観察日記20
12月1日
悪魔な阿久根さんの襲来の翌日、私たちはいつも通り過ごした。
クリスちゃんは最近興味を持った裁縫の雑誌を読んでいた。スラちゃんは私の膝の上で一緒にテレビを見ていた。お兄ちゃんはネットサーフィンでオカルト動画を漁っていた。
とても平和な一日だった。
12月2日
短い平和だった。
リビングでクリスちゃん達とお菓子を食べながら、テレビを見ていると、玄関のチャイムが鳴った。確認してみると、女の子が一人ぽつんと立っていた。それで問いかけたんだけど、彼女、『邪神はどこだ?』って言いだしたの。私が驚いていると、その間に女の子が家の中へ入ってきた。ドアは勝手に開いたみたい。それから女の子は、『私は邪神を滅ぼしに来た』って言いだした。
泥棒が来た時ってこんな感じなのかなって思いが私の中に生まれたけど、すぐに重要なことを思い出した。そう、相手の名前を聞くことである。
んで、名前を聞いたんだけど、これが教えてくれないの。
名前を聞きたい私と邪神を滅ぼしたい女の子でしばらく問答をしていると、お兄ちゃんが二階から降りてきたので、対応をお兄ちゃんに任せた。当人……当邪神だしね。
それで問題はあっさり解決した。
『名前はキューエルか』
その瞬間、女の子はきょーがくの表情に染まって苦しみだした。呼吸が荒くなって、顔が赤くなった。見ようによっては、もだえているようにも見えなくもなかった。
とうとう加虐趣味に目覚めてしまったのかと白い目で見つめていると、お兄ちゃんは慌てて弁明しだした。なんでも、名を知ることで相手の存在を縛ることができるらしい。いつの間にかお兄ちゃんの邪神の力も育っていたんだなぁって少し感心した。
お兄ちゃんによると、キューちゃん(キューエルなのでキューちゃん)は天使っぽいアレらしい。邪神は彼女達にとって、黒い悪魔Gのような存在らしい。見つけたら滅ぼすのが推奨されているとのこと。気持ちは分からなくもないけど、ちょっと迷惑かな。
とまぁ、そんなこんなで、うちの居候が一人増えたのでした。
キューちゃんっていうと、ちょっとおばきゅーっぽいね(´・ω・` 妹)




