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夢はどこへ向かうのでしょう?

作者: うまーぼ!

名前も素性も分からない小さな子どもたちが、異世界? で会話します。


何も考えず適当に書いたため、これと言った終着点はございませんのでお気をつけて……。


私たちの生活する世界にも、この作品みたいなちょっぴり異世界があったらいいですね笑。

 空からこの森を見下ろせば、不思議な光景であることは間違いないだろう。

 いや、厳密にいえば空からではなく、宇宙からだろうか。

 


 なぜなら、この森は真上の空までをも巻き込んで、綺麗に分断されているからだ。


 

 片や、曇りを知らない自然溢れる緑の森。

 片や、空までも純白に覆われた、雪の降る森。


 

 自然の理を捻じ曲げてでも、そこに在り続け、姿を変えない森は、そこに暮らす者たちまでも分け隔ててしまっていた。


 

 緑の森と白の森、互いの民たちが寄り付かぬ境界線。

 そのすぐ近くにある、白の森一大きな木の幹に小さな女の子が体を預けちょこんと座っていた。

 小さな体をすっぽりと覆う白いローブに尖がりフードが可愛らしく、人知れず暮らしている小人にも見えなくもない。

 


 そんな小さな小人さんは、目の前に広がる光溢れた森を静かに眺めていた。

 雪が積もり、辺り一面が真っ白な自分の住む森と違い、手を伸ばせば届きそうな程に近く、けれど見た目の距離以上に遠い緑の森は実に色鮮やかだった。

 


 健康そうな草たちが太陽の光を一身に受け、濃い緑色に薄い光の膜を被ることで、優しい緑色へと姿を変える。

 その上を、夜空に星が散りばめられるのと同じ様に、マゼンタ、シアン、イエロー――これでは、まだまだ足りない。

 もっとよく探せば、藤色、ピンク、茶色は木の実だろうか? そして白い花が、温かい日の温もりを帯びた風に、吹かれていた。

 


 幹がしっかりした木も伸び伸びと好きな方向へ背を伸ばし、まさしく彼らは生きていた。

 


こんなにも美しい世界が広がっている。



 ならば、もっと足を延ばせば、もっともっと素敵な場所に巡り合えるかもしれない。

 いつかこの森を飛び出し、世界を見て回りたいと女の子は強く願った。

 そして、できれば好きな人を見つけ一緒に旅をしたいとも……。

 


 しかし、そんなお伽話のような物語はそうそう起きっこない。

 サンタさんは居ないし、白馬の王子様なんて以ての外。

 自分の思い通りにことが進まないなんて、ままある事だと女の子はその身をもって体験してしまっていた。

 


 そう、この世界におとぎ話のような物語は起こらない。



 仮に存在したとしても自分には巡っては来ないだろう。

 なんせ、友達の一人も作れやしないのだから……。



 確かに女の子が思っていることはあながち間違いではない。

 だが、それを悟るには少々早すぎる年齢だ。

 夢を見て、救いを求めて。

 


 いつだって助けを求めて手を伸ばす者が居れば、それに気づき手を掴んでくれる者も居る。

 女の子は、まだその事を知らない。



 これから知っていくのだ。



「も、もしかして妖精さんですか!?」

 


 突如、曲がりくねった木の幹から姿を現した小さな男の子。

 女の子が眺めていた景色にひょっこりと飛び出してきた。

 


 そのいきなりの登場に、女の子は一瞬身を竦めた。



 まさか、こんな場所で自分以外の人間と出会うとは。

 しかも、その相手が男の子で緑の森の民だなんて。

 これが、反対の森に住む者の正体?



 逃げるか、戦うか。

 そんなもの考えるでもなく逃げるだ。

 女の子は静かに後ずさりをし、逃げの態勢へと移行しつつあった。



「逃げるってことは、やっぱり妖精さんなんですか! 待って下さい誰にも言わないから!」



 女の子が居なくなりそうな雰囲気を察知するや、男の子は手を伸ばして駆け出した。

 人間得体の知れないものに追われれば誰だって逃げる。

 例に漏れず、女の子も素早く身を翻し、最初の一歩を大きく踏み込もうとした時だった。



「うぎゃっ」



 ゴスっと鈍い音が後ろで響き、思わず立ち止まってしまう。

 振り返らずとも容易に想像が付く。

 後ろの男の子がどうなったかを考えるだけで、女の子は自分の額が痛くなり、思わず一撫で。

 同時に後ろから、うめき声と一緒に悔しそうな声が地を這ってきた。



「うぅ、妖精さん。別に捕まえようとしたわけじゃないのに……遊びたいだけだったのに」



 どうやら男の子は自分が倒れている間に、女の子が逃げてったと勘違いしているようだった。 

 目に涙を浮かべ、ムクリと起き上がる。

 そこでやっと女の子が立ち去っていないことに気が付いたのだ。

 その怯える小動物のような姿を見るや、目に溜まっていた涙が一瞬で引っ込み次の瞬間再び叫んでいた。



「妖精さん!! わあぁ、待っててくれたんですね!」



 まるで、お面を付けたり、外したり。表情の素直さと、男の子の妖精を信じる純粋さを前に女の子は間違いを正すことに罪悪感を覚えた。



「えっと、妖精さん……じゃないよ?」



 女の子は、小さな体の前で両方の手を振り、困った様な笑顔をカクンと傾けた。



「えっ妖精さんじゃないの!? そんなに可愛いのに!」



 ガバッと立ち上がった男の子は、ビシィッと女の子に指を指した。

 やっぱり顔は忙しいようで、顎をガックリ落としている。



「じゃあ、君は誰なの?」



 至極自然な疑問。


 少々マナーがなっていないようだが、女の子の目と耳にはまるで入ってきてなかった。



(い、今可愛いって……)



