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華恋との出会い

 今日も素晴らしい昼下がり。

 冬も過ぎ、春の訪れを感じる柔らかな風が頬を撫でる。

 美味しい昼ご飯を終えて、仕事……に取り掛かる前に一休み。嗚呼、いつものパターンならこのまま夕方まで寝て、事務仕事を放り出してしまう流れ。やらなきゃならないからやるにはやるんだが、本当に事務仕事って退屈で嫌んなっちゃう。誰か単純作業が大好物で、同じことを永遠に繰り返すことに幸せを感じる人材はいないものか。

 そんな奇跡の人間なんているわけないよなぁ……。


「ちょっと、暁。今寝たら後で後悔するよ。随時仕事が増えてるんだから」


「んあ……牡丹か。おつかれ……報告書は事務所に置いておいてくれ。あとでまとめておくから」


「『あと』じゃなくて『今』でしょ。ほら起きた起きた。揺り椅子に座ったらすぐに寝ちゃうんだから」


「よろしければ私も手伝います。暁さんは宿泊施設とその周辺の整備で忙しくされているでしょうから」


「スカサハは暁を甘やかさないで。ギルマスになってまだ1年ちょい。こんなんじゃあ先が思いやられるわ。文字だってまだ完全にマスターしてないし」


 くっそぅ……牡丹のやつめ、痛いところをつきやがる。

 こっちは朝から宿屋を建設してるワルクマン一族への挨拶、外国から出稼ぎや住居を求めてやってくる人へのガイドマップの作成。薔薇の塔の破塔状況の確認。各階層における、獲得したアイテムや食料品の価格設定。アルマが作った簡易魔法符(インスタントマジック)の効果の査定やらなんやら、本当に忙しいんだってば。

 昼寝しないとやってらんないよ。

 先日にクレアが謎解きをしてくれたおかげで破塔も進んで、喉のつかえが取れたと思ったら仕事が増えるんだもんなーもぅー。誰か事務員してくんないかなー。まぁ事務仕事するんだったら中央機関に行くよなぁー。給料いいし、安定してるからなー。

 文字が読めて普通に仕事できるってだけで高給取りだもんなー。


 戦闘ができるんだったら破塔するか龍の外国遠征に付いて行くよなー。新しい物を見つけに行くのは楽しいもんなー。貴重なアイテムが見つかったら、それがなんにせよ高額で買取してるもんなー。


 あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜空から優秀で可愛くて美人な事務仕事が大好きな美少女が降って来ないかなぁ〜〜〜〜〜〜〜〜。


「そんなの降ってくるわけないでしょ? 現実見ろよ。報告書の山」


「ぐっふぅッ! デコピンするなよ。超痛いじゃんか」


「あの……暁さん。空からではないのですが、露頭に迷ってそわそわしていた少女なら連れて来ました。身なりや言動からして、また異世界からの来訪者かと。どうぞ、入って下さい」


「え……また?」


 どうもここ最近は次元を超える迷子が多いな。

 リィリィ然り、セチアも異世界から弾き出されたようだと言っていた。2人はなぜか、わりとすんなりこの世界を受け入れて、暮れない太陽と蝶の中間地点にある小さな小屋で住居を構えている。

 今はここでの生活に慣れるためにひっそりとしているが、いつか花を植えて、綺麗な花々が咲き誇る楽園のような場所にしたいと微笑んでいた。


 鬱屈気味だったリィリィもセチアのおかげで元気を取り戻している。セチアの植えた明るい花や、もとからそこにあった蓮池で遊んだりなんかして楽しそうにしていた。

 思うところはあるだろうけど、今が元気でいられることが大事である。


 さて、今回現れた迷子はどうだろうか。

 元の世界に戻りたいのだろうけど、その術はここにない。少なくともしばらくはメリアローザでの生活を余儀なくされる。辛抱はしてもらわなくては。せざるを得ない、と言わざるをえないのだけどね。


 うっすらと紫がかったミドルロングの黒髪。

 涼しげな目元は瀟酒で知的な印象。

 辺りを見渡してあれはなんだろうと言う表情。

 しかし不思議なことに、動揺とか、不安とかは感じない。慣れているのか。そもそも異世界からの来訪者というのが勘違い?

