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第十月二週目第四曜日
アルワーハ行きの船は、流石にキャスト財団の所有というだけあって最新式の蒸気機関エンジンを積んだ帆船だ。装飾が豪奢であるのは商売をやるうえで必要な権威を纏っているのだというのは、誰から聞いた話だったか。私としてはベッドが柔らかいというそれだけで充分良い船だと思えるが。
ウィローはくれぐれもキャンディから目を離さないよう言ってきた。私が役割を投げ出さないように釘を刺すつもりであったのだろうが、それにしても奔放な総帥を守るのに、彼女も大抵苦労している。今回相手にするものがどの程度の危険性があるのかいまひとつはっきりとしない分、気を引き締めるべきということだろう。
ウィローが回収する間、被害が及ばないよう単純にキャンディの護衛をするというのは久々の任務のような気がする。彼女も義足の手入れを熱心にしていた。
なんだろう。もしかすると明日私は死ぬのかもしれない。




