利用規約は読まない人
この季節の太陽は早起きで、朝7時ともなれば天も明るい青色をしている。青空に背伸びして、さぁ1日元気にいきまっしょい!
今日は先日、暁さんに頼まれた件。詩織を連れて34層に出かける予定。
34層は砂漠地帯。
なんで塔の中に砂漠やら毒沼やらあるのか。疑問に思うこともあるが、分からないことは考えても分からないから考えないことにしている。
そんな宇宙の真理的なことより、遮蔽物のない太陽と、照り返す陽の光にサンドイッチされても丸焼けにされず、かつ素早く動ける装備を仕入れることが先決だ。
フレナグランで朝食を食べて、4人でキャッツウォークの洋服屋さんに繰り出して、そのまま34層へ出かける手筈。先日の調査で最低限必要な装備の依頼を各職人に頼んであるし、性能試験として参加すると装備品やアイテムを割安で提供してくれるからとってもお得。
ちなみに、塔破には大きく分けて3段階のステージがある。
まず最初は調査。
薔薇の塔は未知の世界、危険がいっぱい。だから少人数でこそこそと乗り込んで、どんなモンスターがいるか。どんな危険が予測されるか調査するのだ。
これには特別報酬と言って、調査に参加したパーティーにはある一定の基準を満たせばお金が支払われる。理由としては、転移陣を渡ってすぐにモンスターに殺されるかもしれないリスクを孕んでいるから。
当然、命綱はつけて行くが、何があるか分からない世界に1番最初に足を踏み入れるのだ。そのくらいの報酬はあってもいいだろう。
塔に登るだけで報酬があっても、最初に挑戦をしたくない人は多い。命あっての物種だからね。
蛇足ではあるが、19層を除いて、今まで調査した人の中に死人はいない。怪我人はいっぱいいる。
次にチームを組んでの大規模な探索。
調査報告を元に対策を立て、計画に沿って集団で行動する。リーダーとサブリーダーを中心に5人前後からなるパーティーで四方をくまなく歩き回るというもの。
今後の塔破の材料を少しでも収集するという意味もあるし、塔破の定義としては、次階層への扉を見つけることだが、国としては塔の中の物を国の資源としたい狙いがある。
安全な資源開発のための情報収集というわけだ。
最後、というのもなんだが、以上の情報収集を終えた後は、各パーティーが塔破を狙って随時、塔に登るといった具合。
前回、初めて調査隊のメンバーとして参加したあたしとヘレナ。それから常連の調査隊員、斉藤渚の3人はそのまま探索隊に声をかけられている。
昼前に出発ということで、装備を取りに行くため、朝から活動開始というわけ。
ヘレナと合流して食堂の扉を開けると、朝早くにもかかわらず戦闘準備を整えた猛者共が朝食にかぶりついていた。彼らも探索隊として参加する有志たち。
簡単な挨拶を終えて、最近こしらえたオブジェの前に暁さんを発見。水槽の中でぷかぷか浮かぶクラゲに癒しを求めている暁さんの横顔のなんと疲れていることか。
この水槽は海水浴をしに行った時、たかピコの骨の中で泳ぐクラゲを見て思いついたらしい。ドラゴンテイルの職人に作らせた特注の水槽は、濾過装置も兼ねていていつでも清潔。
最初はみんなインテリア気分で珍しがっていたが、なんか心にじわじわ来た人が、個人で欲しがり始めるという事態が起きているらしい。
たしかにまぁ、なんか可愛げがあるというか、何も考えずに静かに動くものを追いかけたい時もあるのかもしれない。
「暁さん? 大丈夫っすか?」
「あ、あぁすまん。つい物思いにふけっていて気付かなかった。朝飯はここで済ませるんだったな。申し訳ないんだが、ひと仕事頼まれてくれるか?」
「それはいいですが、どんな仕事ですか? 私たちは基本的に脳筋なので雑務のお手伝いは難しいですよ」
「脳筋って自分で言うか……。まぁあれだ。相変わらず詩織が夢の中でな。叩き起こしに行くところなんだ。そこで2人の役割なんだが…………恥ずかしい話し、あたしがキレたら止めてくれ」
「「…………そっちですか」」
これは相当参っているな。
食堂では珍しく、というか初めて八つ当たりを聞いた。病院の心理カウンセラーにも対策を相談しているというし、周囲の大人たちにも高説を賜っているらしい。
ギルドメンバーとはいえここまで手を焼いてやる必要があるのだろうか。仕事をせずに餓死するのは自分だし、勝手にさせておけばいいじゃん。
と、あたしたち目線ではこう思っている。
でも暁さん目線はもっと広い世界を見渡していた。
例え怠け者でもギルドのメンバー。それを放っておけば負の連鎖は拡散して伝播していく。極論を言えばギルドの崩壊につながりかねない。