 服装はやはり見たことがない。

 ノリの張った薄手の長袖。

 ワンポイントやラインの入った茶色地のブレザー。

 やたらと丈の短いチェックのスカート。

 膝より上のハイソックス。

 靴も見たことのない素材。テカテカしていて硬そう。


 スカサハの見た目通り、異世界からやってきた確率は高そうだ。色々と聞きたいがまずは挨拶。これが肝要。敵ではないと示しておかねば警戒される。初対面とはいえ、多少の信頼は得ておかなければ話しにならない。


 彼女の名前は鬼ノ城華恋。14歳。

 学校での生活が馴染めず、父親とのすれ違いもあって家出を敢行。走り出して着いた先が異世界とは、これはまた気合いの入った家出ですな。

 ともあれ家出ということはしばらくして落ち着いたら家へ戻るかもしれないが、若人を導くのも大人の仕事。衣食住は保証しましょう。


「ご丁寧にありがとうございます。しかし家へ戻るつもりはありません。スカサハさんも牡丹さんもとても親切ですし、私はここで暮らしたいと思っています。突然やってきてこんなことを言うのも申し訳ないのですが、ここで働かせていただけますでしょうか?」


 Oh......こいつぁ筋金入りだねぇ……。

 まぁそもそも、来たはいいが帰り方が分からないらしい。ならばここで働いて、明日のおまんまありつけなくては干からびるのみ。藁にも棒にも齧り付いて生き抜く他にあるめぇよ。ということです。

 やけに冷静なところを除けば、生きる気力のある人は大歓迎。理由はなんにせよ、やる気のある人間には好感が持てる。


 ではさっそく何が出来るのかと聞いてみると、何ができるか分からないと言う。

 ならば何をしていたのか聞いてみると、勉強、おしゃれ、料理の3種。いいじゃないか。勉強ということは文字が読めるということ。試しに食堂の欄間に掛けてあるお品書きを読ませてみると、全部正しく言い当てた。

 この子は……もしかしたらあたしが待ち望んでいた奇跡の美少女かもしれない。


 腹が減っては戦はできぬと提案すると、お金を持っていないし、頼ってばかりでは申し訳ないと言い張る真面目さ。相手のことを気遣える心の余裕があるとは驚きだ。仮にあたしが異界の地に放り出されてこうまで冷静でいられるだろうか。

 ……いやぁ、冷静でいられる自信はあるなぁ。慌てたってしょうがないもんなぁ。


 相手を気遣うのは大事だけど、親切を断ることは時として適切ではない。今はその時。そう諭すと素直に礼を述べるところも可愛らしい。見た目も中身も合格です。


 さぁさそれでは本命に行きましょう。

 まずは溜まりに溜まった書類を日付ごとに整理。

 次に採取報告書と狩猟報告書の2つに分類。

 そこから換金した額と合計額が正しいかの確認。不備や数字にミスがあるものは再提出するためにチェックを入れる。

 要所を掴んで整理すれば簡単だよとだけ付け加えると、例に倣い若い日付順に左端の数字を整えていった。書類の仕分けもお手の物。魚の切り身を骨と身に分かるが如き素早さでばっさはっさと両断していく。

 計算も早い。計算器を渡すより前に暗算で数字を弾き出している。数字の羅列を上からなぞり、頭の中で華麗に足し算。計算間違いのある書類は正しい数字を赤色で書き直す優しさ。

 念のためにダブルチェックをしてみたが、どれも完璧にこなしていた。1つのミスもない。凄いを通り越して怖くなってくる。

 しかも、驚くことに、なんと、あろうことか、彼女はこの反復作業を、『楽しい』と言うではないか。


 正気かッ!?


 この子、まさにあたしが、あたしたちが求めた究極の生物に違いない。異世界から家出とかもうどうでもいい。

 心配してくれているご両親や友人には悪いが、とにかく華恋をこの場に留めさせておくことを考えよう。それも最優先事項で!


「よし。華恋はメリアローザのことを知らないし、帰る方法がないのであれば、しばらくか、あるいは一生をここで過ごすことになるだろう。だからまぁ、最低限、知らないといけないこともある。そこで、牡丹に街を案内してもらったり、宿の手配とかいろいろしてもらおうと思うんだけど、どうかな?」


「まぁ〜かせて☆」


「微力ながら私も助力させて下さい。外から来たもの同士。何か気付きや発見があるかもしれません」


「頼むぞスカサハ。ちょ〜期待してる☆」


「あの……でも本当にいいのでしょうか。あまりご厄介になってばかりでは」


「いいのいいの。困った時はお互い様ってね。そういうわけで、今やった事務作業を手伝ってもらえると助かるよ。勿論、給料も出す。住む場所も手配する。街の案内もしてあげる。困った時は牡丹やスカサハ、それ以外にも頼れるやつらはいっぱいいるから、気兼ねなく相談してくれ。みんなにはそういうように伝えておくから」


「あ……ありがとうございますっ!」


 よっしゃこれは完璧に釣れたでしょっ!

 心の中でガッツポーズを決め込んで、牡丹に手を引かれ、まずは服を見に行こうとさっそく仲良くなれそうな雰囲気。

 よしよし、僥倖僥倖。

 これで事務仕事から解放されるぜっ!




