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13-①お忍びデート

「迎えに来たよ」


「ありがとうございます。ダニエル様もご苦労様です」

「ジュリアンナ様私の事はそのままダニエルとお呼びください」

「急にどうされたのでかダニエル様。今まで通りアンナでいいのに」

「ちょっと上の方からバージル殿の婚約者に対し失礼だと指摘を受けましたので」

「私は気にしませんよ。今まで通りアンナと呼んで下さい。その代わり私はダニエル様ではではく、ダニエルさんと呼ばしていただくので、ね。バージル様?」

「そうだな、本当はダニエルと敬称を付けずに呼ぶべきだが、様よりさんの方がまだ上下関係を示すにはマシだろう」

「分かりましたバージル殿。でもアンナ様ではやはりその・・・公の場ではジュリアンナ様でこのような時はお名前ではなくお嬢とお呼びしてもよろしいでしょうか」

「うふ、お嬢ですか、何だかカッコいいですね。はい、ダニエルさん構いませんよ」

 これにはバージルもお嬢かと苦笑していた。


 お忍びと云う事で馬車は王宮馬車ではなくごく一般的なものです。

 バージル様の服装もとってもラフな感じでそれがまた良く似合ってる。

 驚いたことに髪は魔法で銀髪が茶髪なっていた。

 一目見て貴族の子息的な雰囲気はするけど流石に王太子なんて誰も気付かいだろうと思う。

「えっ、私も変えた方が良かったですか?」

「いやアンナはそのままでいいよ。このプラチナピンクは変えて欲しくないな」

「でも前はよくビオラと市場調査に行ってたんですが、その時は髪をマロンブラウンに変えてたんですよ」

「へぇ~そうか。それもまた可愛いと思うけど」


 と。普通に会話をしてるけど何故か私はバージル様の膝の上に座っており、座席の向かい側にはダニエルさんとビオラがお互いにそっぽを向いて窓の外を見ています。

 こちらを見ないように気を使われているようです。


「あのう、バージル様。この体勢はちょっと。。。」

「あっ、気にしない。ここのところ忙しくてストレスが溜まっていたんだ。アンナにも触れられないでいたから魔力の暴走が少しね。こうしていれば落ち着くんだよ」

「でもお膝の上でなくても」


「お嬢、殿下のお好きなようにさせてあげて下さい。それで殿下の魔力とお気持ちが安定してくれるのなら私は助かります。なにせ十八から女性に触れる事が出来なかったのですから。二年間ですよ。成人男性が二年も・・・」

 哀れそうな顔でバージルを見るダニエル。


「おっ、おい。ダニエル余計なことを・・・」


「とにかく八つ当たりされないで済みますからね。よろしくお願います」

 ダニエルが懇願するように切実に訴えてきます。


「良いんじゃないですか~。お好きにイチャイチャしてください。アタシは見て見ぬ振りは得意ですからね」


「ビオラ迄そんなこと言って!」


「ほら、二人ともそう言ってくれてるんだから気にしない、気にしない」

 バージル様は嬉しそうに私の髪をくるくる指に撒いて弄びます。バージル様が私に触れることが出来て嬉しいのは分かりますがちょっとスキンシップが多いのです。

 どうしていればいいのか分からず戸惑ってしまう私の気持ちも察してください。


 あっ、今更ですがバージルは今年二十歳です。この国は男性が十八で成人なので立派な大人ですね。

 子供の頃から魔力は強かったが十五から徐々に魔力をコントロール出来なくなって来て、十八の『成人の儀』の時を境に男女構わず触れると相手が魔力酔いしてしまうようになった。その時にダンスを踊った相手が踊り始めて直ぐに倒れてしまってからは女性には手を触れることは無かったのです。

 王子教育で()()()の方は十五才で経験し、成人するまでそれなりに遊んでいた身としては健康な男性ならそれなり辛いところはあるよね。

 でも私、アンナはまだ十五才、来年成人を迎えますが転生時は二十とはいえここではまだまだお子ちゃまなんですから・・・。


「そういえば、気になっていたのだが、どアンナに婚約を申し込んだ時、気を失ってしまっただろう。君なら大丈夫と思っていたけどもしかして魔力酔いをしてしまったのか?」


「えっ、あの時ですか・・・」


 あれは魔力酔いではない。ただ単にバージル様の色気にやれてしまっただけだとは言えないわ。


「あー。それはお嬢さまが男性に対する免疫が無かっただけですよ。男性と言えば使用人は別として旦那様とイーサン様しか身近にいませんからね。まだまだ初心(うぶ)なお嬢さまなんですよ。ですからあんまりグイグイ行くとキャパオーバーでまた倒れちゃいますよ」

 ビオラが代弁してくれたわ。


「そうなのか、それは困ったな。来年婚姻を交わすまでに少しずつ慣らしていかないと駄目だな」


「そうなんです。ですから少しずつです!だから降ろしてください。バージル様」


「いやだから慣らしてる最中なのだよ」

「えっ?」なんか違う気がする。。。


「そうだ、アンナ馬車を降りたら私の事は『ジル』と呼びなさい」

「そ。そんなの無理です」

「駄目だよ、今日はお忍びで身分は関係ない。それにその方が街にも馴染むしね。ほら、呼んでみて」

「・・・」

「アンナ?」

「じ、ジル。。。さま」

「様は要らない」

「ジ、ル」


 何なのこの罰ゲーム的な。。。


 そうこうしている内に馬車は市場前に到着しました。





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