暁さんが懸念しているのは、多くの人間が詩織に対する愚痴や悪口を言うことにあった。
ネガティブな性格は人の心を黒く染めやすく脆くしやすいものだ。今はまだ暁さんの存在が抑止力として働いてはいるが、それがいつまで続くかは分からない。
彼女はそう考えている。
まだまだ視野の狭い脳筋2人を連れて、暁さんが詩織の部屋の前で立ち止まり、扉を叩いて声をかけるが返事がない。
何度かノック&コールをするが返事がない。まるで返事がない。
ドアノブを回してみるが開かない。生意気に鍵はちゃんとかけているようだ。当然だが。
「やれやれ、2人はさ、時々自分の部屋の鍵をかけ忘れてベッドにダイブしたまま眠ったりした経験はないか? 仕事帰りに酒を浴びて、うっかり寝ちゃったりとか」
「私はありません」
「あたしはある」
「え、マジで?」
「だよなぁ。そんな時もあるよなぁ。疲れてたりすると特になぁ。気をつけないとなぁ」
そう言ってポケットからマスターキーらしきものが現れた。本来であれば緊急時以外の使用はギルドマスターでも禁止されているのだが、表情筋だけ吊り上がって目が笑っていない暁さんは、それを鍵穴に差し込んで回すと何事もなかったかのように鍵をしまった。
あたしたちは無言でその様子を見て…………いたような気がする。多分。
「まったく詩織もしょうがないやつだ。鍵が開きっぱなしじゃないか。もしかしたら部屋の中で倒れているかもしれない。これは心配だ。返事がないのも、ある意味では危険信号かもしれない。いくぞ2人とも」
首を縦に振るしか知らないあたしたちは暁さんの静かな背中を見つめてついていくだけ。
いつもより冷静、いやいつもなら持ち前の明るい笑顔で、大きな声で名前を呼ぶが今日はいつもの彼女ではない。
何事にも動じないようなしずけさと落ち着き払った態度は明らかに仮面。1枚剥いだ皮の下にどんな感情が渦巻いているのか。怒りか、呆れか、はたまた殺意か。
想像するのも怖いあたしたちは2人揃って震えていた。
ベッドの中で気持ちよさそうに寝ている彼女の顔のなんて幸せそうなことか。殴ってやりたい。
「あれ、あかつきひゃん? おはようございますやすや……」
「もう朝だぞ。今日は探索隊に参加するんだから起きないと遅刻するぞ」
「う……ふぁ〜い……」
もそもそと起きてのろのろと着替えて、顔を洗っても眠気まなこ。腹パンしたら目が覚めるかな。いやそのまま永眠という線もアリか。
食堂まで手を引いてトーストをねじ込むこと30分。
出発は10時を予定してるから、装備品の受け取りやチェック。その後の打ち合わせを考えるとそろそろ食堂を出ないとまずい時間。
急かす暁さん。危機感のない詩織。
まるで出来損ないの妹を出来る姉が看護しているかのようだ。だが何故か微笑ましくない。詩織に対する嫌悪感もあるが、彼女自身、責任感というかそもそもやる気が見えないというか、他力本願なところが見え見えすぎる。
本人に少しでもガッツがあるなら、まぁ助けてやらんこともないという気分になるが、やる気なしのぷー子ちゃんに塩を送ってやる暇はない。
しっかし本当に身につけてるものだけは立派なもんだ。頭から足の爪先までフルメイルの甲冑。小柄だけど剣も盾も一級品と見て分かる。
異世界から来たというが、いったい生前はどんな暮らしをしていたのか謎すぎる。
歴戦の勇士ならもっと顔が締まっているだろうし、ただのボンクラであればこんな高級な装備を持っているはずがない。
夢みがちな箱入り娘にしては言動に気品さを感じない。どう育てられたらこんなクソな性格になるのか。少なくとも今わかることは、自分が彼女のような環境で生まれなくて良かったということだけだ。でも口に出したら暁さんにはやんわり怒られるので言わない。
当然ながらパソコンだなんてハイテク機器はこの世界に存在していないわけで、しかも物資の飽和した環境など、畑が天災に見舞われるだけであくせくするあたしたちにとっては想像の外。
それらがもたらした現代病ともいえるべき怠惰の様相など思いつきもしないのだ。
つまり生きてきた世界の違う我々には、未来永劫に渡って彼女を理解することはできない。望んで転生したわけではない彼女にこう言っては悪い気もするが、今この場で生活している詩織が、この世界に慣れてもらうしかないのだ。いつまでも享受するばかりの学生でいてもらっては困る。主に詩織自身が。
国の大部分を砂漠地帯に囲まれた奇跡の国シャハルサハの伝統衣装を元に、直射日光を避けるため、全身をゆったりと覆う麻と綿の白い生地。
素早く動けるように関節の部分はハサミを入れていたり、裾の端は紐で結べるようにしたりと工夫されたデザイン。ワンポイントの刺繍はデザイナーの遊び心。
