13*③お忍びデート
その後お茶をしながら私は大事なことを思い出した。
そうです、聖女マリー。
「マリー様の事でご相談があるのですが」
と切り出す。
「聖女か。。。」
バージルも思う所があるのか眉間に皺を寄せます。
「ここではお話し出来ない内容なのでお時間を取って頂けますか?」
「いいよ、アンナの頼みなら。ダニエル調整を頼む」
「御意」
途端に王子と側近の顔に戻る。
「都合がつき次第連絡させる」
「ありがとうございます。その時にまた一つ驚かれる事があると思いますが、深く追求なさらないで下さい」
「何だ?」
「今は言えません」
マリーの神殿での様子を話すとなると、隔離された中での情報をどうやって知り得たのかと聞かれるに違いない。そうなればフォルガァの事も言わなくてはならないからだ。
「そうか、ならその時で構わんが、婚約破棄なんて事だけは言わないで欲しい」
はい?どうしてそんな発想が・・・
それでもってそんな寂しそうな目で見つめてこないで下さい!
「そ、それは御座いませんので安心してくだ。。。サイ」
バージルは笑顔になり私の手を握り
「ああ、それ以外の事なら驚かない」
私は呆れて言葉が出来ませんでした。それにも増してダニエルさんとビオラのバージル様を見る目が。。。。
その時騎士が一人駆け寄ってきてダニエルに耳打ちし、それを小声でバージルに報告します。
「バージル殿至急の呼び出しだそうです」
「急用か?」
「はい、デオドール殿が急遽帰国されたそうです」
「兄上が?それなら仕方あるまい」
バージルは名残惜しそうにアンナの握っていた手を摩ります。
「すまない急用で帰らねばならなくなった。送って行こう」
半分立ち上がりアンナに手を差し伸べるバージルにアンナはにこりと笑った。
「大丈夫です。私たちに構わず急いでお帰り下さい。私はまだ買い物をしたいものがありますのでビオラと残ります」
「そうか、二人で大丈夫か?」
「ええ、一緒にいるのはビオラですもの」
「そうだったな。迎えの馬車を同じところに留めて待つように言っておく。くれぐれも気を付けて」
「はい」
確かに護衛が何人いようがビオラの力の方が遥に上だ。
バージルはアンナの手に軽く口づけビオラの方を向い
「ビオラ頼んだぞ」
と立ち上がった。
「アイアイサー」
ビオラは得意のポーズでバージルに応える。
私達はバージル様たちを見送り市場の散策に戻りました。
「何があったんだろう?」
「急遽帰国と言っていたから外交上のトラブルかしら?」
「だと面倒ね。。。ところでアンナ何を買うの?」
「せっかくだからさっき言った料理の食材を見たいと思うの」
「何を作りたいのか分からないけど面白そうね」
私の頭の中では・・・
マヨネーズ これ一番!
から揚げかフライドチキン
ピザにハンバーガー
和食も食べたいけど味噌と醤油は無いだろうな。
取敢えずはマヨと唐揚げだわ。
食材売り場を見て歩く。
マヨネーズの材料はと。玉子は普通にあるから。サラダ油は?
普段の食事でオリーブオイルが使われているのは分かる。でも癖があるからなー。
油屋さんで聞いてみたらやはりオリーブが主流の様でした。後はバターを溶かして使うみたいなことを言ってたわね。
ブツブツ言いながら歩いていると調味料の店を見つけた。
乾燥ハーブに・・・おっ、唐辛子もあるわ。それと、ん。透明瓶に入ったこの透明に近い液体は?
「おばさん、これってオイルですか?」
「あらお嬢さんお目が高い。ええそうよ、この国では栽培していないサフラワーって花の種子から摂った油よ」
「サフラワー・・・ベニバナ。おお植物油だわ」
「へぇ、ベニバナとも言うのかい?」
「ええ、私のく・に・・これってどのくらいあります?」
「ちょっと待っておくれね。でも輸入物だからオリーブの三倍はするけど良いのかい?」
そういいながらおばさんはテントの奥に入りガサゴソと探し始めました。
「あった、あった。合計で三本だね」
「全部戴きます!」
こうしてサフラワー油げっと!でも日本だったらオリーブオイルの方が高いのに逆なのね。
あとはお酢だけど穀物酢は見当たらないわ。また探すとして今日の所はワインビネガーを使ってみよう。うん、レモンも市販であるわ。
よしこれでマヨはオッケーね。
次は唐揚げ。鶏肉はある。小麦粉もある。片栗粉・・・まっ、無くても良いか。
ん、これなら天ぷらも可能だわ。
後はニンニクと、下味で醤油が欲しいけど無いから塩唐揚げになるかな。
ビオラは私の買い物に付き合いながら、香辛料を舐めて味見したりしてる。
「面白いね、香りのあるものや辛いものとか色々あるんだ」
「そうね、香辛料を変えれば同じ食材でも色んなバリエーションが楽しめるよ」
「へぇ~、何かワクワクしてきわ」
食材を買い揃えバージルが用意してくれた馬車の従者を呼び荷物を運んで貰って意気揚々と家路に着きました。