 見知らぬ景色。

 初めての匂い。

 360°見渡せど、常識の外の世界が広がっていた。

 家出のつもりが、とんでもないところまで突っ走ってしまったみたい。最初は目を回して慌てふためいていたけれど、慌てたところでなんとかなるものでもないし、うん、これは諦めが肝心というやつ。

 冷静になって考えてみれば、あんなクソ面白くもない世界になんて未練はない。友達もいないし、父親とは全然喋らないし、ここで新しい人生をスタートするのも悪くない。むしろいいことなんじゃないだろうか。

 見たところ、文明レベルは私が暮らしていた世界に劣るようだ。であれば私は未来人と同義。技術やシステムを逆輸入していけば、衣食住くらいはなんとかなりそう。


 しかしまずはここでの生活様式を知る必要があるだろう。頼れる人を探さなければならない。慎重な判断が求められる。が、よく考えてみれば、異国の人間と善意で付き合ったり、仕事を紹介してくれたりするものだろうか。自分であれば『否』である。

 君子危きに近寄らず。

 自ら面倒ごとに首を突っ込むなどありえない。

 むこうから声を掛けてくれるなんて期待はしないほうがいいだろう。


 するとこっちから声を掛ける?

 それこそ無理。なんの話しをしていいか分からない。

 異世界から来たかも、なんて言おうものなら頭のおかしい女のレッテルを貼られてお終い。

 どうしたものか。

 いや本当、どうしたものか…………。


 頭を抱えて困っていると、和服姿の女性に肩を叩かれた。あからさまに困っている様子だったから声をかけてみたということ。渡りに船とはまさにこのこと。しかし見ず知らずの人間を信じて良いものだろうか。

 隣にいる女性は黒衣のうえに槍を持っていた。コスプレとかそんなんじゃない。素人目に見ても、使い込まれた感のある武器。

 マジか……本物じゃん。

 和服の女性に視線を戻す。武器になるようなものは何も持っていないように見える。自分に危害は及ばないだろうか。そればかりが先に立つも、手をこまねいていては埒があかない。

 まぁ、異性に声を掛けられるよりはマシかも。

 考え込んでいる私を不思議そうに見る2人。

 こういう時、なんて言って返そう。どんな言葉が適切なのか。

 …………答えが分からない。


 見た事はあるけどまるで違う空。

 ここはかつてあった日本の古き良き時代のよう。

 だけど嗅いだことのない匂いが、幻想の世界を思わせる武器が、異世界なんだと現実をつきつけた。

 さて、声をかけられて、どう反応したものか。正しい答えを探るより先に和服の女性は微笑んだ。


「もしかして、疑ってる?」


「え、いや、そんなことは……」


「? 疑う事は悪いことではありませんよ。むしろ普通です。知らない人に肩を叩かれたら驚くものです。ですが、どうか『疑うこと』と同じくらい、『信じること』も大事にしていただけると嬉しいです」


「『疑うこと』と同じくらい『信じること』が大事…………ッ!?」


 膝から崩れ落ちる衝撃!

 まさかそんな言葉がこの世にあったとは!

 今までの人生、そんなふうに思ったことはない。いつも身を守るために警戒して、疑って、他人を遠ざけてきた私には無い概念。

 それが理由でいじめられたり避けられたりしていた過去を、惨めで未熟な心を、受け入れて赦してくれたようで、肩の力が一気に抜けて、人目も気にする余裕もなく、地に伏してしまった。


 大丈夫かと担ぎ上げられ、震える体をなんとか保とうと努力。過呼吸ではあるが意識はある。大丈夫。落ち着け鬼ノ城華恋。平静を保つのだ。

 そうして2人の助けもあって、諦観モードへ移行した私は紅暁と言う女性を紹介してもらい、そのまま仕事を得、流されるままに今に至る。


 街の紹介ついでと海鮮丼を出してくれる食堂で超贅沢な食べ物まで奢ってもらい。衣服まで新調してしていただいた。露天風呂までいただいて、寝る場所まで手配してくれる。


 …………ここは楽園か!?


 いたせりつくせりとはまさにこのこと。

 しかしこの後に来るであろう反動が怖い。

 書類作業をして欲しいと言っていたけど、本当にあんなことでいいのだろうか。これが何よりの恩返しになると言っていたけど、あんな楽しい単純作業が仕事と言うなら、案外、社会人というのは楽しいものかもしれないな。

 今日はとにかく寝よう。

 諦観モードで未知との遭遇もやり過ごせたとはいえ、やはり衝撃の多さは着実に精神を蝕んでいた。ぐったりと横になり、布団の温かさに身を委ねる。元々ベッドで寝ていたこともあって、布団というのは少し微妙な感覚だけど、これはこれでいいものだ。

 おっと、贅沢は言っちゃいけないな。

 こんなに良くしてくれたんだ。感謝しなくてはバチが当たる。


 目を瞑って、夢に入る前にしばし思う。

 今頃、父はどうしているのだろう。

 私を探し回っているだろうか。

 心配しているのだろうか。

 そうだったらいいのだけれど。もしもそうじゃなかったら…………いや、考えるのはやめよう。今は今を楽しもう。




 朝、目が覚めて見慣れぬ景色。

 ベッドではなく布団ので寝ている体。

 おそろしくぐちゃぐちゃの髪。

 木造香る杉の床。


 そうだ、ここは異世界だった。

 はてさてどうしたものか。

 今日の予定とか、打ち合わせをしていない。

 とりあえず顔を洗って着替えて身なりを整える。

 それから……頼りになるのはあの2人。スカサハさんと牡丹さん。だけど、どうしよう、どうすればいいのだろう。ここは昨日、お昼をいただいた食堂の3階。降りて待っていれば出会えるだろうか。

 頼りになる人たちばかりと言われたけれど、知らない人に声をかけるのは勇気がいる。受け身でいられない時が来ると覚悟はしていた。だけどちょっと早すぎない?


