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俺は夢と異世界を行き来する  作者: 井ノ上
ピノ達との出会い~ヴァルドルフ国境戦争~神聖魔国ルメリア編
19/48

第19話 シン歓喜。英雄ドラゴン。

神聖魔法の設定は僕が勝手に考えました。

物語はまだまだ続きます!

 ----神聖魔国ルメリア・教会区大教会----


「そこの2人! それではダメです。もっと神に深く祈りを捧げて念じるのです。もう一度!」

 タモン神父が二人に指導している。どうやらうまくいっていない様子。


「……。はっ! 神聖魔法・気(フォース)!」

「…。はーー! 神聖魔法・気(フォース)!」


 邪悪な粘土で出来た人形がズラリと並んでいる。

 その人形へピノとリリナは神聖魔法を放つ練習をしていた。

 だが、うまくいっておらず失敗している様子。

 タモン神父は神聖魔法の先生である。


「はあ……。良いですか? 神聖魔法というのは神に対する信仰を忘れてはいけません。強く祈り心の底から湧き出たエネルギーを相手に放つのです。見なさい。あの少年を」


「…神聖魔法・気(フォース)!」

 光に包まれた人形が崩れ落ちた。

「へへ! やったぜ!」


「シンは良いなあ。最初から撃ち方知ってるし成長も早い」

「ほんと! 羨ましいわ。完璧に予習出来ていて最後に微調整って感じ!」

「はいそこ! 無駄話はしないように。どんどん励んでください!」

「は、はいっ!」


 二人はひたすら祈り、練習を続けている。


 タモン神父が俺の方へ歩み寄る。

「シン君、君は明日には合格出来そうです。かなり神聖魔法の勉強をされていたようですね。

 君に足りなかったのは信仰心のみであとは100点でした。今は信仰心もほぼ100点でしょう!わずか1週間でここまでやるとはなかなかですよ」


「ホントかタモン先生! これでアンデッドも確実に仕留められるか?」

「安定して今の様な魔法を繰り出せれば可能です。大事なのは如何なる状況に於いても心を乱さない事。心の乱れは信仰心を大きく阻害し結果不安定な神聖魔法となるのです。

 どんな状況でも強い心を持ってくださいね。明日、貴方はテストを受けさせます。それに合格すれば貴方は立派な聖職者ですよ!」


「やったぜ!サンキュータモさん!」

「タモンです。名前をお間違え無いようお願いします。これでシン君が僕の名前を間違えたのは42回目です。」

「へへ、すまん! タモ……ンさん!」


「はぁはぁ……。難しいなリリナ。神聖魔法がこんなに大変なものだとは思わなかった」

「ぜぇぜぇ……。ホントね、神様にお祈りしながらさらに詠唱も同時になんて一気に出来ないわ。難しい!」


「えい!」

「やぁ!」

「とう!」


 ピノとリリナはひたすら練習に励んでいた。


 ----翌日----


「二人とも、俺は今日朝早くからテストなんだってさ! 行ってくるよ! って寝てるから聞こえないか!」


 ピノとリリナは別々のベッドでそれぞれ寝ている。ピノとリリナは昼からの練習らしい。



 大教会の一室でタモさんと俺は集まった。


「それではテストを始めます」

「ええ! ペーパーテストあんのかよ!こんなの聞いてねーよ、タモさん!」


「はいっ!43回目です。……シン君の心にしっかりと神や信仰に対する知識が備わっているかの確認をしなければなりません。では40分後に答案を回収します。始め!」


(おい、トモ! わかんねーぞ! 聖書見た記憶引っ張り出してくれねーか!)

《いいのか? カンニングはバレたら失格になるぞ!》

(へへ、まあそう言うなって!)