この辺には34層のような砂漠の土地はないし、湿気の多い国柄、こんなごわついて隙間風の通るような服はみんなが初めて着る。
着心地に違和感があるのは仕方がないが、多数の人間がチームで、同じ場所で同じ、あるいは別の目的で行動する時、服装で個人を判別することもある。今日の場合は服が同じだから、遠くからだと顔や体格以外で個人を識別しづらい。そこは腕に色のついたハンカチを巻いておくということでおさまったが、仕方ないとはいえ少しダサい。
こんなことならパーティーごとに色のついた刺繍を注文しておけばよかった。
「エレニィってさ、水着の時もそうだけど、私服は野暮ったいくせにこういう時だけやたらデザインにこだわるよね」
「そうか? 私服だっておしゃれのつもりなんだけど。そんな野暮ったいか?」
「私には野暮ったいように思えるんだけど。暁さんはどう思いますか?」
「そうだな、色味が単色だからそう見えるんじゃないか。シンプルすぎるというか、もっと柄の入ったやつなら野暮ったくならないだろ。それがダメなら1枚羽織ったり、上からロングスカートみたいな腰巻をつけてみたり。あと露出が高すぎるんだと思う。へそ出しタンクトップにホットパンツは健康的な感じがするし、エレニツィカはルックスがいいから目の保養になるけど、これほとんど水着じゃないか」
「それ言ったらヘレナなんてもろ水着っすよ。ビキニの上に猫フード被ってる。しかも背中がめちゃ開いてて、ちらちら見え隠れする横乳なんてセクシーでしょ。見かけによらず結構あるし」
「ちょ、わ、私のことを引き合いに出すな! これは体質的に、大気中の魔素を体内に取り込むには肌が露出してないとダメなの知ってるでしょ。猫フードは単に可愛いってのもあるけど……とにかく、実用性も大事だけど可愛さも大事。今度一緒に服を見に行こう」
「ちょっと待て。それだとあたしの私服が可愛くないみたいじゃんか」
「うん」
「すまないがあたしもアレを可愛いと表現できないな。なんていうか、ズボラな女というか」
「な…………ッ!」
なんということだ。自慢のファッションのつもりだったんだがなんということだ。
もっと女の子らしいのを着るべきなのか。そもそも女の子らしいってなんだ。職人気質に囲まれて育ったせいか全然分からん。
フリルとスカート?
いやいや、あんなふりふりしたやつ恥ずかしくて着れないよ。足元がスースーするのって落ち着かないし。
ピンクにハート?
いやいや、もっと無理!
柄じゃないわ。頑張って着てみたフラワービキニも恥ずかしさのあまり死にそうだったのにそんな無理無理そんなそんな。
それはさておきっ!
あたしたちを含めて会議室にいる連中のなんと没個性の集団か。全身白一色の団体様が椅子に座って正面の魔法板に注視している。
前回あたしたちが調査した報告を元に作った資料が投影され、1人残らず熱心に読み込んでいた。
魔力で描いた線を固定しておくための魔法板は家庭から国家間のやりとりの際にも使われるポピュラーなマジックアイテム。紙もインクも貴重な時代。耐久消費の高いマジックアイテムはとても便利で経済的。
特に大勢で利用する会議室の魔法板は壁一面を覆うほどに立派なもので、重要度別に多彩な色を使い分けられている。
「それではみなさまお集まりになりましたので、会議を始めたいと思います。殆どの方は顔見知りと思いますが、今回、初参加の女の子がいらっしゃいますので挨拶をしておいて下さい。改めまして、今回の探索隊の指揮官を努めます、斉藤一と申します。高高度広域探索役にゴエモン。彼女には空から肉眼で遠方を観察してもらいます。そしてサポート役兼護衛役にミーケさん。ゴエモンから受け取った情報からその場の状況判断や情報共有を補助してもらいます」
「そーゆーことでみんな、よろしくにゃ!」
「ちゅちゅっ!」
ちゅちゅっと鳴いたのはハムスター(♀)のゴエモン。
彼女は好物のひまわりの種を求めて、どこからともなくメリアローザへやってくる。
知力が高いらしく、ミーケさんとだけ会話が可能で、気に入られてキャッツウォークのギルドメンバーになったという。
目撃情報ではてぬぐいを背に風を受けて空から飛来してくるそうだ。出身地はここから遥か北の大地。通年を通して気温が低く、ひまわりが育たないからここまで旅してやってくるのだそうだ。なんという行動力か。
戦闘力は無いが、その能力は折り紙付きで、小動物ならではの人間にはできない探知や潜入には目を見張るものがある。