 地団駄を踏んでばかりはいられない。勇気を振り絞って前へ進むのだ。

 階段を降りても誰とも出会さなかった。ここでエンカウントできたらどれだけ楽な展開か。そんなに人生は甘くないらしい。


 一段一段降りるごとに食堂から聞こえて来る賑やかな声が大きくなっていく。大きくなるにつれて、足取りは重くなっていった。

 食堂へ飛び込んで行ったとしてどうする?

 お金も持っていないし、どう会話すればいいかも分からない。他人を信じようにも疑うことが先に立つ自信がある。この性格のせいで、多くの人を傷つけてきた。前にしか活路が無いのは分かっているけど、なかなかどうして歩みが重い。

 まるで底無し沼に足を突っ込んでいるよう。

 ずぶっと入って、沈んでいくような、そんな気色の悪い感覚。


 やっとこさ降りきって、辺りを見渡しても見知った顔がいない。なんということだ。まだ寝ているのか。どうしよう、なんか気まずい。戻って二度寝しようかな。

 迷いに迷って引き返そうとすると、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。闊達でよく通る声。たしかこの声色は……赤毛の女性。紅暁。

 よく見ると奥の机に座っていた。前に並んでいる筋肉隆々な男性の影になっていて見えなかった。って、あんなガチムチマンたちに囲まれて平気なの?

 どんな神経をしてるんだ。ギルドマスターと言ったか。偉い人なんだろうけど、随分と若い。大丈夫なんだろうか。


「あ、お、おはようございます、紅さん」


「やぁ、おはよう。あたしのことは暁でいいよ。それより昨日はよく眠れたか? 慣れないことばかりで大変だろうけど、こっちもサポートしていくから、よろしくな!」


「え、えぇ……ありがとうございます」


 腹が減ったろうと続けて朝ご飯まで出してくれた。空腹と孤独な心にはありがたいのだけど、どうしてこんなにもよくしてくれるのだろう。見も知らぬ私のことを心配してくれるのだろう。

 生きてきて、そんな風に扱われたことはなかった。それは私が人と距離を置いていたから。そんな自分を変えたくて、色々と試してみたけど裏目って、全然友達は出来なかった。それどころか敵を作るばかり。


 過去の記憶が蘇っては、ここではそうはなるまいと決意している。決意して、いつも最後はと考えて不安になった。

 頭が痛い。私はどうすればいいのだろう。どうすれば人付き合いが上手になるのだろう。


「どうした、華恋。悩み事か? お姉さんになんでも相談しなさい! これでもあたし、既婚者だからね!」


「きこ……えぇッ!? 結婚されてるんですか?」


「既婚者だから悩みを解決できるとは限らないのでは?」


「はっはっはっ! アルマよ、あたしは相談すると言ったまでだ。解決するのは自分自身さ」


「ぐむむぅ…………相談に乗るくらいなら未婚のアルマにだってできます。文字の読めるアルマの方が数段上です」


「おっ、言ってくれるじゃないか。で、なんか悩んでるんだろ。言ってみなよ。でも、故郷に帰るってのは無理だぞ。多分、誰にも方法は分からん」


「いえ、それはどうでもいいんです」


「どうでもいいのか……」


「悩みというのは…………どうやったら、その、人付き合いが上手になるかということでして……今まで上手く友達も作れなくて……それでどうすればいいか」


「なるへそ。そもそも友達を作るのに上手いも下手もないだろ。まぁ解釈次第では上手い下手があるかもだけど」


「そんなの簡単ですよ。魔法が使えるようになればいいんです。魔法で戦って、強さを見せつければ嫌でも人が寄ってきます」


「それは王道で難題なやり方だと思うが……まぁアルマの言う通り、カッコいい背中を見せて人を魅了する方法もあるわな。見たところ、華恋は魔法も剣もからきしみたいだが」


「努力あるのみです。努力をやめたら、死、あるのみです。魔法は使えるようになりましょう」


「アルマは相変わらず過激だな。でも努力家なところは大好きだぞ☆」


「うぎゃあああああっ! やめてくだやい! 髪がぐちゃぐにゃになりましゅぅっ!」


 まるで仲の良い姉と妹のようだ。あるいは母と娘。微笑ましい。

 途端、彼の日に消えた記憶が脳裏をよぎる。

 台所で楽しそうに料理をしている母と娘。小窓から漏れる夕日が鮮やかだった頃。私は確かに幸せだった。母が倒れて死ぬまでは…………。

 それからだ。それから私は心を閉ざし、人を疑うようになった。信じていたものが消えてなくなる悲しみを背負うくらいなら、何も手に入れないほうがマシだと…………ずっと怯えて生きてきた。


