4.神様が言うことには
どういうことだろう・・・
『あの子が誕生して、聖女の光は国を救うために天上にがった。しかしそれは国の半分さえ救うことが出来ない力だった』
「実際瘴気が消えているのに理解できないわ。えっ、もしかしてあれは、神が手を貸したから国中を救えたの?」
『私は直接手を貸して無い。ただ、その時思いもかけないことが起きたのよ』
「何が起きたのよ!」
『あちらの世界で生きていた杏の身に、私さえも予期せぬ出来事が・・・」
今まで黙って聞いていた私は、ポツリと言葉を吐きました。
「歩道橋での事故死ですか・・・」
『まあ、そうなんだけど』
神様は長い綺麗な髪を、くしゃくしゃとしながら眉を下げて私を見た。
『皆が願って生まれた子だけど、あの子の力だけではどうにもならない。私はこの国が亡びるのも運命かも知れないと諦めた時に杏が事故で死んだのだよ。こんな偶然は有り得ないだろう?やっぱり杏はこちらの世界に来るべき者だと思った。丁度男爵家に眠ったままの女子が居たから、彼女に転生させた訳』
「でも何故誕生ではなく七才のアンナに転生させたの?それにアタシにはアンナが目覚めたという時に聖女の光は見えなかったわ」
『それはね、私がそれを操作したから。杏が命を落とす数時間前に聖女は誕生している。同じ日に聖女が二人産まれると云うのは有り得ない事なんだよ。ましてや後から生まれた子が大聖女と分かったらどうなると思う?』
「国中が混乱するわね。聖女として生まれたあの子の立場も」
『そうだろう。だから誕生ではなく今ある命に転生させた。
国は助けなければならない。私はジュリアーナの魂が誰にも気付かれないようにし、アンナが目覚めた時の光も全て見えないようにした。その所為でビオラに気付かれることもなかった訳さ。ジュリアーナの魂の光は、あの子の弱々しい光を飲み込み国中に広がって浄化の光を降り注いだ。国は救われた』
「なるほど話は分かったわ。でも何故、神がアンナの存在を隠したにも関わらず、ジュリアーナの魂を感じることが出来たのかしら?」
『聖女はね、誕生した時に力の半分以上を使い果たすんだ。そして少しずつ力が戻り、満七才になると力は満たされるのだけど、ビオラが言う通りあの子の器は小さすぎる。これから先七才以降ね、あの子が聖女として使命をきちんと把握し努力していけば、多少器も大きくなると思うんだけどね。でもそれまで、せっかく救えた国の平和を守らなくてならない。
それで、アンナの力が必要とされる訳。だからあの子の力を補うべく、アンナの中の『魂』を解放したのさ』
「でも力は?アンナは全部使っちゃったみたいで、今は持っていないわよ」
『うん、その為に私が今日来たんだよ』
ビオラも神様の言葉を聞いてやっと納得できたようです。
『改めてアンナ、私たちの話でおおよその事は分かっただろうか』
「あっ、はい大体は」
『うん、良い子だ。そんな良い子である君にプレゼントだよ。取敢えずは、大聖女ジュリアーナの持っていた力の半分を君に授ける。というか返すと言った方が良いかな(笑)』
「えっ?返すって、元々私のものって事ですか?」
『勿論ジュリアーナの魂を持つ君のものだ』
「神ー、半分なんて出し惜しみしないで、全部授けちゃえばいいじゃん』
『光の・・・』
「だーかーらー」
『ああ、ビオラよ。七才の小さいカラダに、成人していたジュリアーナの力をいきなり全部といかないのだよ。残りはまたアンナが成長してから授ける事になるかな。アンナは自由に生きて良いんだよ」
神様の話を聞きながらある事を思い出した。
「あっ、そういえば」
『何だいアンナ』
「神様、私が階段から落ちて行く時に、新しい命をくれるって言いながら何か飲み込ませましたよね?前世で既に母の胎内でジュリアーナの魂を貰ってた訳でしょう。だったらアレは何だったんですか?」
『ああ、アレね。それは十五才になって、最後の一つを授けにきた時に話すよ。それまで今与えた力を制御できるように、ビオラに教わりながら勉強してね。それと一番大事なことは、両親や家族に愛され素敵なレディになる事。そして前世より長く生きて幸せになる事だからね。 おっと、忘れるところでした』
そう言いながら神様は何かブツブツと呟いた後、私の額にキスをしました。
『ジュリアーナの力を少し戻したからね。
それじぁ、今日はくらいで。次に会うのは十三になった時がいいかな』
何かはぐらかされた気分だけど、めちゃめちゃ綺麗な笑顔で言われちゃったから、追及することが出来なかったじゃん。
はぁ、いったいどうなる事やら。。。
誤字が多くて申し訳ありません。その都度訂正させて頂いております。