そしてその可愛らしい外見に老若男女問わず好かれるというのだから隙がない。普段は食堂でひまわりの種を食べるか寝るかしている。ご飯をあげるとお礼に手のひらでゴロゴロするもふもふの感触がたまらない。
なんというきゅんかわアイドルか。
打って変わって仕事となれば、探索には欠かせない広域探知役として実力を発揮するというのだから頭が下がる思いだ。愛嬌も実力も兼ね備えているとか、最強生物か。
ゴエモンの爪の垢を煎じて詩織に飲ませてやりたい。
作戦会議も終わって小休憩に入ると、猛者どもが暁さんを囲って世間話をし始めた。主に詩織のコネクション作りなのだが、当の本人は下を向いたまま目を合わせられないご様子。
しかし男性陣は寛容で、そこが可愛らいだのいじらしいだの褒めている。男ってほんとああいう物言わぬ女の子が好きだよな。
なんで寡黙キャラってモテるんだろう。喋ってないのにモテるならあたしだって口開かんわ。男心ってほんと意味不明。
「暁ちゃんよぉ。アルマちゃんと、新入りの骨のやつ来てないの? 後衛でアルマちゃんがいてくれると安心だったんだけど。骨のやつにも会ってみたかったんだが、名前なんだっけ?」
「骨のやつはたかピコな。あいつがいると詩織がびびりあがっちゃうから連れてきてないんだ。アルマは留学中でとうぶんの間はいないよ。先日まで帰ってきてたのは3連休とホームシックだからだってさ」
「そうかぁそいつぁ残念だな。たかピコってのは面白いやつだって聞いてたから、今日はいるかと思ったんだけど」
「まぁあいつも塔には登りたい勢だから誘ってやってくれ。外見を見たら一発で分かるよ。アルマには何か用だった?」
「いやぁ今回は足場が悪いって聞いて、後衛が優秀なやつに声をかけていったんだけど、なかなかいなくてな。こいつしか首を縦に振ってくんなくてよ」
「こいつってひどいじゃないですか。どうもお久しぶりです暁さん。斉藤渚です。今日はよろしくお願いします」
「こっちこそ。渚は魔法弓師だったな」
「ええ、それから鑑定士も。採取する前のアイテムをその場で観るのも僕の役目です」
「不用意に触って毒でもあったら大変だからな。頼りにしてるよ」
「いやぁー、暁さんに頼りにされるなんて幸せもんですわ!」
「調子のいいガキめ! まったく、親父さんに恥かかすなよ」
「そこんところは釘刺されてますんで大丈夫ですよ」
「「「「「釘刺されてるのかよ!」」」」」
どっと笑いが溢れて、緊張していた空気がほぐれていく。歴戦の猛者だって未開の地に赴こうとなれば緊張だってするし、不安がないわけじゃない。誰かがこうやって笑いで不安を忘れさせるような役回りも必要ってことだ。
それに関して、飄々とした態度をとる渚はいつも笑いを生み出そうと努めている。小僧呼ばわりをしている中年たちも、彼のそういうところを気に入って、なんだかんだで可愛がっていた。
あたしもギルドではそんな感じの役回りを演じることがあるけど、ああいうのって信頼とか好感があるのが前提で成り立つわけだから、日頃の行いとその場の状況判断ができないと、かっこ悪いことにスベる。
たいして知りもしないやつがボケることほど寒いことはない。会心のギャグでも、受ける用意のある人にだけ届くのである。
「あれ、夜叉姫も来てたの? 太郎さんも。七夕祭が近いですけど大丈夫っすか?」
「あぁ大丈夫じゃよ。たかピコくんが手伝ってくれてね。今材料の買い出しに出てくれてるはずじゃ」
「エレニィちゃんひっさしぶりー! 元気してた? 今日はヘレナと遊ぼうと思って寝る時間ずらしてたんだー! 夜叉は後衛で大活躍するからよろしくね! 暁さん、ルクスさんが寂しがってたよ〜。今月は暁さんの顔を見てないって」
「今月は忙しくて行けてないんだ。来月も七夕の準備と警備があるし。それが終わったら街道整備の視察もあって忙しくてさ」
「そーなんだー。お疲れ様です!」
ヘレナにべったりの愛嬌ガールの名は夜叉。北の妖怪の国からヘレナと一緒に、見聞を広めるためにやってきたのが始まりだ。
元々、赤子の頃に海を漂流していたヘレナを夜叉姫の両親が拾い、夜叉姫の護衛兼世話係ということで育てられたそうな。夜叉姫はヘレナを友達だと思っていて、かしずかれるのを嫌い、両親の目の届かないところへ留学という名目で飛び出していた。
今ではメリアローザを気に入って、故郷を離れ、キャッツウォークでキャバ嬢をやっている。持ち前の明るさとルックス、それに姫と呼ばれるだけあって話術にも長け、教養もある。
ホストの混沌とキャバ嬢の夜叉姫は夜の街の代名詞。
おまけに戦闘力も高いとは恐れ入る。
太郎さんは見た目は普通のおっさん。
中身は筋肉モリモリのゴ●ラ。火を吐く方のやつ。