 2人にはそんな恐怖はないのだろうか。

 質問を言葉にしようとして、言いようのない不安で口を閉ざした。きっと彼らは、そんなものはないと言うに違いない。聞いてしまったら、私は別のものになってしまう気がする。それがどうしようもなく恐ろしくて、結局聞かずじまいで終わってしまった。


 俯いた私を見た暁さんは何かを感じ取ったらしく、彼女の鞄持ちを頼まれる。あまり体力に自信はないけれど、鞄くらいなら大丈夫かな。それに、今日一日、彼女のそばでその姿を見ていれば、何か答えが見つかるかもしれない。

 暁さんのように人と上手く付き合っていける方法が見つかるかも。

 よし!

 なんだかやる気出てきた。

 頑張るぞっ!




 ところ変わって東の端。

 ここは宿場町になる予定の場所。まだ舗装が始まったばかりのようで、少し埃くさく、風が吹けば砂埃が舞う西部劇のような風景。

 東門まで真っ直ぐに伸びた石畳。左右には家を建てるのであろう人工的な窪みが群を成して点在していた。

 ギルド【暮れない太陽】の施策のひとつ。宿場町の建設。

 外国からやってくるお祭り客が泊まる宿屋を中心に、外側は外国からメリアローザへ移住してくる人用の貸家になる。

 前者は外貨を稼ぐため、後者は未だ未知な部分を多く残した薔薇の塔を登るため。外国から移住を希望する人を受け入れて、塔破を目指す布石として建設されていた。


 そこは【ドラゴンテイル】と呼ばれるギルドの職人と、【暮れない太陽】所属のワルクマン一族という大工一家で賑わっている。

 彼らは伝統的に外国を旅しながら家を建てて周る旅大工だった。しかし悪い領主に家族を人質にとられ、無理やり働かせられていたところを暁さんたちが助け出し、以来、暮れない太陽を帰る場所と定めて仕事をしている。


「よう、暁。進捗の視察か。相変わらず忙しいねぇ」


「あぁ、おはよう。どうだい、メリアローザでの生活は。みんな楽しくしてるかな?」


「おかげさまで。安心して仕事をさせてもらってるよ。子供たちもここでの生活は楽しいって。あんたたちには感謝してるよ。ところで、そっちは新入りかい? 見ない顔だが」


「あ、えぇと…………」


「彼女は鬼ノ城華恋。うちで事務仕事をしてもらってるんだ。まだこの辺のことはからきしだから、困っていたらよくしてやっておくれよ」


「そうなのかい。それじゃ、今後ともよろしくな」


「あ、はい。よろしく、お願いします」


 簡単な挨拶を交わしてまたすぐに次の場所へ移動する。今度は荒れ地に立つ一軒家。みすぼらしく雑草の生茂るわりには真新しく整った外観。とても荒れ地のど真ん中に立っている家とは思えない。

 裏庭と繋がっていて、大きな池には人も乗れそうな蓮の葉が浮かんでいる。ここも明らかに人の手が入っていた。どうもちぐはぐで落ち着かない雰囲気。

 奇妙な景色には理由があった。

 ここの家主さん。なんと私と同じ異世界人。随分と苦労したようで、今後はお花屋さんをしたいと願ったそう。

 荒れ地を花いっぱいの公園にすれば、荒んだ心も晴れるかも。そう願って、彼女はここで少女と共に暮らしている。


 女性にしては背が高く、腰まで伸ばした髪は血のように濡れて赤い。暁さんの夕焼けのような優しさとは真逆。おどろおどろしく輝いて、とても怖い印象を感じた。

 セチア・カルチポア。その表情は心根の優しさからなのか、それとも生きることに疲れたのか、どちらをも持ち合わせたような力無い目をしている。

 対して同郷の少女は元気いっぱい。きらきらと煌く金色の髪を左右に揺らし、人懐っこくはしゃぎまくる。


「リィリィはいつも元気だな。お花畑計画は進んでるかな?」


「うん! 今日はね、お家の周りを草刈りして、スコップでひっくり返して真っ平にするの。ちょっとずつちょっとずつ平らにして、煉瓦を積んで、いーっぱいのお花で、わぁってしちゃう!」


「そうかそうか。それは楽しみだな。頑張ってな!」


「うん!」


「暁……いつも気にかけてくれてありがとう。少しずつだけど、ここの生活にも慣れてきて、心が軽くなってきたわ。ほら、昨日は池の周りに柵を立てたの。裏庭から桟橋を渡して、蓮の葉に乗って釣りもできるわ」


