タイミング
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「ガチャ…」
千早から家に誘われた文月は、動揺しながらも答えた。
「全然行きます…てか…是非行かせて下さい!」
文月にとって女子の部屋に入るのは初めてだったのか緊張とともに、何か期待しながら家の玄関の扉をを開けた。
(いよいよか…女子の部屋入れる…のか…)
「お邪魔します…」
もちろん返事はない。そして一歩一歩千早の部屋に近づいていく。
(まさかアニメフィギュアとか並べてたり…流石にないよな…女子なんだから可愛いピンクで…いや千早のことだからクールに黒とか…?とにかく早く見たいとこだ…)
千早の部屋の前につき、ゆっくりと部屋の扉を開けた。
(うお!くる…ぞ!)
「ガチャ…」
文月の嫌な予感が当たっていた。その部屋は壁一面にアニメのポスターが貼られており、机の周りにはたくさんのフィギュアが並べられていた。
「ごめん、散らかってて!こういうのが好きってこと隠してるから家に友達なんて入れたことなくて…」
「いやいや!凄くイイと…思うよ!すごくとても!」
動揺が隠せていない。
(流石に俺じゃなかったら引いてるどころのレベルじゃないぞこれ…)
あのアニメ好きの文月を驚かせるほどのレベルでアニメ関連のグッズや写真が部屋一面に、ぎっしりと飾れている。
文月にとってこの部屋は宝箱の中といっても過言ではないだろう。
(うわお…プレミアの非売品グッズばっかだ…)
「なんで俺を部屋に…?」
文月が一番気になっていた自分を家に呼んだ理由を聞いた。
「理由?理由なんてない…ただ、まだ居て欲しかったから…」
一瞬、千早のその言葉に気絶しそうなったがなんとか持ちこたえた。
「お、おう…で、でも何する??」
慌てて話題を変えているが動揺は隠せていない。文月は千早の両親のことを聞こうと話を変えた。
「て、ていうか両親はどこに旅行行ってるんだ?」
そういうと千早の顔が暗くなったのに気づいた。
(何か、変だ…隠し事でもしてるのか?)
「…実は…両親…刹那悠作という名前でアニメ小説を描いてるの…」
一瞬でこの場の雰囲気が変わった。
「………え」
「なんかごめんね…隠すつもりはなくて…!」
千早は文月に引かれるのが嫌だったのか両親が旅行に行ってると嘘をついていた。
「…え……えぇぇぇぇえええ!?!?」
(嘘だろ…!?)
すると文月のスマホが鳴った。
「もしもし?」
「文月!?何時だと思ってるの!?ご飯だから帰ってきない!!」
凄まじいタイミングで帰るように母からのお怒りの電話がかかってきた。
(タイミング悪すぎるだろ!)
「あ、ごめん俺帰るわ…今日はありがとう楽しかった…また明日学校で絶対話を聞かせてくれ!!」
というと千早の家を逃げるように出て行った。
「刹那…悠作?って言ったよな…まじかよまじかよ…!?」
そういいながら文月は自分の部屋のベッドに飛び込んだ。
「…文月!!!!早く食べなさい!!!」
「は、は、はーい!!!!」
今回も読んで頂きありがとうございます。