彼も異世界から転生してきたらしく、暮れない太陽に属している。
練気功の達人で、魔力に依存しない、本来人間が持ち合わせている能力を鍛錬と呼吸法で引き出す技を教えている人だ。
それは素地の強さを魔法で強化する肉体強化と相性が良く、練気功を使うと使わないで大きな差が生まれるため、大人を始め、子供も教わるように推奨されている技術。
なにが起こるかわからないこのご時世。最後に頼れるのは自分の体1つってことで、遠方からも彼の教えを乞いに訪れる人は後を絶たない。
筋肉のみならず、医術にも明るい彼は病院では評判の内科医としても有名で、安心して怪我や病気を診てもらえる数少ない貴重な存在になっていた。
七夕祭には星の形をした砂糖菓子を作る職人になり、カラフルな見た目も相まって子供たちからお土産の品としても好評を得ている。
「それじゃあ今回は前衛があたしとエレニツィカ。中衛にヘレナと詩織。後衛に夜叉ってとこか」
「あの暁さん。こう言っては悪いのですが、詩織はちゃんと中衛が務まるのですか?」
「中衛って言っても、あたしを先頭に詩織・夜叉・ヘレナ・エレニツィカって縦隊で行進するよ。詩織の面倒はあたしが見る。全方位を探知できるヘレナは索敵と、遭遇戦になるだろうから不意打ちに警戒してくれ。後方はエレニツィカ。左右を夜叉。前方はあたしと詩織が見る。戦闘は極力避けたいが、砂地だとうまく走れないかもしれないから撤退戦は難しい。戦う覚悟はしといてくれ。さいあくの場合はあたしが囮になって敵を引き付けておくから逃げてくれな」
「つまりそれは」
「まぁ現段階ではお荷物だな。いちおう肉体強化は使えるから、基本的に自力でなんとかしろとは言ってる。逃げる時は面倒見てくれ」
「お、お荷物っ!? そんなことないです! お役に立ってみせます!」
「そうか、それじゃあ期待してるぞ」
絶対期待してない!
それにしても鮮やかに人を焚きつけるもんだ。
詩織の外面取り繕ぃな急所を突いて、言葉と実力が噛み合ってないとはいえ、やる気を出させる声かけは、さすがギルドマスター。よく心得ていらっしゃる。
納得のいかないヘレナを丸め込んでいざ34層へ。
砂漠。地平線の彼方まで明るい黄土色の砂が広がる灼熱地帯。見渡す限り空と砂の2色だけが広がる世界は、異世界より異世界している未知の旅。
その先に見えるのは絶望か、まだ見ぬ黄金の都市か。
とりあえずありがたいことにスタート地点は水と草木の茂るオアシス。ここを拠点にしろと言わんばかりのお膳立てに感謝。
まぁいきなり砂漠のど真ん中に放り投げだされたら、探索もクソもないんだけどね。
しかしなんで周りは砂漠なのにここだけ水がたんまりあるのだろう。外は草の根1つありはしない。暁さん曰く、地下から豊富な水脈があって、日照るより早く湧き出るからだそうだが、いまいちピンとこない。
まぁなんにせよ、安全地帯があるっていうのは本当に助かる。ここ以外にオアシスは見当たらないということは、緊急事態が起こったら、まっすぐこのオアシスを目掛けて走ればいい。他に紛らわしいものもないし、目印としてはこれ以上ないほど目立っている。
砂地で動き回る練習をした後、小休憩を挟んで、各人割り当てられた方角へ真っ直ぐ歩いていく。
拠点では一さんが適宜連絡と記録。ゴエモンが上空から遠方を監視。その情報をミーケさんに送って緊急事態などに備えるといった具合。
あたしたちは全方位に注意しながら前進を続ける。
予測される危機としきては、砂漠地帯に生息するというサソリやガラガラヘビ、トカゲから小さな虫、鳥、ネズミ。毒を持った獰猛な動物。魔獣の類も存在するだろうということだが、目に見える限り砂だらけ。
足跡もあるかもしれないと目を凝らすけど、生き物が歩いた形跡もなし。暁さん曰く、こんな砂と空しかない砂漠にも生き物は生息できるらしく、場合によっては雨も降るらしい。馴染みがないというか、メリアローザ付近にはこんな砂だけの世界がないからだけど、水もろくな食料もない世界で生き物が生きていけるものだろうか。魔獣であれば待機中の魔素を取り込んでエネルギーにするらしいから生きていけるかもだけど、スタート地点のオアシスには虫1匹見当たらなかったし、やはり生き物が生活している痕跡も見当たらない。
謎の多い薔薇の塔だからと言われればそれまでだけど、ここまで静かだと逆に不気味だ。
「本当に、なにもないな。オアシスがあるということは、地下には相当太い水脈が通ってるはずだし、砂漠と言っても、オアシスの周囲は草木が生えててもおかしくないはずなんだが」
「こんなカンカン照りなのに、砂漠にも草木って生えるもんなんっすか?」