「昨日ね昨日ね、釣りをしてたらお魚釣れたの。すっごく美味しかった!」


「それはいいなぁ。今度はあたしも釣りをしにこよう」


「うん、来て来て! お魚釣ってパーティーがしたい!」


「そうだな。お魚パーティーをしよう!」


 1つ約束をして、2人は手を振って見送ってくれた。

 あとから聞いたのだが、セチアという女性は過去に辛いことがあって、今はリィリィと共に生活をすることで心を癒しているそう。彼女のように純真無垢な少女といれば、心が安らぐのも納得がいく。

 私も誰かと関われば、自ずと変わることができるかな。


 その後も、教会、商業組合(ギルド)、薔薇の塔の進捗状況、などなど各所の挨拶と現状確認をして回ってお昼になった。

 ここまで荷物を持つことはなく、後ろについて回っただけ。鞄持ちってこういうものでいいのだろうか。


「さぁ、ここがドラゴンテイル自慢の食堂だ。なんでも好きなものを頼んでくれたまえ」


「いえ、そんな、ここに来てから奢ってもらってばかりですし、今はお金はないですけど、必ず返しますので」


「いいのいいの。厚意は素直に受け取るが吉!」


「そ、そうですか……それでは」


 本当にいいのだろうかと思うも、暁さんの笑顔に甘えてお昼をご馳走になりました。本人はこういう時にしかお金を使うところがないからこっちも助かると気を遣ってくれる。

 たしかに午前中の仕事っぷりを見ていると、お金どころか趣味に使う時間もなさそう。特に今は暮れない太陽を立ち上げて間もなく、利益を生み出すために奔走していた。


 最も力を入れている薔薇の塔の調査は入念に行っている。調査団の報告から狩猟・採取に出かけた冒険者の活動記録にまで目を通し、各階層における注意点や採取できる商品の一覧化。生態系を破壊しないために狩猟に制限を設けたり。素人目に見ても超多忙。

 それなのに、彼女は疲れたそぶりなど一切見せない。

 眉間のシワも振り返ればケロッと直る。切り替え上手なのだろう。私はそんなふうになれないな。


「で、どうだった? とりあえずあたしの仕事っぷりを見て回ってもらったわけだが。何かを感じ取ってもらえれば最上だ」


「あ、そういう意味で鞄持ちだったんですか。気付きませんでした」


「まぁわざわざ説明してないからな。自分語りみたいで自分から言うのも気が引けるんだけど、良いところの1つでも見つけて、これからの参考にしてもらえると嬉しいよ。あ、でも悪いところは真似しなくていいからな」


「は、はい。頑張ります!」


 良いところの1つでも…………1つなんてもんじゃない。道行く人に挨拶されたり、子供たちには慕われて、ひと回りもふた回りも年上の大人からも好かれている。仕事は熱心。しかし辛さを悟らせない。

 彼女の背景にはどれほどの経験と覚悟があるのか、この数時間、背中を追いかけているだけで、たまらなくわくわくさせられた。


 人は求めているものの情報を無意識に見つけるように脳が働いているという。だからだろうか、私はずっと彼女の人付き合いの仕方に目を光らせていた。

 誠実で、相手を持ち上げながらも対等でいる。冗談を言って笑ったり、会話の結末は褒めて上げて礼を言うスタイル。私には考えもつかなかった話術の数々には驚かされてばかりだった。

 すぐにすぐ、暁さんのようにはなれないけれど、私ももっと話し上手になりたい。彼女の姿を勉強すれば、私も成長できるかな。


 夜になり、晩ご飯を食べながら今日一日の出来事を振り返っていた。鞄持ちをして国中を駆け巡って感じたこと、見て思ったこと、そしてこれからどうしたいのか。胸に描く想いの全てを伝えて、暁さんは大きく微笑んだ。満面の笑みを浮かべ、華恋のやりたいことができてよかった。と、そう頷いて、自分のことのように喜んでいる。

 仕事終わりの牡丹さん。金髪ツインテールとふりふりフリルスカートをたなびかせ、自然な動きでアルマが暁さんの横へ座って、家族のような団欒が始まった。


「今日は華恋が鞄持ちをしたんだって? 良い経験はできた?」


「はい、とても素晴らしい経験でした。もしよろしければ、明日もまたお願いしたいのですが」


「明日もッ!?」


「そうかそうか。そう言ってもらえると嬉しいよ。しかし明日は先約があってな。アルマについてきてもらうことになってるんだ。な?」


「そうです。明日はアルマです。今日の予定を繰り上げしたんですから」


「繰り上げ?」


「今日もアルマの予定だったのに、割り込まれたので」


 割り込まれた、ってことは、それ、私のことじゃん。

 それで朝から機嫌が悪かったのか。知らぬとはいえ申し訳ないことをした。謝るよりも先に暁さんの先制パンチが炸裂。


「アルマにも懐かれて、あたしは幸せもんだなぁ。でも、思い通りにいかなかったからって、人に当たっちゃあダメだぞ。世の中には思い通りいかないことなんて山とある。それはアルマが一番分かっているだろう?」


