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32*滞在五日目

 昨夜はよく眠れなかった。

 

 たった三晩バージルが添い寝しただけなのに、隣に温もりが無い事がこんなにも寂しく侘しく感じるものなのか。。。広い寝台で膝を抱えながら小さくなって一人の夜を過ごした。

 アンナは自分の中でどんどん大きくなっていくバージルの存在をしっかりと感じている事に気付き胸が高鳴った。


 バージルも寝不足プラス二日酔いの朝を迎えていました。

 ダニエルと共にデオドールの部屋に押しかけ酒盛りをしながらどれ位兄が魔女の魔法によって王女に絆されているか探っていたのです。

 飲むほどに王女への淡い恋心を打ち明け始めるデオドール。

 途中何度も王女の顔が見たいと立ち上がるのをダニエルと二人で制した。

 

「アンナの言葉を聞いてまさかとは思ったが酒の所為もあるとはいえ惚れ薬の威力は凄いな」

 バージルがほとほと疲れた顔で言う。

「俺も半信半疑だったが、このままだったら本当に帰国までにどうにかなってしまうぞ」

 明け方にようやく眠ったデオドールは多分昼までは起きてこないだろうと二人はバージルの執務室に戻って来ていた。


「昼にはビオラが戻ると言っていた。解毒薬が出来るまで兄上から目を離さない事だな」

「ああ、ピエールにもしっかり見張るように言ってきたが、デオドール殿があんな風になるとは驚いたよ」


「ホントだな・・・なあ、ダニエル?」

 バージルが何か不安そうにダニエルの顔を見ている。

「どうした、バージル」

「つまり、その。。。」

「何だよ」


「お前から見たらアンナに対する俺の行動は今の兄上と同じに見えるているのか?」


「はぁ?何言ってるんだ。お前のは心底お嬢に惚れて溺愛しているって誰が見たって分かるし、俺からしたら見ているとこそばゆくて、もどかしくて笑えるくらいだ!惚れ薬で無理やり思考が変えられたのは違うぞ」


「私はお前に笑われているのか・・・それ、喜んでいいところか?」


「ああ、良いんだ。笑われることに自信を持て!それだけお嬢に対して全力投球しているって事だからなっ!」


「そ、そうなのか?」


「だから安心しろ。夕べ会えなかった婚約者殿に会いに行くんだろう?」

「行く!」


 ああ、なんて素直な良い奴になってしまったんだろう。

 今までこんなに色んな表情を表に出す事なんて無かっただろうバージル。

 今のお前はことお嬢に関しては愚かで可愛くてガキみたいで俺は好きだぞ。

 これもみんなお嬢のお陰だな。

 ダニエルは心の中でこんなにも人間味溢れるバージルを引き出してくれたことをアンナに感謝していた。

 


 眠れぬ夜を過ごしたアンナは早朝から離宮で明日の食事会の準備をしている最中です。

 ビオラはまだ帰って来ていません。

 たった一人の厨房で黙々と作業を進めるアンナですが、頭の中はバージルの事で一杯でした。

『私はバージル様が好き』

 自覚してしまうと思いはどんどん止まらなくなっていく。


「アンナ!」

 勢いよく扉が開きバージルが一人で入って来ました。

 どうやらダニエルは気を利かせて外で待っている事にしたらしいです。

 良いヤツですね、ダニエルさん。


「ジル様」

 アンナは料理用の手袋を外しバージルの胸に自ら飛び込んでいきまました。

 自分から抱き付いて来るアンナなんて初めての事で驚いたバージルは例のごとく一瞬固まってしまいます。

 夢中で抱き付いてしまったアンナもまた我に返り恥かしさでバージルの胸に付けた顔を上げることが出来ずにいました。


「アンナ。夕べは一人で眠れたかい?」

 アンナは答えず首を振った。

「寂しかった?」

「はい、ジル様の温もりが無くて・・・寒かったです・・・」

「そうか寂しいではなく、寒かったのか」

 バージルがアンナの身体をぎゅっと抱きしめ

「今はどう?」

 と聞く。

「ジル様の腕の中暖かい」

「うん、良かった。顔を上げてアンナ」

 バージルはアンナの顔を上に向かせると優しくキスを何度も落とてきた。

「ジ、ジル様」

「どうした、アンナ?」


「私、ジル様の事が好きです」

「えっ、アンナっ」

 バージルは耳まで赤くなり息を呑んだ。


「今までいっぱいジル様は私に好きだと言ってくれました。でも私からは一度も言って無かった事に気付いたんです」

 突然の言葉にバージルは心が震えた。

「アンナ、嬉しいよ。もう一回言って」

「バージル様、好きです」

 精一杯の気持ちを込めてアンナはバージルに気持ち伝えました。

「あああ、私のアンナ。ありがとう、愛してる」

 やっとアンナから好きだという言葉が聞けたバージルは嬉しさのあまりアンナを抱き上げクルクル回ります。

「ジル様、目が回りますぅ。。。」


 中の様子が気になっていたダニエルが、「入るよー」と一応声を掛けてから入って来くるとその光景を見て


「何してんの?」

 と呆れ顔で言われてしまいました。


「ちっ。」

 アンナを抱きしめながらの王子の舌打ち・・・


「お取込み中悪いけどそろそろ時間ですよ。バージル殿()()

「分かったよ。。。」

 渋々アンナから離れるバージルにダニエルは苦笑します。

「今夜は俺とピエールでデオドール殿を見張るからお前は解放してやる。だから夜まで我慢しろ」

「そ。そうか感謝する」


 その時ビオラから念話が送られてきました。

『アンナ、材料は揃ったわ。もうすぐ着く』

『ありがとう、厨房で待ってる』


「今ビオラから連絡がありました!もうすぐ戻るそうです」

 二人に急いで報告する。

「そうか!」

「お嬢、解毒薬頼みますよ!デオドール殿下を押さえとくのも限界がありますから」

「はい、頑張ります!」

「頼んだよアンナ」

 バージルはもう一度アンナを抱きしめ後ろ髪を引かれる思いでダニエルと共に戻って行ったのでした。






※昨夜投稿出来ませんでしたのでその分と合わせ2話連続で投稿させて頂きます。


 ブクマが増えていて嬉しい♪

 評価下さった方もありがとうございました。

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