25*二日目の夜
※誤字脱字報告ありがとうございました。
結局二日目も王城では何も起こらず夜が更けていきました。
王女が帰国するまで王宮に留まる事になったアンナは王宮侍女に世話をやかれ湯あみを済ませました。今朝同様侍女たちの何かを期待する視線が痛いです。
彼女たちは自分たちの仕事が終わると脱衣所に二つある扉の寝室側のドアではなくリビング的な応接間に通じるドアからそそくさと退室していきます。
魔法で髪を乾かし寝室に続く扉を開くと。。。
一瞬固まり
バタン!と直ぐに閉じました。
なんでジル様がいるの?それも寝着で。。。。。。
ドアの前にしゃがみ込みブツブツと呪文のように呟いていると閉めたドアの向こうから
「アンナ、隠れてないで出ておいで」
バージルの声が静かに響いてきます。
「ど、どうしてジル様はそこに居られるのでしょうか?」
上ずった声で扉の向こうに問いかければ
「僕たちの寝室だからね」
いつもと変わらぬ口調で返ってきます。
「で、でも・・・」
「大丈夫だよ、昨夜と一緒だ。寝る前に今日の夕食会での話を聞かせて欲しい」
ああ、そういう事なんですね。
おずおずと出て行くとバージルはカウチに座りワインを飲んでいたようで、グラスをテーブルに置くと「こっちへ」と両腕を広げます。
静々と隣に座ろうと腰を下ろし掛けたらさっと脇の下に手を入れられストンとバージルの膝の上に後ろ向きに座らせらてしまいました。
「ジル様?」
「馬車の時と一緒だよ」
首元で喋られ息が掛かりくすぐったいですけどー。
「王女との食事はどうだった?」
アンナは抵抗しようと思ったが馬車の中でのダニエルの言葉、
『アンナ様、殿下のお好きなようにさせてあげて下さい。それで殿下の魔力とお気持ちが安定してくれるのなら私は助かります』
を思い出し諦める事にした。
今夜はですね、王女様の~
アンナの話を興味深く聞きながらプラチナピンクの髪を梳くっては指に絡め弄ぶバージル。
「兄上から王女も楽しいひと時だったと言っていたと報告を受けている。王女の滞在中は迷惑も掛けるがアンナにももてなすのを手伝って欲しい。それに王女に何かあった場合アンナが傍に居てくれたら安心だからね」
「はい、分かりました」
「ではそろそろ休もうか」
「そうですね。えっ!」
膝の上のアンナはそのまま抱き上げられ寝台迄運ばれてしまいます。
アンナに薄めの布団を掛けるとバージルは自分もその中に滑り込んできました。
「ジ、ジル様どうして?」
「ん、昨日アンナを抱いて寝たら短い時間で熟睡出来て疲れが取れる事が分かった。だから今夜もというか、ここに滞在している間は毎晩今日あった話しを聞き、抱きしめて寝る事にした」
「そ、そんなー」
バージルはアンナの頭を少し持ち上げると腕を忍ばせ腕枕をする。
そうしてからキスをしてオヤスミと言うとあっという間に寝息を立て始めた。
へっ!?もう寝てる・・・
けれどこれが毎晩続くなんて無理無理!誰か助けてー。
バージルの顔をこんな近くで見ながらなんて眠れるわけがない!
ホールドされている腕の中でようやくカラダを反転すること出来た。
背を向ければバージルは無意識にアンナの背中にへばりついて来る。
バージルの寝息を感じながらドキドキしていたものの、一定のリズムを刻む寝息を聞いている内にいつの間にかアンナも夢の中へ。
翌朝、アンナが目覚めるとバージルの姿はやはりありませんでした。
侍女たちもまた前日の朝と同じくガッカリしていたのは言うまでもありません。
「何か機嫌が良いな」
ダニエルの声にバージルは上機嫌で答えます。
「添い寝をしているからな」
「添い寝ね、それは良かった」
本当に添い寝だけだろうか?
疑問はあるが主の機嫌が良ければそれに越したことは無いとダニエルは思う事にし、下手に茶化して魔力が暴走しても困ると前回の反省をした。そしてそれ以上は何も言わず目の前の書類の整理を始めるのでした。