「ぐっ……そーですね!」


「素直じゃないところも可愛いなぁ☆」


「暁に言わせたらなんでも可愛いのよね。幸せな性格してる」


「結局は自分がどう思うかでしかないからな。ようは気の持ちようさ!」


 やれやれと苦笑いをして肩を落とす牡丹さんはどこか誇らしげな様子。こんな友を持てて幸せだ。そんな印象を受けた。

 素直になれないアルマも暁さんのことは認めているらしく、可愛いと言って頭を撫でられるのはまんざらでもなさそうだ。

 みんな自分のしたいことをして、楽しそうに暮らしている。私もそんなふうに生きてみたい。ここでならそんな生活ができるのだろうか。私は変われるのだろうか。変わりたい。もっと楽しい人生を歩みたい。ここでなら、私の願望が叶うかも。

 とにもかくにも、右も左も分からぬならば、まずは自分にできることをやりましょう。

 それから余裕ができたなら、自分のやりたいことを見つけよう。


 翌日、私は暁さんに頼まれた事務仕事をこなし、牡丹さんにメリアローザの各所を紹介してもらった。占いに興味を示してウララと友達になり、暁さんが破塔の報酬で得ている宝石を譲り受け、アクセサリーを作り始めた。

 私が作ったアクセをウララが適切な相手に渡し、私たちの評判は瞬く間に広がって、最近では私のところに直接、注文の依頼が舞い込むこともある。

 それが楽しくなって、これが私のやりたいことかなと思い始めた。もしかしたらいつか飽きるかもとも思ったけれど、今のところそんなこともなく、日々順風満帆といった具合で幸せでいる。


「どうしたの? なにか良いアイデアでも浮かんだ?」


「あぁいや、ここに来た時のことを思い出してたんだ。牡丹さんとスカサハさんに出会って、暁さんやウララとも。最初は戸惑ったけど、今はとっても楽しいなって」


「私も華恋と会えてよかったよ。おかげで占った人はみんな幸せそうでいる。これも華恋の作ってくれるアクセと固有魔法(ユニークスキル)の賜物だよ」


「それなんだけど、本当に私に固有魔法があるのかな。意識したことなんてないし、生まれてこの方、魔法なんて使ったことなんてないのに。ウララはどうして自分の固有魔法を知ったの?」


「占いを始めて、しばらくしてかな。占いで迷子を見つけられるかどうかって聞かれて、ダメ元でやってみたら何か見えたぞ、って。人によったら自覚してないだけで、華恋みたいに固有魔法を使ってる人ってたくさんいるんじゃないかな」


「そういうものかな……まぁあるに越したことはないけれど」


「そうそう。それで誰かを幸せにできるなら最上だよ。これからも続けるんでしょ? 張り切っていきましょ〜う!」


 羨ましいくらい、能天気にはしゃいで満面の笑み。子供のように手をとって、彼女は私を引っ張ってくれる。そんな彼女の好意に甘えて私も明日を追いかけた。

 最後には『素敵な人生だった』って思えるように。


 だから、聞くことのできなかったあの日の疑問をぶつけてみようと思う。彼女たちには失う恐怖はないのだろうか。もしないのなら、どうして、なぜそう思うのか、そう思うようにするにはどうすればいいのか、どうしても知りたかった。


「失う恐怖? そんなのいっぱいあるよ。いっぱい経験してきたし、正直、辛いこともたくさんあった。悲しくて死にそうな時もあったさ。今だって失うのは嫌だ。でも、人生はそれだけじゃない。得るものだってある。得た分だけ失う人生さ。だからって俯いてたって仕方がない。未来は前にだけあるんだから。それはまぁなんていうか『仕方がない』と諦めるしかないんじゃないか?」


「仕方がない…………ですか」


「人は生まれて死ぬ生き物です。物だって、いつかは崩れて消えてしまいます。失ったなら、得ればいいんです。大切なものは心に遺して、思い出を大切にするしかありません。それが生きる者にできることです。失うことばかりを恐れていては、目の前の幸福を見逃してしまいます。でも華恋さんがそんな悩みをお持ちだとは意外でした」


「意外だった?」


「はい。だって、アクセサリーを作ってる時はすっごくいい顔をしています。とても楽しそうです。何かを得られると信じている人の顔です。でなければ、見も知らぬ誰かの為に笑顔でいられるわけがありません。少なくとも私はそう思います」


「私、そんな顔してた?」


「あぁ、めっちゃいい顔してるよ。あたしもちょっと意外だったな。華恋の悩み。てことは、ここに来て変われたんじゃないか? 出会った頃に比べて野郎共ともよくおしゃべりしてるし。な?」


 言われてみれば、ここに来た時に思ったていたよりも馴染んできてるかも。食堂で手芸をしている時にはよく声を掛けられて、話しやすいようにおちゃらけてくれたり、私の得意そうな話題を振ってくれたりしていたおかげで打ち解け易かった。


