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久々のお散歩

 本日は良い天候に恵まれたと言うことで、護衛のラズさんとフィリーさんをお供に散歩することになりました。

 殿下は、たまりに溜まった一週間分の書類を片付けています。アルさんが見張り役で徹底的です。


 むっふふーん。久々にゆったり出来るぞー。楽しむぞー。と私もご機嫌でたまに、飛び跳ねます。ウサギは嬉しかったり、興奮したりするとゴムのようにびょーんと跳ねるのです。


「冬なのにこんなに晴れてて、風が無くて良い感じー」

「そうですね。本当に珍しい事です。もしかしたら、本日最後の暖かさかもしれないですね」

「それなら、沢山動かなきゃ!」


 ラズさんから聞いたことにより、より、動くということにやる気が増した。こんな事を思うのは年に数回だけなので、思いっきり楽しむぞー。と、思った。……元野生だったのが嘘のように動くことがあまりないのです(泣)こんな日こそ、殿下じゃないけど、たまりに溜まった脂肪を消費しようではないか!


 人はこれを“やる気”ではなく“気紛れ”と言うことを、この黒ウサギは知らぬ。


 そんなやる気だと思い込んでいる黒ウサギは、王宮の庭を駆け回った。駆け回りながら、モノクロ達に久々に会いに行こうと、向かっていた。護衛二人は表向きは仕事してますよー、真面目にやってるよーと思わせながら、内心は悶えていた。毛玉が跳ねていると。短い手足でばたついていると。そんなクロ様をもふもふしたいー!と。別の闘いを行っていた。


 護衛達もまた、日々、忍耐力がレベルアップしていた。


 そんな、穏やかな午後。前方が、何やら騒がしかった。それは、どうやら黒ウサギと反対方向に進んでいるようだ。つまり、このまま黒ウサギ達が進めば、その元が姿を現す事になる。


 一人の護衛、フィリーさんが主にどうするかと、問い掛けようとしたとき。黒ウサギは立ち止まった。自然、後ろにいた護衛二人も立ち止まる。自然と、息がし辛い雰囲気が漂った。緊張感が高まる中、ラズは我が主の様子を伺った。しかし、流石は我が主と言うところか。主は全く微動だにせず、ただ静かに前方を見据えていた。その畏怖堂々とした姿はなんと胸に来るものか!それと共にそんな素晴らしい主に付いていることを改めて、誇りに感じた。護衛二人は主の佇まいにより、落ち着きを取り戻した。


 そんなこととはつゆ知らず、黒ウサギはフリーズしていた。

そう、ただビビりすぎてどうしたら良いか分からなくなったのだ。そんなこととは知らず、護衛二人は勝手に黒ウサギの好感度を上げまくっていたのだが、そんなどころではない。毛で覆われているから分からないが、冷や汗が半端ない。野生の勘が元々低いのに、更に低下しているこの状況。残念、の一言に尽きる。


 んな、語りはいらないんじゃぁああぁ!そんなことしてる暇があったら場を好転させてよおぉおぉぉ!


 久々の散歩でかなり浮かれすぎていた。すっっっかり忘れていたが、殿下には沢山のペットがいる。いつの日か登場したオオカミを思い出して欲しい。そう、凶暴だった。あの子たちの部屋は移動したので、会う機会はめっきり減ったが、他は特に対処していないのだ。何の対処って?そんなのは私の平和を壊す者への対処に決まっているじゃないかぁああぁ!



「ガァアアアアア!」

「待つんじゃー、虎吉~」


名前、そのまんまじゃないか!

そう、そのまんま呼ばれていた通り、虎が前方からワー、とやって来た。凄い勢いでワーとこちらへ向かって走ってきている。その虎の世話を見ていた人だろうか?お爺ちゃんがよたよたと追いかけ、ゆる~く呼びかけるも、虎は止まらず全力を貫いている。あかん。しかも、黄色い虎じゃなくて、白いです。白虎と呼ばれるものです。更に強そうな感じがします。あかん。


「凄い。もう間近に相手がやって来ているのにこの落ち着きぶり」

「貫録があるな」


 もう、お前達黙れ!こっちはもう、ガクブル状態なんですよ!ひぃいいぃいい!

 白虎君は私に気付いたようだ。目が合った。なのに、緩まぬスピード。寧ろ大口を開けてきた。あかん。まだ、扱い切れてないが、仕方ない。

 なるようになれじゃー!(メス)は度胸よー!


「流石、我が主」

「相手が油断しているところで攻撃に出るとは、余裕ですね」


 見てるんじゃなくて、助けてよ!


そう、心の片隅…八割ぐらいは思いながら発動させた。


「!ガルゥウウ…」


 何とか、防御魔法で止めた。……黒ウサギは衝撃で吹き飛んでいるが、大丈夫だ、問題ない。


「「クロ様ぁ?!」」


ラズさんとフィリーさんが同時にそこにあった、生け垣に偶然はまった私の心配をし、かけてきた。それに対し、私も大事ない、と返した。

 否、返したつもりだがおかしい。

 声が出てない。どうした?と、首元を見るとあら、びっくり。

 首に付けていた翻訳機が無くなっていた。


 へ?ちょ………。どういうこと?!

 驚きと焦りでキョロキョロ辺りを短い首で見ると。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ごほっ、ごほっ。と、虎吉。やっとごほっ、ごほっ。止まったか…って、何じゃそれ?何を齧っておるのだ?虎吉」


 ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ…。


 白虎君がいつの間に落とした翻訳機を齧ってました。あら、やだ☆そんなところにあったのね☆もう!クロったらドジっ子☆てへぺろ☆

 ……そんなんで済むわけないでしょーー!何やっとんじゃ貴様ぁああぁ!


 先程の恐怖は何処へやら。白虎君にウサギattack(アタック)を食らわせた。見事に眉間に当たり、白虎君はぎゃうっ?!と呻って倒れ伏した。


「虎吉?!」


 お爺ちゃんは驚いて、その名を連呼しながら生存確認後、救命処置に取りかかった。否、そこまでダメージ受けてないから。てか、そんなことより!私のお喋り機能がーー?!

 場はカオスと化しております。

また、喋れなくなっちゃった

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