第九月一週目第三曜日
ゲエトでは戦渦を被った地域の復興が進んでいる。キャスト財団からも、いくらか寄付金を出しているそうだ。
キャンディに、メルジュール島を襲った理由を聞かれた。
重用していたジルベスター卿が独断でやったことであるので、私としては特に理由を挙げられるものではなかった。
理由があったのは、ジルベスターのほうだろう。メルジュール島を焼き滅ぼしたことで、弟の派閥が私に対する反感を露わにするようになり、決定的な対立の構造が生まれた。ジルベスターは私を魔王にしたいと考えていた。彼は私の賛同者だったし、やり口は冷徹であったが、その容赦のなさはある種の信頼を置けるものであった。私はその思惑に乗らざるを得なかった。
メルジュールの民は私にとっては敵対者だったので、事後報告であったとしても、さしたる問題とは思っていなかった。それが罪であったから、現状がこのような有様なのだろうか。
やることが少ないので、過去を振り返るばかりである。けれど私のやってきたことの何が、どれが、裁かれるべき悪徳であったのか、私には理解できない。
キャンディは何かしら思うところがあるようだったが、具体的に私にそれを説明することはなかった。ただ確認するための問いかけであったようだ。
↑アールヴくんめっちゃ真面目に日記書いてて笑う。
↑私の日記に汚い字で落書きするな。




