獣であれば消滅させなくてはならないわね。その力を持つのは・・・
王家の者は魔力が高いと言われているからデオドール殿下も力はある筈だけど、やっぱり王子二人に他国で戦わせる訳にはいかないわよね。そうなると、
う~ん。
《アンナ、アンタがやっちゃえばいいのよ》
突然ビオラから念話が届く。
《びっくりした―》
《うふふ、子供の頃散々実践もやって来たじゃない》
《それはそうだけど。。。》
《召喚獣が出て来てアタシやフォルヴァが出る訳にはいなないでしょう?》
確かにそうだ。
《バージルと相談してみるわ》
アンナは直ぐにバージルに召喚獣の可能性を示唆し、もし戦うなら自分がやりたいと訴えた。彼は最初反対したが、ビオラも交えて話し合った結果アンナしかいないという結論になり許しを得る為にデオドールの元へ向ったのでした。
「デオドール殿下」
「どうしたのアンナちゃん」
「折り入ってご相談したい事が」
「ん?バージルまで一緒にと云う事は難しい話かな」
話し合った来た内容を事細かに説明する。
「ふーん、それで魔術大会で万が一相手が召喚獣を出して来たら悪い奴を懲らしめたいって事?」
「ええ、ナリス様へ術を掛けた犯人がいたとしたら召喚獣諸共潰さないと駄目だと思いまして」
「それを君が?」
「バージル様より私の方が適任だと思うのです。私の魔力は国内でも非公開になっていますから相手も油断すると思います。どうかナリス様とサミュエル皇帝の為に魔力を使う事をお許し願いたいのです」
デオドールはソファーに背を預け暫く考えていた。
「兄上」
バージルが何か言おうとするとそれを遮るようにデオドールが沈黙を破った。
「いいんじゃない、人助けの為でしょう。それに国内でも秘密にしていたのは婚姻までアンナちゃんを守る為で、今ならもうその心配もない訳だからね」
「ありがとうございます。デオドールお義兄様」
アンナが嬉しそうにデオドールをお義兄様と呼ぶと彼の顔が綻ぶ。
「それにさ、ホントのところ我もアンナちゃんの魔力の程が見てみたかったんだよね。だってバージルより凄いんでしょう?」
「兄上、そこですか?」
呆れるバージルに肩を竦めながら彼は一国の王子とは思えない台詞を吐きます。
「傍観者として楽しませて貰うから派手にやっていいよ」
デオドールから許可を貰ったアンナはワクワクしていました。
神様から大聖女ジュリアーナの力を返して貰った日から魔力の使い方や制御の仕方をビオラに教わりながら鍛練して来たのです。
それを役に立てる時が来たのですから。
「どうしたの?」
「えっ、いえ何でもありませんわ。ウフフ」
バージルは不思議そうに首を傾げ
「兄上から許可は出たけど本当に戦うつもり?やはり私が対峙しようか」
心配して言ってくれるのは嬉しいけれど、嫁いでから一応妃らしく振舞ってきたんですよ。でも本当は前にピクニックへ行った時のようにフォルヴァいや、馬で野原を駆け回りたくてたまらないのです。
小さい頃からビオラとも力試しに内緒で魔物の討伐へも行っていたんだもの。こんなに堂々とやれるチャンスなんてそうはないでしょう。バージルには譲らないわ。
そんなことを考え思わずニマニマしてしまう。
「アンナ、何一人で百面相をしてるんだ?」
バージルの言葉も上の空です。
もし出番が来たらドレスじゃちょっとねぇ。
魔術師スタイルでローブ?
それも可愛げがないわね。
あっ!
「決めた!」
「えっ、何を?」
「ふふふ、内緒です♪」
アンナは密かに戦闘用のコスプレを考えていたのでした。




