第14話 メイガス大樹海。
戦闘描画はこれで落ち着きそうですが、果たしてこれで良いのか疑問です。詳細に書くと戦闘描画だけでかなりの文章になりそうです。ですが、重要な戦闘描画はそれなりに長く書きたいと思っています!
病院はその日の昼前に退院させてもらった。
俺達は1週間後に神聖魔国ルメリアへ神聖系魔法の修行の為に出発する事となったのだ。
----メイガス・軍本部区----
「さて、俺の家へ行こう。すぐそこだ!」
「ありがとう。僕は君の家に入るのが楽しみだ!」
「すげーー。軍本部区に入るのは始めてだ!俺達じゃ入れて貰えないからなぁ!」
「アマンダ、ここでいつもみたいに喧嘩しちゃダメだよ! また捕まっちゃうからね?」
「心配するなよリリナ、俺はシンの家がどんなものなのかワクワクしててそれどころじゃないのさ」
「よし! 着いたぞ。ここが俺の家だ。ちょっとここで待っててくれ」
「なんという大きさだ……。まるで城のようだな」
「ただいまー!昨日はちょっと修行してて帰りが遅くなった! ごめんなさい!」
昨日あった話を誤魔化した。すまん。ルージュ。
使用人達が慌てて出てきたがホッとした顔で出迎えてくれた。
「シン様、帰りが遅くて皆心配しておりました。無事お帰りになられて安心致しました。御昼食は取られていかれますか?」
使用人の主任ルージュだ。整った顔つきの女性で歳は20代後半くらいかな。親父ととても仲が良い。
「ルージュ、その事なんだが。今日は4人友達を連れてきたんだ。彼らはテラワールド・ギルドズで活動してる冒険者だ。食事は勿論、一週間ほど泊めたいんだが空いてる部屋は何部屋かあるか?」
「はい! 勿論全員分ございます。お食事の方は今から厨房へと連絡させて頂きます。それにしてもシン様。もう4人もお友達をお作りになられたんですね。わたくしは嬉しい限りです!」
「うん! 歳はバラバラだけどな! いつもありがとう。じゃあいまから友達を連れてくるよ!」
「「「「お邪魔しまーす」」」」
「すごーーい! これがシン君のお家なの?ホントに広いわね! アマンダ、あれを見て! シャンデリアよ」
「うおーー! こんな豪華な家は初めてだ!凄いぞ。あは!」
《おい!!! シンみたか? 今、俺のアマンダが可愛いく笑ったぞ! やっぱかわいいなぁぁーー!》
(ああ! 見たよ。ったく!)
食事を済ませた後、俺は休憩室へ皆を集めた。
「みんなを呼んですまない。ちょっと色々考えてみたんだが俺やっぱルメリアへ行くの辞めようかと思う。俺と同行するとみんなに迷惑掛けそうなんだよ。ほら、俺リッチの呪いがあるからさ、毎日夜になると俺を殺しに無数のアンデッド達が襲ってくるんだ。今さらだが本当にすまない。俺みたいな危険な奴は昼以外は大人しく家に居たほうがいいんだ」
「シン、そのアンデッド達は大量のウェンディゴの事かい? 先日バトル・ログに沢山残っていたよ」
「うん。ほぼ無限に沸いて出てくるんだ。それにリッチも出てくる」
「なるほど……。それはかなり厄介だね。だけど君がこの国に居る間だけは対悪魔障壁で安全って訳か」
「……あっ! リリナ。例の本を貸してくれ」
「はい! これの事でしょ?」
リリナは分厚い本を鞄から出してピノに差し出した。
ピノは本のページをめくって何かを探している。
「あった! これだ。シン、君の呪いはこの小型対悪魔障壁で防げそうだぞ!」
「ほんとか!?」
「だけど障壁を展開中は魔覇を常に一定量消費すると書かれている。夜間16時間障壁を張るのは難しいだろう、でも……問題なのが詠唱呪文はこの本には載っていないんだ」
もしかしたら!!
