14*お嬢さまのお料理
我が家には冷蔵庫があります。
木の箱に氷を入れて冷やす物ですけどね。
料理長に厨房を借りていざクッキング!
まずはマヨから。
卵の黄身と塩、ワインビネガー、レモン汁を入れよくかき混ぜる。
それからサフラワーオイルを何回かに分けて入れゆっくりと混ぜ角が立てば完成。
ちょっとお味見。うん、マヨだ!懐かしい味だ~~~。
次は冷蔵庫から鶏肉を取り出し食べやすい大きさに切り分ける。
ボールに入れ塩コショウをし、すりおろしたニンニクを入れてと。
作ったマヨを大匙一?まぁその辺は適当。
後は小麦粉を入れよく揉み込みしばらく置く。
こういう時ポリ袋があると便利なのにね。
で、油で揚げる。
いい色に揚がったわ。
はふはふ、マヨのお陰でジューシーよ。
ほらみんな食べてみて!
「お嬢様~何ですかこれ。めちゃくちゃ美味しいです」
「ガーリックも効いてますね」
「こっちのマヨネーズには野菜スティックを付けて食べてみて」
シャクシャク、ポリポリ。
「おお、これは良い。マヨネーズと云うのですか?野菜なら何でも合いそうですな」
「私は生野菜にも掛けるけど温野菜に付けて食べるのが好きなの」
「そうですか、お屋敷のメニューに追加いたしましょう」
「どちらもサフラワー油を使っているんだけどわが国では紅花を栽培してないから他国からの輸入もので高価なんですって。お父様にお願いして低価格で入れて貰えるようお願いしようと思うの」
「是非そうしてください。あっ、でも私の故郷では・・・すごく田舎なんですが、菜の花から油を作っていたような記憶が。。。」
「料理長、それ菜種油ですっ。わが国にもあったのね。欲しいわ」
「今はどうなっているか。多分村の中だけで消費していると思うので母に手紙を出して聞いてみましょう」
「ありがとう、料理長。それと油は酸化が早いから早めに使い切りましょう。明日は料理長海老を買って置いてもらえるかしら?」
「はい、業者に頼んでおきます」
料理長もノリノリです。
「お嬢様、殿下たちの驚く顔が目に浮かびますね」
「ふふ、そうね。楽しみだわ」
◆◆◆
その頃王城内では緊急時案があげられひと騒動おきておりました。
隣国エスメラルダ王国へ訪問していたデオドール殿下が王女にに気に入られ殿下が帰る時に一緒に我が国に行ってみたいと言い出したのです。
これにはエスメラルダの国王も慌てふためいた。王女は十七才で他国の王子との婚約も取沙汰されいる最中でもあったのですから。。。
到底一緒になど無理な話で警備の事やら迎える準備もあると何とか宥め、最短でも二カ月は待って欲しいと申し出てようやく納得したという。
諸々の準備を考えたら二カ月だって厳しいものがる。それでも王女に急かされあと数日滞在する予定を繰り上げデオドールは急いで帰国したと云う訳だ。
会議室では宰相トルウェインが頭を抱えていた。
「どう致すおつもりですか、たった二カ月ですよ。殿下もう少し伸ばせなかったのですか?」
「いや何度も説得したのだよ。我と一緒に行くと言い出した時には血の気が引いたぞ。しかしエスメラルダとは友好関係を続けたいからね。何とか準備を頼むよトルウェイン」
「全く、訪問する国々で王女に惚れられないで下さい」
「いやこればかりは我の意図するとこではないのだが・・・」
イケメン過ぎる女泣かせの金髪の王太子は何処へ行っても人気で外遊の際は是非デオドール殿下をとご指名が掛るほどのモテようだ。
「兄上、エスメラルダの王女を娶るのですか?」
バージルが苦笑しながら冗談交じりで聞いて来る。
「そんなつもりはないわ!外交上仕方なくだ」
二十五才のデオドールは内心『あんな色気のないじゃじゃ馬王女なんて御免だ』と思っていたのでありました。
◆◆◆