「水の中に栄養もあるから土も潤う。だからオアシスに草木が生えてただろ。でもオアシスを抜けると突然、砂の世界だ。それに高低差があるのに、上空から見たオアシスの形は真円なんだと。地下水脈があるとはいえ、地面が波打っていれば、オアシスの形は歪な円形をしているはずだ。特に変なのは、水場に生き物がいないってこと。砂漠にも独自に進化した動物がいるはずだ。あたしが見たことあるのは両手足のないトカゲとか妙に足の長いゴミムシの仲間。リスやネコもいたな」
「両手足のないトカゲって、それはもうヘビなのでは」
「砂漠にもリスさんやネコさんいるんですか? 会ってみたーい!」
「しかしこの様子だと会えそうもないな。転移陣も見当たらないし。まさか砂の中に埋れてるなんてなったら大変だぞ。このまま歩いて何もなかったら砂を掘る羽目になるかもな」
「まぁそうなったらそうなったらで出番がなくなるだけっす。でもお金になりそうなもんがないなんて、とんだハズレ層っすわ」
「エレニィってさ、意外にがめつい性格してるよね。逞しいというか、お金にうるさいというか。でも気前がいいから好き」
「お金は大事だろ。塔に登る目的はそれぞれだし、浪漫もいいけど財布の中身も大事だ。それにやっぱ新しい発見っつーか、そういうのが好きなわけよ」
暇つぶしにだべって気を紛らわしてみたものの、広がる世界は砂と空。代わり映えしない景色にうんざりしながらも、予定の10キロ地点に到着。
周囲を見渡してもやっぱり砂漠。動物1匹、雲1つ見当たらない。襲ってくる動物とか、毒を持った草木がないのはいいことだ。しかしなくて困るのは、次の階層へ向かうための転移陣。
まさかここで塔の最後ってわけじゃないよな。こんなつまんない所が終点なんて勘弁してくれよ。
暁さんと他メンバーの連絡でも、どこも同じ景色を見ているとのこと。上空から地上を見下ろしてもどこまでも続く砂の道。
陽も沈み始め、遠足の折り返し地点を通り過ぎ、拍子抜けするほど、本当になにもなく帰宅する流れとなった。次回はオアシスでテントを張って、夜の星空を眺めようの会。もとい、昼と夜で違いがあるかもしれないから、それを調査してみるということで話しがまとまった。
昼から夕方まで歩きっぱなしの約8時間。そこから全員で意見交換を終えて夜の8時過ぎ。足が棒になって今にも倒れそうな詩織の手を引いて食堂に帰る頃には9時になっている。
慣れない行軍でへとへとになって、何度も歩みが止まりそうになっていたが、まぁよく頑張ったと褒めてやろう。以前の彼女なら文句たらたらで駄々をこねていたかもしれないけど、今回は何も言わずちゃんと指示に従ってくれていた。
本来なら普通のことなんだが、詩織にとっては大きな前進だろう。今日はあまり仕事した感がないから実感が湧かないかもしれないが、この調子で自分のやりたいことを見つけて自立していってくれれば幸いだ。
そう、大事なのはいいところ探しなのだ。
ダメなところなんていくらでも見えるもんだ。
いいところを見つけて褒めてやる。それがあたしの教育方針。
「おかえりなさい、暁さん、詩織さん。ご飯がまだでしたら作りますよ。相当お疲れのようですし、消化の良いものにしましょうか?」
「ありがとう、アイシャ。そうだな、あたしは豚汁とポテトサラダとカニクリームコロッケにしようかな。昼から何も食べてなくて、かなり腹が減ってるんだ。詩織は何にする? 頑張ったご褒美に、奢ってやるよ」
「ステーキ。ステーキが食べたいです」
「お前、本当に肉が好きだな」
「あの詩織さん。今日はお野菜を中心にした料理にしませんか? 病院から帰ってきて、昼も夜もステーキばかりですし」
「それ本当か?」
「はい……。それに付け合わせのお野菜は全て残す始末です」
「詩織はこれから緑黄色野菜生活な」
「そんな偏食してたら死にます!」
「現在進行形で偏食してるやつが言うセリフか。バランス良く栄養を摂れって言ってるんだ。とりあえずステーキはやめて定食にしろ。定食は栄養バランスを考えて作ってくれてるやつだから…………って、ちょっと待て。お前、飯代全部ツケてるってことか?」
「それなんですが……彼女の食事代は全部たかピコさんが払っています。自分はお金を使うところがないし、殆ど無銭飲食状態だと、食堂にも悪いからと。私たちとしては払っていただけるのはありがたい、というか当然なんですが…………」
「たかピコめ。今度会ったらお説教だ! 面倒を見ろとは頼んだが、甘やかせとは言ってないぞ! ったく」
野菜を残さず食べることを条件にステーキを許したら、まぁなんといい顔をするもんだコイツ。
