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世界崩壊式  作者: 三隅 凛
胎主殺し
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遊視察04

「言いたくないことは言わなくていいから、幾つか質問させてね……有難う、じゃあまず……僕は余所者だから詳しくないんだけれど、『警察』はこういう時動かないのかな」

「動きます。普通は警察の仕事でそれなりに……解決、します」被害者の生死はともかく犯人は捕まる、と。

「今も表向きは動いています。でも何も分かっていない。家出の可能性もあるけど低い、くらいしか」

「君から見て、家出の可能性は?」

「ありません」

 珈琲を一口啜って、二呼吸程間を取る。

「それで君は警察の無能に見切りをつけて情報屋を頼った、かな」

「いえ、違……わないんですけど、えっと、無能というよりも手が出せないんじゃないかなって思って」

「手が出せない?」

「警察は、『神社』と『病院』には手が出せません」

「……成程」

 中々凄い事言っているんだけど、自覚あるのかな、この子。

「有名な情報屋さんだと言っていたね。情報屋というのは君みたいな」えーと。「未成年の依頼も受けてくれるものなのかな」

「はい。それなりに依頼料がかかりますし、その、余り表向きの人ではないので、依頼した時は驚かれましたけど、ちゃんと受けて頂きました」

「まあ、正直珍しいだろうね」

 で、その情報屋だ。

「その情報屋さんは、早月ちゃんは生きている、という情報まで掴んだのにそれ以上は調べなかった、で合っているかな」

「はい。理由も教えてくれました」

 しっかりと頷き、正面──僕──を見つめてくる。話が早くていい。

「彼女は今、病院の保護下に居る、と。それは勿論本当に、文字通りの意味での保護かもしれないが、理由は分からないまま、病院の支配下にある」

「……それで」人体実験という言葉は多分、一般人でも思い浮かぶ。「情報屋は病院の……ん、あれ」傘下ならそんなことは言えないよな、じゃあ何だ? 単純に荒事は苦手、でいいのか?

「お得意様だそうです。だから、ここから先は他の人にって」

 基準が良く分からない。

 さて、本命。

「で、その他の人が僕、かな」

「はい、その……」仕草が少し控えめになった。良く分からない子。「蝙蝠さんは最近企と野に来たから変なしがらみはないし、神社なら病院の不利益を考えずに動けるから」

「……成程」

 勿論、納得していない。その理由ならわざわざ僕を指名する必要もない、どころか僕より適任が沢山居る。

「その情報屋さん……名前を訊いてもいいかな?」

静火せいか日成ひなりさんです。本名じゃないみたいでしたけど」

 だろうなぁ……とりあえず、知らない名前だ。

「静火さん……女性かな? 彼女は僕のことを知っている様子だった?」

「女性です。えっと、写真とお名前を聞いたくらいで、お知り合いって言い方ではなかった、ような」

「そう。まあ、情報屋さんだしね」写真は写真で何時のものか気になるが、置いといて。「静火さんが推したのって、僕以外に何人くらい?」

「えっと、蝙蝠さんだけです」

「へぇ」それはそれは。駄目だったら他の人を紹介する、くらいは言っているだろうけれど、この様子だと僕が一人目、だろう。

「情報屋さんも僕としては気になるけれど、置いといて」珈琲を一口飲んで、カップを置く。「依頼の話をしよう」

 少女が分かり易く緊張し、強張る。

「御存知のどおり僕は余所者で、今は神社の庇護下に在る。だからまあ、神社に怒られるようなことはしないし、出来ない」周囲をごく簡単に探る。如何にもな聞き耳はない、が。「正直神社次第、より悪いかもしれない。僕個人の調査能力なんて高が知れているし、神社は多分、大して力にはなってくれなさそうだ」

「……それは、はい」小さな声で、でも少女は肯定する。「良く分からないなりに、なんとなくそうだろうな、とは」

「状況が把握が出来ているようで有難い」殆ど減っていないココアに視線を送る。大分冷めただろうな。「だから僕は、井伊野早月を探せ、という依頼を受けることは出来ない」

「……そう、ですか」無理に発声したような、か細い声だった。「分かりました、御時間取らせてしまってすみま、?」

 少女の眼前で手を振る。さて、どう嘘じゃない範囲で丸め込もうか。

「ただ、君の力になることは出来る」言い切った時点で嘘だ、まあいいか。「訳の分からない理由で行方不明になっている友人が居る、と聞いてそのまま放っておくのは気分が悪い。神社にも適当な土産があればまあ、僕の立場も大丈夫だろう。問題は僕の技量だが、そこは静火さんを信じよう」

 森久世歌季の瞳が、期待に満ちる。よし……ん、いや、そうでもないか? あんまり期待されてもいい気はしない。

 まあこれで、すぐに他を当たることはないだろう。とりあえずだが。

「そんな感じでいいなら、宜しく」

「……はい! 宜しくお願いします!」

 穏やかににっこりと微笑む(得意だ)。

「それとね、世歌季ちゃん。ひとつ助言アドバイスだ。今後が無ければいいけど、あったら参考に」

 小首を傾げるのを視界に収めつつ、珈琲を飲み干す。単純に気が緩んでるようで何より。

 少しだけ笑みの性質を変える。

「友人が行方不明で、それに病院なんて有力組織が関わっている時は」伝票を掴み、立ち上がる。「探して、じゃなくて連れてこい、だ」

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