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魔王の成りそこない  作者: 味醂味林檎
ベエル暦一七一六年 夏の終わり、そして秋
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第八月四週目第一曜日

 私は腕を再生することに決めた。腕を丸ごと一本作り上げるには相応の魔力が必要となるが、かつての栄光の証であったこの背中の翼を素材にすれば事足りる。所詮は余剰の魔力であるのだから、本来の肉体の機能を取り戻すために使っても問題はない。

 弟は私の死体を捜索しているようだ。私が生きていると、いつか気づくのだろうか。気づいたならその時は、再び殺し合いになるのだろうか。その時には、翼という魔力を失った私は、今度こそ殺されるのだろう。

 キャンディ・キャストは、弟と友好的な関係であるらしい。今のところは私のことを黙っているようだが、一体いつ私のことを弟に報せるのだろうか。そもそも何の目的があるのか。毎日のように考えているが、私の処遇についての決定権を持っているキャンディは多忙であるらしく、なかなかゆっくり話を聞きだすことができない。ロバートかマイケルならば捕まえられるが、連中は重要な機密事項は知らないようだ。

 思えば、私はあまり、誰かとゆっくり話すということを怠っていたのかもしれない。あれほど愛おしく思っていた弟とは分かり合うことができなかったし、私に従う者たちは皆勝手に私のためといって行動した。私は大抵の場合、後から結果を聞かされ、それに対して何か行動するかどうかを考えるしかなかった。それですべて上手くいっていたのだから、それが間違いだったわけではないと思うけれど。

 そういえば、私は死んだ妻の好きな花の一つも知らない。私の妻は、きちんと葬られているのだろうか。

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