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46*①前世のお話し

 新婚一か月め。

「アンナ?」

「お帰りなさいバージル」

 やっとバージルと敬称無しで呼べるようになったアンナは普通の会話も敬語無しで自分で言葉で話すようになっていました。

 

「ただいま。刺繍をしていたんだね。へぇ、綺麗だなアンナは本当に何でも出来るんだな」

「刺繍は令嬢の嗜みだもの。誰でも出来るわ」

 少し照れながら謙遜するアンナが可愛い。

 バージルはソファに座りいつものようにアンナを抱え込みます。


「そういえば妃になってからアンナの手料理を食べてないな」

 バージルはアンナの髪を弄びながらあちこちにキスをしてきます。

「厨房には入れて貰えないからちょっと不満です。この部屋にキッチンがあったら良いのに」

「部屋にキッチンとな?」

「ええ、バージルは私に前世がある事を聞いたんですよね」

「ああ」

「今日は帰りが早いと聞いていたからその話をしようと思って帰りを待っていたの」

「そうかやっと話してくれる気になったか」

「はい」

「アンナの云う前世とはこの国での事か?」

「いいえ違います。全く次元の違う異世界よ」

 バージルはぎゅっとアンナを抱き締めました。

「この世界がどういう仕組みなってなっているのか分からないけど、私が産まれたのは地球というそれは美しい星で海に囲まれた大陸と島々でなりたっているの。私の国、日本は地球からしたら本当に小さな国」

「二ホン?」

「うん」

「二ホンという国はどういう国?」

「そうね、四季があってとても美しい。治安は良い方だと思うけどもちろん悪い人達もいる。でも国民性は勤勉よ。時々悲しい災害も起きてる。この世界みたいにに魔法とかは無いけどでもここよりもはるかに発展しているわ」

「発展とは?」

「例えば、この世界では馬車が乗りものだけど、二ホンだけではなく主な国々は自動車という乗り物があって町中を走りまわれるし、飛行機は何百人もの人乗せて空を飛び世界中を回ることが出来るのよ。言われても想像できないと思うけど」

 そう言ってアンナは笑った。

「あとね、コンピューターという機械があって世界はそれで動いてると云ってもいいわ」

「魔法のような国だね」

「ふふふ」

「前世でのアンナの生活が知りたい」


「私は二ホンではあんという名前で二十歳の大学生だったの。両親と弟が一人いて四人家族で仲良く暮らしてた。両親が共働きだったから家事全般と料理を小さなころから手伝ってたのよ」

「へぇ弟がいたんだ。料理が得意なのはその頃からなんだね」

「ええ、二つ下で生意気な弟だっただけど優しいところもあって・・・」

 家族を思い出し思わず涙ぐんでしまう。

「アンナ大丈夫?」

 目の淵に溜まっていた涙をバージルが唇で拭います。

「うん、大丈夫。。。」

「普段の生活は?」

「うーん、杏は平凡な女子だったと思う。読書が好きだったし、運動もね。友達と買い物行ったりアルバイト。。。あっ、仕事をしてお金をためて友達と旅行に行ったりもしたわ」

「アンナが働く?考えられないな。・・あとその・・・恋人とかは?」

「気になる?」

アンナはバージルの顔をしたから覗き込むようにして口元に笑みを浮かべた。

「そ、それはやっぱり・・・」

「ふふ、なら教えてあげる。最初に異性と付き合ったのは十四の時。こっちで言うとデビュー前ね。でもその時はホントに手を繋ぐのが精いっぱいだったかな。次は高二・今の私の年ね。一級上のクラブの先輩でファーストキスもその人だった」

「ファーストキスか!」

「ええでも、本当に唇を合わせるだけだっただし、その先輩が卒業してそれで終わっちゃったの」

「結婚はしないのか?」

「二ホンでは女子の結婚は親の承諾があれば十六で出来るけど、一般的には二十代かな。仕事をしている女性も多いから三十過ぎても一人でいる人も多いわよ」

「えっ、信じられないな」

「女性が結婚に頼らなくても自分で仕事をして暮らしていけるというか、周りはとやかく言うけど貫き通せる世界でもあるのよ」

バージルはしばし考え

「結婚が幸せではないのか?」

と、不思議そうに聞いてきます。

「勿論、結婚をして子供を産んで家庭を守る倖せもあるけどね」

「女性にもいろいろな選択肢があるという事か」

「うん」

 

「で、そのあとの杏はどうしたんだ?」

「ああ、うん。高等学校を卒業して大学に進んだわ。そこで知り合った人とお付き合いをしていた」

「つかぬことを聞くがその杏だったかな。三人と付き合って処女・・・破瓜は・・・」

「あはは、バージルったらソレが聞きたかったの?」

「いや、まぁ・・・気になってはいる」

 バージルが赤くなりながら小さな声で答えるのを聞いて私はめちゃめちゃ可愛く思ってしまった。

「最後に付き合った人とはほんのちょっとそういう雰囲気になったけど、捧げる前に私死んじゃったから」

 それを聞いて安堵するバージル。


「私ね、、ある日階段から落ちてきた男の子を助けて一緒に落ちて自分だけ死んじゃったの。その時神様が現れて私を元の魂のあるべき世界に転生させるって言ってね、一年間眠ったままでいたジュリアンナに転生させ彼女を目覚めさせたって訳」


「でも心残りだったろう」


「死んでしまったらそれは分からないわ。今こうして前世の記憶があるから心残りと言われればないとは言えないけど。でも。神様の話だと元々生まれる筈では無かったみたいだし・・・」


「どういうことだ?」

 バージルはアンナの肩を両腕で掴んで険しい顔になった。





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