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※4◇中庭でバーベキュー

「野営をしているみたいだな」

「今度テントを張って寝てみようかしら」

「目の前に快適なベッドがあるのにわざわざ庭で寝るのかい?」

「だってーキャンプあっ、野営なんてなかなか出来ないもの~」

「それは言えてるわね。護衛ぞろぞろ連れてなんて楽しくないわよね」


「あっ、ビオラ!肉が焦げてる」


「わぁー真っ黒・・・」


「マリーは大きな海老がいいです」


 聖女マリーもうじき十一歳になる。


「ロブスターね、もう少しでいけるわよ。あっ、バージルタレがシャツに・・・」

「うわっ、ホントだ(汗)」


 何とも賑やかなバーベキュー大会に使用人たちもお皿を手にしながら遠巻きに笑っています。


「ほら、あなた達もお皿を持って順番に並んで。早い者勝ちよ!」


 我先にと庭師のポールがやって来ました。

「ポールいつもきれいに庭を整えてくれてありがとう。出血大サービスよ、はい」

 と焼けた肉を大盛に乗せてあげます。


「奥様、このタレというのものはいいですね~」

「でしょう、私特製ですもの。たくさん食べてね」

 二台作って貰ったコンロの一つにはベイベリー邸の使用人達。もう一台の周りにはマリーにバージル、ダニエル、ビオラといつもアンナを警護している護衛の騎士二人、そして目の前のバラの庭園の門番をしてしているジャックを呼びました。


 ジャックはバージルとアンナが付き合い始め庭園でデートを重ねるようになってからの顔見知りです。

 庭園の正面門から裏門の番に交代で入るとベイベリー邸からアンナの料理する匂いが流れて来て堪らないですと聞いていたので今回招待してあげたのでした。

「私の様な門兵が殿下とご一緒に食事が出来るなんて夢の様です」

 涙を浮かべながら肉を頬張る姿はなんともいじらしい。


「そういえば、もうすぐドルチェの皇帝夫妻がお越しになられますが」

「ええ、一年半ぶりにナリス様にお会いできるのでが楽しみですわ」

 ずっと護衛に付いてくれているジェイドがアンナに問いかけるとアンナは笑みを浮かべて答えた。

「わたしも元気になられた皇妃様に早いお会いしたいです」

 ロブスターが妬けるのを待ち乍ら香ばしく焼けたソーセージをはふはふし食べているマリーもまた皇妃との再会を楽しみしていたのでした。

 そんなマリーの頭を撫でながら


「少し厄介な土産も持ってるがな」

 バージルは面倒臭そうに呟きます。


「心配いらないわ。このビオラに任せないって!


 それにもうすぐドロップも戻って来るわ。楽しくなるわよ」

 そう言いながら肉を齧るビオラの目が怖いです。


 水の精霊ドロップはドルチェから帰国する際、聖女マリーに離して貰えず先に帰国していた。

 後日アンナ達が到着するのと入れ替わりに旅に出るわとあっさり消えてしまったのである。

 精霊らしい気まぐれな行動だった。

 アンナの足元にすり寄って来たフォルヴァにまだ焼いてない生の塊肉を上げる。

 聖獣フォルヴァと共に猫に化身していたドロップが姿を消しフォルヴァも少し寂しそうだと思っていたアンナは肉を鋭い牙で切り裂きながら食べるフォルヴァの頭を撫で


「フォルちゃん良かったわね、ドロップがまた来てくれるそうよ」

 というと彼はふんっ、首を振ったのでした。


『うふふ、本当は嬉しいのに照れ隠しね』

『ええ、私もそう思うわ』

 ビオラとアンナが念話で会話しお互いにクスリと笑う姿に気付いたバージル。


「ビオラ、時々で良いからまたアンナと念話が通じるようにして貰えないだろうか?」


 小声でビオラに頼むのを聞き逃さなかったアンナは二人の間に入り断固反対する。


「アレはもうダメです!!!」


 何故駄目なのか想像できるダニエルはバージルの肩をポンと叩きながら


「最初の使い方を間違えたからだろう?」


 ダニエルに皮肉を言われ「ちっ」と舌打ちをするバージルに、全く何を考えているのだか。

 ドルチェ帝国での魔術大会の際、ビオラが私とバージルに一時的に念話が使えるように魔法をかけた。

 でもバージルの意図は別にあったのだ。

 何時ぞやの夜のように念話で愛を囁かれ続けたら気が落ち着かない。昼は仕事も出来ないし夜も眠れなくなるじゃない!


「邸でも一緒、執務室もお隣同士なんだから念話は必要ないでしょう!」


 両手を腰に当ててアンナに窘められそこにいた全員が王子が落ち込む姿に笑いたいのを堪え見て見ぬふりをします。

 すっかり気落ちするバージルにフォルヴァはざまあみろと生肉で血塗られた口元を少しだけ上げたのでした。


 その後何事も無かったように皆は初めてのバーベキューを楽しみ?第一回ベイベリー邸バーベキュー大会は三時間ほどで幕を閉じ、皆片づけを手伝いそれぞれの持ち場へと帰って行ったのでありました。

 




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