翌日料理長に頼んでおいた海老を確認するとブラックタイガーと思われるものが二十尾、伊勢エビみたいのが三尾(イセエビの様な大きいものは一本とか数えたりするらしい)届いておりました。
小さい方はエビフライで大きいのはエビマヨだね。
コックに頼んでパンをすりおろしてパン粉にして置いてもらいます。
殻を向き尾の先を切って水分を出し、背ワタを取り腹の部分に数か所切り込みを入れ真っ直ぐに伸ばします。
軽く塩を振り小麦粉、溶き卵、パン粉の順につけてカラリと揚げ完成。
マヨにみじん切りの茹で卵と玉ねぎ、パセリ、ワインビネガーを垂らし混ぜてタルタルソースを作る。
大きい方のエビも殻をむきぶつ切りにする。
塩を少しふり片栗粉の代わりに小麦粉をまぶしてオリーブオイルで焼く。
本当はケチャップが欲しいけれど無いのでマヨと砂糖、レモン汁、ミルクを合わせる。フライパンに投入し海老と絡めて出来上がり。
中華風ではないけどまぁいいわ。
真っ直ぐなエビフライが美しいと自画自賛する。
ディナーの時に家族にも出して貰った。
「何だこれは、周りはサクサクで中のエビはプリプリだな。この卵が入ったソースがまた美味い」
父さま絶賛。
「こちらのエビもプリプリでソースが絡まって美味しいですわ」
母も感動している。
「どっちも僕好みだよ」
ふふ、兄さまはフォークが止まりませんね。
「このソース初めてのお味です。和えてあるエビもナイフも使わず一口で食べられていいですわ」
姉さまも目を輝かせております。
「料理長、どこで覚えて来たんだい?」
父さまの問いに料理長は私の方を向きながら笑顔で答えました。
「こちら二品はジュリアンナお嬢様がお作りになられたお料理でございます」
「「「えっっ!」」」
三人が一斉に私を見ます。
「気に入って頂けて嬉しいですわ」
「本当にアンナが作ったのかい?」
「天才ですわ、うちの子」
「はい、私が作りました。揚げてあるのがエビフライで和えているのがエビマヨと言います」
「エビフライか、これは良いな。でもアンナが料理なんて信じられないよ」
「兄さま私は小さい頃より何かを創造する事が好きだったのをご存じだったでしょう?」
「いや、魔道具とか色々あったけど料理なんて初めてで感動したよ」
「うふ、ありがとうございます」
「それで父さまにお願いがあります」
「何だねアンナ。可愛いアンナの頼みなら何でて聞いてあげるよ」
「ありがとうございます。今日の料理にはオリーブオイルではなくサフラワー油というあっさりとしたオイルを使用しています。先日市場で偶然に見つけたのですが我が国のモノではないのです」
「うんそれで?」
「市場では通常のオイルの三倍で売られておりました。隣国から買っているものらしいのですが、とっても使いやすいオイルなので出来ましたらもう少し価格を下げて売って貰えるように交渉して頂きたいのです」
「成る程、こんなうまい料理が出来るのならやってみよう。でも消費数が増えないと難しいかもしれない」
「だと思います。サフラワー油には紅花の種子から摂ったものや菜の花から摂ったものとあります。そういった植物性のオイルは国内にもあると思いますし、現に料理長のご実家のある村では自宅用に作っているそうです。それであればう少し価格も低いと思われますので外の地方にもないか探して頂けたら嬉しいのです」
「分かった。後でその油の名前とか種類をリストアップして渡して欲しい」
「ありがとうございます。父さま大好き♡」
「そうか、そうか」
父さまのデレッとした顔に姉さまが呆れています。
うふ、父さまをあの顔にするコツは私もちゃんと把握しておりますのよお姉さま。
残りの料理は使用人で分け合い試食もして高評価を得られたので次はバージル様ですわね。
と気合の入るアンナでした。