「ちょっとみんな地下シェルターに来てくれないか? ちょっと閃いた!」
----地下シェルター内----
「ここは俺の魔法の練習場として使っていた場所だ。ピノ、さっきの本のページを見せてくれないか?」
「ああ。構わないよ」
「デーモンバリアって言うのか」
(トモ、デーモンバリアという魔法はアザトースの記憶にあるか探し出せないか?)
《ああ、今やってる。………残念だが無いな。おっ! ……だが同じ効果で消費魔覇がずっと少ないデビルズフィールドを見つけたぞ! 使ってみるか?》
(なんだと!? そんなものがあるのか。準備をしたら始めてみよう!その前に……)
「みんなよく聞いて欲しい、俺はトモという名のもう1つの頭脳を持っているーーーー」
俺は皆に現実世界関連の話を伏せつつトモとの出来事を説明した。さらにアザトースの記憶の事はトモが生前大魔道士だったと言うことにしてすり替えた。勇者の記憶の事は絶対に見せびらかすなと親父から厳重に言われているのだ。騙したくは無いが、仕方がなかった。
「なるほど。それで君は魔法をある程度使えると言う訳か」
「魔法の話は苦手だ! 俺はモンクだし魔法はさっぱりなんだよ!」
「つまりトモ君がシン君の代わりになって詠唱してくれていると言うことなのね、凄いわ!」
「そういう事なんだ。そしてこれが今トモから教わった強化魔法……」
「…対悪魔結界!」
足元に魔方陣が現れ、うっすらと光る半透明の球体が俺を包み込んだ。成功したのか?
「「「おおっ!」」」
皆が驚く。
「一応うまく行ったようだ! 誰か俺に悪魔系の魔法を撃てないか? 実験だから弱い奴で頼む!」
俺がそう言うとグリーズが前に出てきた。
「ならば私が。悪魔族が使用する魔法でやってみよう」
「…悪魔魔法・吸収。」
グリーズから出た黒い玉が俺に向かってくる。だが玉は俺に近づいた瞬間消えた。
「私の魔法が結界の前に消えた。恐らく成功だな」
「ありがとう! これでみんなとルメリアへ行けそうだよ!」
こうして対悪魔結界が完成した。そして皆はそれぞれ俺の家を満喫していた。リリナとアマンダがバスローブ姿で風呂場から戻ってきた。
「シン君が羨ましいなぁ。あたしも毎日こんな家に住みたーーい!」
「リリナ! 俺はここの飯と風呂が気に入ったなーー! それにこのバスローブも!」
「二人ともこの家が気に入って貰えて良かった! それもこれも親父のお陰なんだけどな」
《アマンダちゃんスタイルいいなあ! めちゃくちゃ美脚だし、はあはあ》
(トモ……。お前生きてたら襲ってるよな?)
一方。ピノとグリーズは地下シェルターで修行をしているようだ。
そして1週間後の朝。
「ルージュ、俺はこれから神聖魔国ルメリアへ赴く。すまないが留守の間は家の事は任せた。最低でもひと月は掛かる!」
「皆が心配しております。どうかお気をつけてください。決して無理は為さらないでくださいね?」
「ああ。ありがとう。皆と一緒だから心配いらないさ」
「「「いってらっしゃいませ!!」」」
使用人達も別れの挨拶をする。
「皆さんありがとうございました。このピノが皆を代表してお礼を申し上げます!」
俺達は家を後にした。そして南東にある神聖魔国ルメリアを目指す。
----メイガス魔法門・外----
やっと外に出られたな! さてと。
「身体強化・組織増幅!」
俺は巨体化する。
「おお!? 大したもんだな!」
「あんなに小さかったシン君がこんなに大きくなるなんて!」
驚くアマンダとリリナ。
「驚かせてすまない。さぁ行こう!」
そして夕方になる頃、俺達はメイガス大樹海に差し掛かる。
「シン君、そろそろ始まるわ。気を付けて!」
「ありがとう。リリナ。そろそろだね」
「…対悪魔結界!」
俺の身体は光の球に包まれた。
「よし、みんな俺は大丈夫だ。行こう!」
「門から今までモンスターが1体も居ないんだよなぁ。退屈だなぁ」
「皆分かってると思うが、この辺りから魔物の強さがひと回り強くなるだろう。アマンダ、平和が一番なんだぞ?」
俺達はメイガス大樹海の入り口に到達する。
その時だ。
正面の森の中から体高3mほどの巨大な甲虫が3体姿を現した。直ぐに気が付いたリリナが魔法を詠唱した。
「来るよ! 構えて! …能力解析魔法!
