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3.前世と魂

アンナは今現在聖女がいる事はもう知っているね』


「はい」


『この国には今から約二百年以上前に聖女よりも、もっと強い力を持つ大聖女ジュリアーナという存在があったんだ。彼女は魔獣や瘴気、災害から国を守っていたんだよ。でも数百年に一度という魔獣の大量発生で、ジュリアーナと彼女の聖獣フォルヴァは共にずっと戦い続けた。そして最後の魔獣を倒し平和が戻った時、彼女は大聖女の力を使い尽くしその命を終えたんだ』



 可哀そう・・・



『大聖女ジュリアーナの没後も、この国では事が起こる度に光に包まれ聖女となるものが生まれて来た。

 で、ジュリアーナに戻すけど、彼女は命を終える寸前に自分のカラダから大聖女の光の魂を取り出し、それを二つに分けて一つを傷だらけになっていたフォルガに飲ませ、残りの一つを私に託したんだ』


 私はおとぎ話の様だと思いながらも黙って頷いた。


『前に前世の記憶はあると言ったね』

「はい。今もはっきり覚えています」

『うん、でもさすがにその前の記憶はないか』


 えっ、どいうことですか?


『実はね、杏になる前にもう一つの人生が君の中にはあったんだ』


 もう一つの人生・・・


『杏が生まれる直前、お母さんのお腹にいる時ね。君は生きて世に出てくる運命ではなかった。そしたら天使たちが私の所にやってきて、この子は将来必ず人の為に生きる子だからどうしても助けて欲しいと懇願したんだ。いくら神でもさー、人の命を勝手にいじれないじゃない。否、本当は出来るけど、それをやったらキリがないしね。

 でもさ、あんまり天使たちが言うからね、もしかしたらジュリアーナに託された魂を持つべき子なのかもしれないと思った訳よ。だからせめて今の世に生まれる事が出来ないなら、次は本来いるべき来世でお役に立てるように生まれてきなさいって、特別な魂をあげたんだ』


「特別な魂って・・・ていうかその時私は死産になる筈だったんですか!」


『うん、運命的にはね。でもなぜか奇跡的に無事に()()()()()()()()()んだ』


()()()()()()()()()って・・・もしかして私の二十年はオマケの人生だったとか」


『そんなことはないけど。でも産まれちゃったからには私も責任を取って、この先の君の人生を見守ろうと思っていたんだよ。それにその時はまだ、この国アデライトも平和だったからね』


『でもね、私の予想よりも早くアデライトでは後の聖女が亡くなり力が薄れ、また瘴気が現れ始めたんだ。人々は祈り、聖女の誕生を願ったけれど生まれてはこない。彼らは聖女であれば誰でも国を救えるると思っているんだけど、普通の聖女の祈りではもう国全体どころか半分も救えない状態になっていた。その日の為に私は、ジュリアーナの魂をお腹の中で死んでいく運命だった君にあげたんだけど・・・

 残念なことに君はそのまま生まれて、杏として別世界で生きている訳だからその人生を終えるまで、ここへジュリアーナの魂は戻って来れない』

 沈黙が流れる。

『そして杏がハタチになった時、この国はかなり衰退していき新たな聖女が誕生したんだ。それがアンナが目覚める前に生まれた子ね』


「えっ、でも普通の聖女では。。。」

 ビオラが沈みかけた声で呟きました。


『そうだね。預かっていたジュリアーナの魂を杏にあげてしまっているのだから、生まれた子は普通の聖女。もう一人誕生する事は有り得ない。しかも大聖女だしね』

「ほんとだったらアンナが大聖女として生まれてくる筈ったのに、違う世界で杏が生きてるから代わりにあの子が聖女として誕生したと言うことね。でも半分どころかあの子は国全部を救えたじゃない。あの子で事足りないなら何故、アンナを後から転生させたの?」


『それには勿論理由があるのだよ』 

 



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