 ----40分後----


「はい! そこまで。今日はシン君しかテストを受ける者が居ません。この場で採点させていただきます」

「…………。素晴らしい。見事合格です。まさか全問正解とは……」

「へへへ、なかなかやるだろ?」

 本当はカンニングしたなんて言えないけど……。


「この教会始まって以来の秀才かもしれません。では最後のテストを行います。部屋を移しましょう」


 ----大教会地下広間----


 タモさんに付いていき地下へ降りた。やや薄暗い大きな広間に俺は案内された。

 周りには大量のロウソクと中央の地面には赤い字で大きな魔法陣が描かれている。魔法陣の隅には真っ黒なローブを纏った老人が立っていた。

 教会にこんな怪しい場所があるなんて意外だな。あの赤い字は血か? なんかやばそうな場所だ。


「ここでは本物のアンデッドを呪術により3回召喚します。試験官は僕です。目の前に現れたアンデッドを神聖魔法にて2回以上消滅させたら試験は合格になります。

 召喚は熟練の呪術師をお呼びしています。注意事項として、これ以上は危険だと判断して、僕がアンデッドに手を下す場合がございます。

 その場合不合格となります。……では始めます」

 

 え。そんないきなり始めるのかよ!?はええーよ! タモさん!


 呪術師が何かを唱え始めた。

「…呪術・骸骨(カース・スケルトン)……」


 魔法陣にスケルトン族が現れた。


「仕方ねえ! やってやらぁ! …神聖魔法・気(フォース)!」

 スケルトンは光に包まれて消滅した。なんだ? 結構楽勝なやつなのか? 滅茶苦茶弱いぞ、こいつ!


「…呪術・屍狼(カース・デスウルフ)……」


 今度は屍狼族が現れた。今度は一筋縄ではいかなそうだな。


「さて、小手調べに…神聖魔法・気(フォース)!」


 デスウルフは光に包まれ苦しそうにしている。が、神聖最下位攻撃魔法である"気"では消滅には至らなかったようだ。デスウルフは俺に向かって走ってきた。


「仕方ない。これでいくぞ!…聖葬円陣(バニッシュ)!」

 デスウルフは強力な光に包まれ消滅した。はい。見事合格いただきました!! これで終わりだな!


「これは凄い。高位神聖魔法バニッシュ!」

「ぃやったぜ! これで合格だよな? タモさん!」


「合格です! ですが召喚は三度行われます。最後の敵は倒せても倒せなくても合格です。心してかかってください」

「……………呪術・大賢者(カース・リッチ)…」


 リッチが現れた。


 嘘だろ? リッチだと!? ゴツイ杖を持っている。あれ、鎌は持って無いぞ。あくまで召喚された個体は偽者なのか? こいつがこんな所で出てくるとは!


 俺は緊張と恐怖で心臓の鼓動が早くなっていた。膝が緊張して震えていた。怖い、俺は焦っている。自分でも分かっている。だけど身体が言うことをきかないのだ。


「こいつは絶対に倒す。俺の宿敵だ! …聖葬円陣(バニッシュ)!」

 リッチの身体が光に包まれた。だがリッチは平然と立っていた。くそ、あの時と同じだ……。光がおさまったがリッチは消滅しなかった。


「彼はアンデッド族頂点の大賢者リッチ。一筋縄では倒せません。焦って信仰心を忘れてはなりません! 強い心を持つのです!」


 そうだ。俺はいつも死神(リッチ)が現れては、焦ってばかりいたんだ。悔しいがちょっとあいつの力を借りるか……。

(トモ。俺の脳からアクセスして心臓の鼓動を平常に戻せるか?)

《お安い御用だ。………これでいいか?》

(さすがだな。ありがとな!)


