観察日記23
12月9日
フラグは折れてもいないし、消えてもいなかった。
朝、クリスちゃんの吐息で目覚めた瞬間は、とても心地の良いものだった。外はくもり空だったけど、心は晴れ晴れとしていた。
問題はおやつ時に起きた。
リビングで映画を見ていた時に、窓の方から音が聞こえたのだ。カーテンを閉め切って映画を見ていたので(しかもホラー)、突然の異音にはびびった。
鋼鉄の心臓こと、スラちゃんが確認すると、そこには赤い目が……!
絹をさくような、キューちゃんの叫び声が聞こえた。おかげで、私は逆に冷静になることができた。
よく見ると、赤い目の持ち主は、猫のような犬のような、そんな何かだった。いや、ほんと、アレは何だったんだろう?
赤い目の何かは見られていることに気づくと、すぐにその場から消えてしまった。
落ち着いたキューちゃんに正体を問うと、「堕落した天使っぽい何か」だと返された。つまりは堕天使ってことですね。
後で、帰ってきたお兄ちゃんにそのことを伝えると、やけに嬉しそうだった。封印されていた右目がうずくのかしら。
「昔は『右目がうずく』とかよく言ってたけど、今は言わないの?」って言ったら、お兄ちゃんは右目だけ赤色に変えてみせた。『時代はオッドアイだよ』だって。
邪神の力が無駄に発揮されていた。いつの間に……。
(兄 `・ω・´)時代はオッドアイだよ! いあいあ!