それにしてもたかピコ。後輩だからって甘やかしてるな。おそらく食事代に限らず、金銭の絡む物に対して支払いを肩代わりしているに違いない。気持ちは分からんでもないが、詩織のことを考えたら、それは悪手以外の何物でもない。
詩織は詩織で甘えすぎだ。とりあえず言われたことはやるようになったが、自発的に何か行動を起こそうという気配は全く感じない。
この腐れ根性は崖に突き落として九死に一生レベルの危機的状況にまで追い込んでやらないと治りそうにないな。それで治ればいいけどなぁ。
肉の焼ける匂いに目を輝かせて、元気いっぱいにフォークとナイフを走らせる。どんなやつでも幸せそうにしてる姿ってのはいいもんだ。
食べるのが好きなら食堂で働くというのも手だが、つまみ食いばかりしそうだな。食べるだけだと料理なんかしないか。料理が好きならこんな苦労してないよな。
運ばれたプレートに手を合わせて、いざ晩ご飯と思った矢先、ごとんっ、と鈍い音がして何かが足元に転がってきた。
「おーい、アイシャ。なんか落としたみたいだけど」
「え? 私は何も落としてないはずですが。なんでしょう、これ。不思議な意匠のランプ……カレールーを注ぐアレですかね?」
「いや、ランプだろ………………ッ!!??」
確かに形だけ見ればルーを注ぐアレに見える。
純金でできたランプには細やかな意匠が刻まれ、燦然と輝く宝石が埋め込まれていた。こんな高価な物がどうしてここに。そんな疑問が浮かんで、手に取った瞬間、理解した。
掘り出された溝の中や宝石と金具の隙間からこぼれ出る無数の砂塵。この独特の色は見覚えがある。つい数時間前、我々が踏みしめていた砂漠の砂だ。
ということは、これは34層で見つかったものに相違あるまい。だとすれば……。
「おい詩織。これ、お前が見つけたのか?」
「ん! それ私のです! 返して下さい! なんで取り上げるんですか。塔の中で見つけたものは自分のものにしていいって、約款にも書いてありますよね?」
「それは調査と探索が終わって、一般に公開されてからの話しだ。下調べの最中に発見したものは、全て参考資料として提出しなければならない、って注意書きがしてあるだろう。そもそも一般公開されてからも、拾得物は塔の管理者たるメリアローザ、つまり管轄機関と国王様に報告しなければならないし、取り分はパーティー内で話し合った中で分配するルールだ」
目を逸らした。こいつ知ってて隠し持っていたな。
問いただすと、取り合いになったら奪われると思って黙っていたそうだ。探索中に見つけた物は一時、資料としてまとめられるが、その後は発見者を優先に私物としての収得が許されている。
ルール通りきちんと申告していれば、後々このランプは詩織の物になっていたし、重要資料の発見者として賛辞の言葉を贈られていたのに、どうしてこう自己中心的なことをするかなこの子は。
こうなってしまっては、せっかく手に入れたチャンスも水の泡。個人としてはなんとかしてやりたいが、ギルマスとして、メリアローザに住む人間として、取り上げて事情を説明するしかない。
イヤイヤする詩織の横に、あとからやってきた探索隊のメンバーも加わって説得。ようやく手放して、さっさとお肉を平らげると逃げるように自室へ飛び込んだ。
「しかしいいのかよ、暁ちゃんよぉ。いくら新人っつっても、これ重罪だろ。いや、これといって規定があるわけじゃねぇけどよぉ。手に入れたもんを独り占めたぁ図太いじゃねぇの。おまけに探索段階でそれやられると、みんなが後々困るし、1番厄介事に巻き込まれるのは自分だってのに」
「それがまだ分からんらしい。分からんというか、想像力が欠如しているというか、視野が狭いというか、短絡的というか、ああすればこうなるというのが予測できんというか、とにかく《今》に生きてるだけだ。先のことなんて後回し。どうしたもんかねぇ」
「そこらへんの話しはしてねぇの?」
「話しもしてるし、実際に体験だって…………あぁ、記憶が無くなる前の話しか、あれは」
「まぁ終わっちまったことは仕方ねぇ。早めに見つかっただけでもよしとするしかねぇなぁ」
肯定して食事を続け、軽く体を拭いて床につく。
薔薇の塔は宝探し的なところもあるし、珍しいものを見たら欲しくなる心理も分からんではないが、それはあくまでルールを守った上での話し。
言われたことはやるんだけど、言ってないことは本当にやらないし。いらんことはするし。積極性もないし。お金は先輩に出してもらって甘えてばっかりだし。ネコババするし。マジでろくでもないな詩織。
こんなんでアイツは幸せなのか?