 俺は目を閉じ集中し、心の底で大きく信仰心を溜め込む。身体中からエネルギーが湧いてくる。こんなのは初めてだ。

 リッチは俺に接近してきた。手に持つ大きな杖で俺に殴りかかろうと両手を大きく上げた。

 俺は焦らない。まだだ……まだ……もう少し。



「……いまだ! 神聖大魔法(ホーリー)!!! うおらあぁぁーーー!!」

 リッチの身体の中から聖なる光が溢れ出てくる。暫くするとリッチの身体の内部から大爆発が起きた。

「な、なんと!? ホーリー!」

 驚くタモさん。

 リッチはホーリーを食らい跡形もなく消滅した。コイツが本物かどうかは別として俺は心の底から達成感を得た気がする。

「わ、わしの最強のリッチが! あの子供は一体!?」

 驚愕の表情をする呪術師。


(ありがとうな、トモ! また助けられたな)

《ははは。お安いご用だ!》

「へへ、俺の勝ちだ。これで完璧合格だよな!」


「素晴らしい。見事合格です! 3度目の召喚者を倒せた者はここ30年誰も居なかったのですよ!」

「ありがとうなタモさん! これで安心してアンデッド族と戦える! ところで30年前にリッチを倒した人ってどんな奴なんだ?」


「その方は最強の魔法使いでして、頭も良く一瞬のうちに合格されていきました。ホラっ! 今日の魔法新聞で名前が出ていたメイガスのドラゴン将軍ですよ!」

「なんだってーー! 俺の親父が!?」 

「えっ!? シン君のお父さんだったんですか!? あの方は凄かったんですよ。

 だってあのリッチを1秒も掛からず消滅させてしまいましたからね……」

 

 さすが親父だな。今のリッチを1秒も掛からず倒すなんて……。恐ろしい程に強いな……。

「ああ! ドラゴン将軍は俺の親父だよ! 今はノースなんちゃらに戦争しに行ってる」


「その件なんですが、一昨日の晩にノースラミエル軍とメイガス軍の連合軍が帝国軍に圧倒的勝利を収めたようですよ! なんでもドラゴン将軍の強力な魔法で決着がついたみたいです。さすがはリッチを秒殺した方ですね」


「タモさん! それは本当か!!?」 

 数年は戻れないと聞いていたがそれが本当なら直ぐに親父と再会出来そうだ。これはうれしい!


「ええ! 間違いないでしょう! 負傷者の手当てや準備が終わればじきに帰国するかと思われますよ」

「やったぞ! また親父に会えるんだな!」


「それは本当に良かったですね! おめでとうございます。あ、そしてこれは合格章です」

「タモさんサンキューー! また何処かで会おうな!」


「はいっ! ちなみに47回目になりますね。最後までほんとしょうがない子です。ははは。ではまた何処かで! シン君!」


 俺は神聖魔法の極意を会得した。わすが1週間で終わった。

 俺は空いた時間で街を自由に散歩する。


 一方その頃、ピノとリリナはまだ神聖魔法の修行をしていた。


「てい! …神聖魔法・気(フォース)!」

「ピノ君、もっと集中しなさい! 見なさい。あの女性を!」


「…神聖魔法・気(フォース)!」

 リリナの神聖魔法で邪悪な人形がボロボロに崩れ落ちた。

「てへへ!」


「く、悔しいが僕には神聖魔法の才能が無いようだ、くぅーー!」


 ----1週間後----


 皆が宿屋に集まった。グリーズに任せていたネロが随分と大きくなっている。あいつ成長はええ! 俺との再会にネロは凄く喜んでいた。

 

 ピノが俺たちの前に立った。

「よし、みんな集まったみたいだな! みんな神聖魔法の試験を無事合格出来たし、そろそろメイガスへ戻ろう!」

「あぁ!」

「おう!」

「うむ」

「はいっ!」

「ギャーギャー!」

 皆が同時に返事をした。また大樹海を通るのは憂鬱だなーー。ゴーストとかマジで気持ち悪いからなあ。

 まあ神聖魔法も強化出来たし、みんな居るしなんとかなるか!


 こうして俺たちは再び来た道を引き返しメイガスへ帰国する為に神聖魔国ルメリアを出発した。

余談ですが、タモン神父は僕の知り合いにいるタモさんから名前を借りました。本人了承済!


次回。 堕落まどうし、またまた出現!

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