ログイン6日目 チュートリアル? 6
こ、これを飲むのか……
表にでている感情とは裏腹に、心の中ではまだこの回復薬? を飲もうだなんて思えなかった。
一応念のためにいろいろと確認してみた。
まず中の液体。瓶を横に振ってみたところどうやら液体というよりかは個体に近く、ゼリーみたいだ。
次に瓶をさかさまにしてみる……
「バ、バカ!!」
「へ?」
少女が止めようとしたが遅かった、どんなにドロッとした液体でも重力には逆らえないのだ。瓶に入った液体は一瞬で足元の地面に溶け込んでいった。
こ、これは仕方ない。意図的にやったんじゃない。
が、たとえ意図的でないとしても少女には関係ないらしく、フグのように両頬を膨らましていた。
「むー、せっかくあげたのに」
「ごめんて、悪気はなかった。このとーりだ、なッ?」
両手を顔の前で合わせ、何度も頭を下げた。
正直なところあれを飲まなくていいんだと思ったらニヤつきが止まらなくなったからだが。まあ、そんなことがばれれば俺はまたあの男集団に襲われるに違いない。
「いいわ、今回のはかりってことにしといてあげる」
「マジで!?」
「ただし! それには一つ条件があります」
少女は人差し指を立て、口に当てた。
ああ~へし折ってやりたい。
「な、なんだよ……条件って」
「あんた、」
人差し指の銃口が俺の額に触れた。
さすがにもう我慢が出来ん。
俺は伸びる人差し指に向けて思いっきりヘディングを決めた。
その瞬間、鐘の音のような乾いたサウンドが鳴り響き目の前には”クリティカルヒット”と文字が浮かんでいた。
「いったあああああああああああああああああ!!?」
少女は痛む指を抑えながらぴょんぴょんはねだした。
さほど効いているんだろうな、やつの頭上にあるHPバーが気持ちいほど減少していっている。
「うぐぐぐぐ……で続けるけど。あんた私としばらくパーティーを組みなさい」
「は?」
おいおい、もう一発頭突きしたほうがいいのか?
「だーかーらー、わたしと……」
「いや、聞こえてる。問題なのはどうして俺がお前なんかとパーティー組まなければならないんだって話だ」
「え? だって。さっきのは借りにしてあげるんだからって言ったでしょ?」
「わかった」
「え?」
俺は顔面を地面に擦り付けた。ゲームなのに雑草のにおいや、土のにおいがはっきりとわかる。
それに対し少女はフリーズ。俺の行動をただ目を点にしてみていた。