幸せだとしても、他人を不幸にしたうえでの幸せなんて、幸せじゃないか。
それより明日これどうやって説明したもんかな。頭を下げるのは構わんのだが、詩織に対するみんなの心情がどんどん悪くなっていく。ひとえに本人の自業自得なんだが。
ギルドマスターとしては寄り添って声をかけていくしたかないか。本当に、人生とは面白いよ…………。
____________________________________________
仝 魔獣 仝
たかピコ「あぁそういえば、わさび狩りに着いて行った時に魔獣に襲われました。魔獣と動物の違いってなんなんですか?」
ミーケ「にゃんか導入部分からさらっと大変にゃこと口走ってるにゃ!」
ゴードン「あれだろ。強いか弱いかの差だろ」
ミーケ「さすが脳筋。違わにゃいでもにゃいけど、決定的に違うところがあるにゃ。動物はそのエネルギーを人間と同じく植物や動物から得ているのにゃ。対して魔獣と呼ばれるものは大気中の魔素を吸収して活動のエネルギーにするにゃ。魔素は魔法を行使する際にも必要な要素で、それを取り込んだ魔物はその土地柄の龍脈に近い性格を獲得すると言われているにゃ」
たかピコ「あ〜なるほど。みてくれが似ててもはっきり違いがあるんですね。どうりで攻撃的だと思った」
ミーケ「そうだにゃ。魔素を直接取り込んで活動する魔獣の多くは動物の突然変異種だったり、極限状態の中で生存本能を爆発させた個体で、肉体が魔素の濃度に耐えきれず、殆どは理性を失って凶暴な性格だから注意が必要だにゃ」
ゴードン「ガフールとセチアはどうなんだ? あいつらは魔人だって聞くけどよ。魔獣とは何が違うんだ?」
ミーケ「ガフールにゃんは元々魔人種で、魔獣と同じく魔素を取り込んで生活しているらしいにゃ。起源は知らにゃいけど、突然変異種か、元来あの姿にゃんじゃにゃいかにゃ。。セチアにゃんの場合は、魔素の薄い人間界から魔素の濃い魔界で生活しているうちに魔人ににゃってたって。多分、適応進化じゃにゃいかって言ってたにゃ。素体が人間だから耐えられたんじゃにゃい? そういえばセチアにゃんの作ったアロマキャンドル。すごくいい香りのするやつばっかりだったにゃ」
ゴードン「いや知らん。それよりよぉ、塔の中には魔獣って結構いるけど、地上にはあんまいねぇよな。つまんねぇ」
ミーケ「いにゃいこともにゃいけど、いにゃいに越したことはにゃいにゃ。最近は街道整備が盛んになって、龍脈も落ち着いてきてるから、魔獣の発生件数は下がりつつあるにゃ。でも、魔獣同士が共食いして、1個体が強力ににゃってるって噂もあるから油断は禁物にゃ」
ゴードン「マジか! そいつどこにいるんだ!?」
ミーケ「いや知らないにゃ。あくまでも噂だし」
たかピコ「街道整備とかがされてなかった以前は結構多かったんですか?」
ミーケ「そうだにゃ。ギルドのメンバーは毎日魔獣狩りに出ていたし、警備兵は今の10倍の数で国を守ってくれていたにゃ。戦争が終わってその辺が変わってきて、今では断然、安心して眠れるにゃ」
ゴードン「魔獣ってあんまし食堂でみねぇけど食えねぇの? カニは旨いのに」
ミーケ「魔獣の多くは最低限の筋肉しか持っていにゃいから食べるところが少ないにゃ。性格が穏やかな魔獣の場合は、動物の頃の習性が残っているのか肉付きがいいのが多いにゃ。ホノオガニもそのタイプ。殆どの魔獣は魔術の材料になったり、薬草と混ぜて体力回復薬や魔力回復薬になっているにゃ」
たかピコ「厄介者だけど、使い方次第で薬になってくれるんですか。なんていうか複雑な気持ちになりますね」
ミーケ「まぁでも、やっぱり出逢わないに越したことはにゃいにゃ。それはそうと、なんで魔獣に襲われたにゃ? わさび山はそれほど魔獣が出にゃい場所にゃのに」
たかピコ「…………実は、わさび狩りに行った時に魔獣用の落とし穴にハマってしまって。なんと先客がいたもんなんで狭い穴の中で格闘してました」
ゴードン「ダセェッ!」
ミーケ「笑い話じゃにゃいにゃ……。でも武器買っといてよかったね」
たかピコ「それが、脇差しはマグマにドボンした時、溶けてなくなってしまって。痛覚ないし、防御力だけは高いので、結局素手で殴り殺した方が早いことに気がつきまして」
ミーケ「まさかのスケルトンファイター…………。角ばったところで殴られたら痛そう」
ゴードン「いやもうお前、いよいよ無敵だなそれっ!」




