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◆お忍びデートバージル編◆

 ある日渡り廊下を歩いているとアンナの魔力を感じた。

 見上げると図書室の窓からこちらを見ているアンナが居た。

 久しぶりのアンナが見れた。思わず手を振ると彼女も気付き可愛い笑顔で手を振り返してくれる。

 嬉しくなって思いっきり手を振ってしまった。

 

 ああ、今すぐ図書室に駆け込んでアンナを抱き締めたい。


 カツン!

 後ろから付いて来ているダニエルが書類で手が塞がっているためにつま先で私の踵を蹴って来た。


「バージル殿そんなだらしない顔をして手を振っていては周りから何を言われるか分かりませんよ」


 自分がどんな顔をしているのかなんて分かる訳もない。

 しかし、そう言われては王子としてのメンツもある。仕方なくダニエルに促されるまま渡り廊下を抜けた。


 執務室の戻ると机の上にはうんざりする程の書類の山が待っていた。

 兄のデオドールが外交で隣国へ出向いている所為でその分の仕事も回され激務が続きイライラが募る。


「ダニエル、少しヤバいかもしれない」


「えっ、魔力が暴走しそうなのか?」

 幼馴染のダニエルとは二人きりの時は敬語もない。


「兄はいつ帰ってくるんだ?」


「予定では十日後って聞いてるが」


「それまでは厳しいかもしれない」


「えっ、マジですか!・・・灯りとか壊さないでくれよ」


「保証は出来ない」


 アンナと出会う前の最後の魔力の暴走はこの執務室がある三階の全ての灯りのシェードと窓ガラスの破壊だった。

 それでも以前に比べれば制御できるようになった方で、以前は竜巻を起こしとんでもない事になってしまったのだから。


「アンナ不足だ。彼女に会えば納まる」


「あのさ、バージル今のお前のストレスは性的な欲求不満か?」


「激務のストレスもあるがそれもないとは言えない」


「だよな。もう二年も女の肌に触れていないもんな」


「・・・アンナはまだ成人前だ、早急にそれを望むつもりはないのだが。。。」


 否、本当は抱きしめて体中にキスをして私のもだという証を残したいのだ。

 彼女の成人まであと半年以上ある耐えられるだろうか。

 


「気持ちは分かるよ」


「いいんだ。アンナ傍が居てくれるだけで落ち着く。ただ腕の中に閉じ込めて彼女の温もりを感じ魔力を流してくれるだけで良いんだ」


「分かった。ここまでの仕事を明日中に終わらせて明後日は一日休みをとれるようにしよう」


「本当か?」


「ああ、だからもう少しだけ頑張ってくれ」


「感謝する」


 アンナとデートが出来るそう思うだけでストレスがすーと抜けていくような気がした。

 よし、何としても政務を終わらせるぞ。




 そうしてアンナと忍びで出掛けることが出来た。


 迎えに行って出て来たアンナはめちゃくちゃ可愛かった。

 自分の銀髪は目立つので魔法で茶髪したがそれを見たアンナは自分も変えた方が良いかと聞いてきたんだ。

 彼女のプラチナピンクの髪が気に入っている私はそのままの彼女と街を歩きたかったので大丈夫だと言った。

 

 だが、ダニエルが敬称無しで呼んでくれとアンナに言ったのを聞いて面白くないと思った。自分も人とは違う呼び方をして貰いたいと思い「ジル」と呼べと言ってしまう。何故「ジル」だったのか分からないが咄嗟に短く略す方が『親密』な関係に思えたからだった。

 戸惑うアンナの表情が何とも言えなかった。

『可愛い、可愛すぎる』


 露店でアンナに似合う髪飾りを選ぶ。自分もピンクには黒がちょっと小悪魔的で似合うとは思っていたが店主に先を越されて悔しい。でもサービスのチョーカーのお陰で彼女の可愛いうなじを見ることが出来たんだ。思わず息をのんだがそれ以上の想像はしてはいけないと自分に言い聞かせリボンを結んであげた。

 アンナは恥ずかしかったのか頬と耳を薄っすら赤く染めていた。


『なんて可愛いんだ、このまま食べてしまいたい』


 昼飯を四人で食べている時にアンナが自分で料理したいと言い出したのは驚いた。男爵の令嬢が自分で料理をするなんて、いや、クッキーを作ったりすることはあるだろう。

 自分も時々「殿下の為に作りました」と貰う事はあるが、どう見ても明らかに料理人の仕上がりだろうと思うものばかりだったな。

 彼女の事だ作ると言ったら誰にも手伝わせずに自分でやるに違いない。

 いくら治癒魔法が使えるとはいえ、火傷を心配するのは当然の事。あの透き通る肌に火傷なんて想像もしたくないではないか。

 反対をして意地になってしまったのか、アンナは私に作って食べさせると言い出した。心配だがそれはそれでまた楽しみに思ってしまう。


 午後は何処を回ろうかと考えていると城からの伝令で直ぐに戻れという。

 兄が急遽帰国しただと?いったい何があったんだ。やっと貰えた休みなんだぞ。

 アンナとのデートの邪魔をして欲しくない。

 しかし、そうは言えないところが辛いところだ。

 仕方ない。まぁ兄が帰国したなら自分に回って来ていた仕事もまた兄に戻せるだろうからアンナと会う時間を作る事も出来ると思うしかない。

 残るというアンナには精霊ビオラが付いているから心配はないだろう。それでも後ろ髪を引かれる思いで城へと戻った。


 帰路に着く馬車の中で彼女がマリーの事で話があると言っていたことを思い出した。

 最近のマリーは侍女たちも手に余ると報告を受けている。

 先日のガゼボでの件、やはりアンナが何かしたのだろうか。

 それにして私が驚く事とはなんだ?

 それが婚約破棄でなければどんな事も受け入れるし驚く訳がない。

 アンナに会える口実となるなら早急にダニエルに調整させよう。


 アンナ・・・早く婚姻を結び毎日傍に置いて愛でていたい。

 アンナとビオラは念話という方法で離れていても会話ができると聞いた。

 自分もそれが出来たらどんなにいいだろう。

 毎日アンナに愛を囁いてとろとろに溶かしてしまいたい。




◆・・・◆の話は個人の心情の話となります。本編完話後に回想として番外編で入れるべきか悩みましたが、今の気持ちはやはり今でしょうと云う事で直後に入れるようにした次第です。


誤字脱字の訂正はその都度させて頂いております。読み返すとまだまだ出て来て・・・ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。

拙い文を読んで頂き、ブクマして下さっている皆様ありがとうございます。

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