 もちろん、彼らにも可愛い女子とお近づきになりたいという下心と、暁さんに言われて気にするように頼まれていたということもある。殆どは前者だったようだけど、私は全然気づかなかった。

 だけどそのおかげで、省みれば知らない人と、知っている間柄になっている。自分でも意識して努力していたが、いつの間にか殆どの人の顔と名前が一致するようになつた。

 最近では仕事終わりの冒険者さんに声を掛けることも多くなったと感じる。自分自身、驚くほどの変化だ。少しずつ、胸が熱くなっていくのを感じる。

 感情が込み上げてきて、遂には泣き出してしまった。暁さんたちの心配をよそに、私は嬉しくて涙を流している


「お、おいおい……そんなことで、って、華恋にとっては大事な悩みだったんだよな。ごめんな。今まで気付いてやれなくて」


「いえ、そんな、ことないです。ありがとうございます。ここに来れて、本当に良かった…………!」


「私も華恋さんに会えて幸せです。よかったら、今度、外行き用の装飾品を作っていただけますか?」


「なに!? ついに桜が戦闘服以外でおしゃれとな。アイシャ! 今日はお赤飯だ!」


「さっき晩ご飯を食べてましたけど、追加で?」


「ああ、華恋の分も」


「なぜそうなるんですか!?」


「逆になぜそうならないのか聞きたいな。ディザとはうまくいってるんだろ?」


「ディ、ディザさんとは仕事上の関係でして、決してそんな、ふしだらな意味は決して! 決して!」


 ニヤニヤと頬を緩ませていじってくる暁さん。素直になったと思った矢先、素直じゃない自分に出会って戸惑う私は、やっぱりまだまだ成長途中のようです。

 でも、これからまだまだ成長します。

 頑張れ私。みんなと一緒に歩んで行こう!


____________________________________________


 ○牡丹とスカサハ○


ウララ「プチ情報コーナーのお時間です。今回は牡丹さんとスカサハさんということですが、私はあんまり知りません!」


華恋「つまり私頼りと…………。ええと、牡丹さんは桜と同じ暗殺者(くノ一)で、スカサハさんは槍使い(ランサー)。どっちも凄腕で、桜やアルマ、冒険者の人たちと薔薇の塔を登っていった勇者のような人です。スカサハさんはインヴィディアさんのいる故郷に帰りました。牡丹さんは暁さんの依頼で、スカーレット王国と呼ばれる遠い国に遠征に行っています」


ウララ「ほへぇー、そーなんだー。スカサハさんは遊学のためって聞いてたから分かるけど、牡丹さんは特使か何かで出払ってるの?」


華恋「それが、暁さんが絶対に欲しい人材がいるって。余所見しないようにテコ入れしてきてくれってさ。よほど気に入ってるみたい。その人に刀も打ったって、アルマが言ってた」


ウララ「暁さんが刀を!? それは相当なもんだね。しかも外国に牡丹さんを向かわせて仕向けさせようとするあたり…………まさか、浮気相手なのでは!?」


華恋「いや、それはないでしょ。いくら女好きの暁さんでも浮気はしないよ。私が胸を揉むのは嫁とルクスだけだって公言してるし」


ウララ「それはそれで問題のような気がするけど」


ルクスアキナ「大丈夫。あたしと暁ちゃんの関係はお金ありきだから。あたしも片思いの男性がいるし」


ウララ「ふひゃっ! いつからここにいたんですか!」


華恋「片思いの男性? 詳しい話しを聞いてもいいですか?」


ルクスアキナ「さすが乙女。食いつくねぇ〜。って言っても、物陰からこっそり見てるだけで、相手はあたしのことなんか知らないんだけどね。離れ離れになった今でも、やっぱり忘れられなくって。今度会ったら絶対、告白するって決めてるの!」


華恋「離れても忘れられない想い人。なんだか聞いてるほうがドキドキしてきます」


ウララ「その人はどんな人なんですか?」


ルクスアキナ「なんていうか、優しくて頼りになって、でも本当に……底抜けのおバカさん。誰かの為に全力になる姿がね、すっごくカッコいいの。よく笑うし気がきくし。はぁ〜〜…………今頃、何をしてるのかなぁ」


華恋「ルクスアキナさんがこんな憂いな表情を……本気で好いていらっしゃるのですね」


ルクスアキナ「そうよ。本気で好きなの。で、華恋ちゃんはどうなの? なんか最近、急に色めき立ってるけど」


華恋「い、色めき立ってるだなんて、そんな、そんなことありませんよ!?」


ウララ「嘘ばっかりぃ。ディザさんと一緒にいる時なんか、全力で女を出してるくせに。言っちゃいなよ、ほらほら。言わなくても分かるけど、言っちゃいなよぉ!」


ルクスアキナ「うふふっ。華恋ちゃんってば分かりやすくて、かぁ〜わいぃ〜☆」


華恋「も、もう勘弁して下さいぃっ!」


暁「……結局、恋バナ落ちか。青春だねぇ」

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