巨大甲虫
脅威度(B)
(甲虫族)
魔物進化ランク(3)
攻撃意思:高 」
「ランクBが3体。どうやら相手に高い攻撃意思があるわ。気を付けて!」
「僕を中心に全員配置に付け。シンはリリナの横で後方射撃、他は通常通りに行動しろ。グリーズ。中央の奴を行動不能に出来るか? アマンダ。お前に先陣を切ってもらう!」
「待ってました! 一番速く動ける俺にまかせときな!!」
「さて、私の魔法で踊ってもらうとしようか……」
グレートヘラクレスが3体現れた。
3体がこちらに走ってくる。
「…範囲物理防御!」
リリナの魔法でメンバー全員の物理防御が上昇する。
「初手いくぜ。身体強化・黒拳! うらーー!」
バキボキッと音がした。アマンダの攻撃でグレートヘラクレスの1体目が大ダメージを受けたようだ。羽には大きな穴が空いている。
「…暗魔法・乱」
グリーズの魔法により2体目のグレートヘラクレスは頭が狂ってその場でひたすら回りだした。
「……超豪炎!」
俺はアマンダが弱らせたグレートヘラクレスに魔法を放った。全身が燃えて力尽きたようだ。
「高位魔法か! 凄いな、シン!」
3体目のグレートヘラクレスは空高く飛翔し、距離をとっている。
「身体強化・超脚力! これでも……食らええーー!」
アマンダは空高く跳躍し、グレートヘラクレスに踵蹴りを食らわせそのまま地面に叩きつけた。
「ふんぬっ!!」
グリーズは軽く跳躍し両手剣でグレートヘラクレスを真っ二つに叩き割った!
3体目のグレートヘラクレスは力尽きたようだ。
ピノが動いた。
「もう十分だろう。もう1体は長時間寝ててもらおう!」
「……催眠魔法・深!」
2体目のグレートヘラクレスはどうやら寝たようだ。
(すげぇー、こいつら相当パーティ戦闘に慣れてるな。俺なんかどうすれば良いかよくわからなかった)
《うむ。俺のアマンダちゃんが大活躍であったな!》
----メイガス大樹海----
「この辺は夜になるとゴーストがいっぱい出るのよ。彼らには物理攻撃が効かないわ。気を付けて」
「ゴ、ゴーストか! 別にこ、怖くなんて無いんだからね?! アハハ!」
絶対に怖がってるよね? この反応。
「ん。アマンダはゴーストが苦手なのか?」
「10年前、6歳だったアマンダを保護した時に周りはゴーストだらけでな。それからはゴーストが苦手なようだ」
「おい。グリーズ! よ、余計な事喋るなよ! 俺の株が落ちるだろ!?」
「すまない」
「もう真っ暗だな。ピノ。なんでこの森から魔物がひと回り強くなるんだ?」
「この樹海にもアルセナのように魔覇が漂っているんだ。だからさっきの魔物のように脅威度Bランククラスがごろごろ居るんだよ」
「そうなのか。ランクはよくわからないけど、敵が強いってことだな!」
「もう少し進めば休憩出来るポイントがある。ピノ、一旦そこで暖を取らないか」
「あぁ。賛成だ、グリーズ。」
◇◇◇
俺達は休憩ポイントで焚き火をした。
「はあぁ。疲れたわね」
「出発から歩きっぱなしだからな。ここで見張りを決めて軽く仮眠を取ろう。シンは絶えず結界を張り続けている。まず君に仮眠を取ってもらうよ」
「あぁ。分かったよピノ。すまないな」
ガサガサッと奥の茂みから音がする。何か居るようだ。
「みんな警戒しろ! 奥の茂みからなにか来るぞ!」
「誰だ? 俺の睡眠妨害する奴は!」
今回はトモのクレイジー化は殆ど有りませんでした。トモが暴走している時に敵と遭遇したくないものですね(笑)
次回。 ゴースト。