観察日記17
11月24日
リビングでぐーたらしているお兄ちゃんを見ていたら、「最初ほど邪神について言って来なくなったな」なんて考えが浮かんだ。
「邪神の力、最近見てなくない?」
お兄ちゃんにそう言ったら、お兄ちゃんはぶつぶつと奇妙な呪文を唱えた後、右手に浮かんだ模様からにゅるにゅる何かをひねり出した。何かはボトリと床に落ち、たちまち人型になった。いや、人型というか、人だった。
『ホムンクルスだ!』
よく見ると、その人は女の子だった(胸のふくらみからそう判断した)。女の子は生まれたままの姿だったので、慌てて部屋に戻り、私の服を着せてあげた。お兄ちゃんには目潰しを喰らわせておいた。
そうこうしているうちに女の子は目を覚まし、お兄ちゃんを見て『おかあさん』と言った。どうやらお兄ちゃんはお母さんになったらしい。
笑いをこらえながら、私が「母乳でもあげたら?」ってお兄ちゃんに言うと、厳かな顔で『やめてくれ』って言った。
女の子の名前は「クリス」に決まった(お兄ちゃんがつけた)。ホムンクルスの「クルス」に似た響きにしたらしい。
とりあえず、クリスちゃんは私の部屋で過ごしてもらうことにした。
いきなり妹ができたみたいで戸惑ったけど、可愛い子だし、スラちゃん共々仲良くしていきたい。
勿論、夜は私の部屋で一緒に眠った。
11月25日
今日はクリスちゃんのことについて書こうと思う。
お兄ちゃん? そんな人の……いや、そんな邪神のことはどうでもいい。
さて、まずはクリスちゃんの見た目について。
かみの毛は金色で、ツインテールにできるほど長い(ので、実際にツインテールにした。もだえるほどキュート)。
身長は160cmに少し届かないくらいで、見た目は中学生だ。
食べ物は食べれるけれど、別に食べなくても問題ないみたい。でも、お兄ちゃんから力を提供されないと駄目なんだって。力の提供は、手をつなぐだけで良いらしい。ニマニマしながら手を握るお兄ちゃんは、はっきり言って気持ち悪かった。まぁ、クリスちゃんは可愛いので、気持ちは分からなくもない。でもキモかっ(以下省略。
クリスちゃんが着る服がなかったので、今日は服を買いに行った。庶民の味方、ファッションセンターうらしまに突撃である。お金はお兄ちゃんもちだ。
クリスちゃんには可愛らしいおべべをたくさん買ってあげた。お店の中でプチファッションショーを開いた。まぁ、観客は私とお兄ちゃんだけだったけれど。でも、満足だ。
後は、うちに帰って家のことについて色々説明した。クリスちゃんの立ち位置としては、(私の)妹兼お手伝いさんみたいな感じかな。
スラちゃんは今日も、新しくできた自分の後輩に興味津々みたいだった。仲は良さそうだ。
家がにぎやかになってきて、少しうれしい。
(兄 *'ω'*)「もってかれたぁー!」ってやるべきだったかな?
お兄ちゃんは錬金術師じゃなくて邪神でしょ(´-ω-` 妹)
(兄 ´・ω・)そうだった……