 生まれて初めて男の子に言われた褒め言葉。

 その人生初めての刺激に脳の処理が追いついていないようで、女の子の真っ赤になった顔は雪原に良く映えた。 

女の子は視線をサッと少年から足もとへと落してしまった。 



「……?」



 そして、そんな女の子の態度に興味をそそられない男の子ではない。

 何を思ったのか、女の子の手前まで近づくと、躊躇うことなくしゃがみ込み下から女の子の羞恥にまみれた顔を覗き見たのだ。



「うわ顔真っ赤―っ! 照れてるの?」



 そんなこと自分が一番分かっている。と、女の子は心の中でこそ抗議したが声にはならず一段と顔を下げることしかできずにいた。

 その様子を見てやっと理解したのか、男の子はパッと半歩分後ろへ下がると自己紹介をしだした。



「僕は緑の森に住むヒカル。十歳! 好きなことは探検! 嫌いなものはありません!!」



 えっへんと誇らしげに胸を張るヒカル。

 一体何を理解したのか分からないが、間違っているということは想像に難くない。

 しかし、それも仕方のないことなのだろうか。齢十にして相手の行動の意図を汲むというのは、意外にも難しい。それは大人でも稀に失敗することだ。

 


だから許されるというわけではないが、やはりこの男の子――ヒカルにはもう少し慎重に動いてもらいたいと願わずにはいられない。

 目の前で、戸惑い始めた女の子のためにも、だ。



 今度こそ君の番だと言いたげにその場に胡坐をかいたヒカルは、そわそわそわそわと膝を上下し、目を期待の色に染めている。

 女の子は大変に違いない。

 怖くなったり、心配したり、恥ずかしくなったり、戸惑ったり。

 こんな短時間で、ヒカルに振り回されるのは、ひとえにその優しさのせいだろうか。

 


 最初はすぐさま逃げようと試みたはずなのに、今は自分もヒカルに倣うべきか真剣に悩んでいる。

 そして結局自己紹介をしようと口を開きかけたその時。



「とーう!」



 何を考えたのか、いや何も考えていないに違いない。

 大人しく座っていたヒカルは、自分の居る光あふれる草原から、ユキの居る雪原へと体ごとダイブしたのだ。

 

緑の森では、まるで小さな子供の様に、木漏れ日が忙しなく走り回り、眺めればどことなく穏やかで、そして微笑ましい気持ちなる。



 なのに目の前の子どもはどうだろう。

 もう、悲しくて何も言えない。



「あはは! なにこれ気持ちいぃーーっ」



 冷てーっと叫びながら、ゴロゴロと体を転がすヒカル。

 ほんと、ヒカルにはガッカリだ。

 その理解不能な行動に凍り付いた女の子は、たっぷり三秒眺めた後に飛び上がる勢いで叫んだ。



「きゃあああああ」



 今まで出したことのないような声を上げた女の子は、すぐ後ろにそびえ立つ大樹の向こうに体を隠し、顔だけを半分だした。

 こんなにもヒカルから嫌がらせに近い行為を受けているのに、まだ彼を置き去りにしようとしないのは、 ひとえに女の子の優しさあってのことだが、ヒカルの、悪く言えば考えなし、よく言えば無邪気さに触れたからだろうか。



 なんやかんや、ヒカルは恨み切れない。

 そんな当の本人ヒカルは、女の子の異常な態度に違和感を覚えたのだろう、ここに来てようやく彼女をしっかりと見た。

 さっきまでの羞恥に染まった可愛らしい表情は跡形もなくどこかへ消え去り、代わりに今この瞬間にでも泣きだしてしまいそうな、しかしまだヒカルのことを完全に恐ろしい奴と判断しかねている困惑の表情を浮かべている。

 やっぱりヒカルはダメな奴だ。



「あれ、あの、ど、どうしたの……?」



 恐る恐る立ち上がり、シャム、シャムと柔らかい雪を踏みしめて近づこうとするヒカル。

 自分に向けてゆっくりと伸ばされた手を見た女の子は、今度こそ本気でヒカルの事を拒絶した。



「やだ! こないで、こないで、こないでっ!!」



 その悲鳴にも似た叫びがヒカルの心に届いたらしく、彼は十歳にして初めて本気の拒絶を味わった。

 百面相ヒカルに新たな顔のカテゴリが追加された瞬間だった。

 それは魂が抜けたようなアホ面。

 ヒカルには良い薬になったかもしれない。



 女の子の悲鳴が、ぐんと高く伸びた青空、雪空に吸い込まれ再び地上に静けさが蘇る頃、ヒカルの頭は真っ白になっていた。

 まるで、その場にふわふわと浮いているように現実味がない。

 頭に霧が掛かったように、ぼんやりとしていた。



「えと、ごめん……なさい」

 


かろうじて喉から搾り出した言葉は羽虫の羽ばたき――か細い音といい勝負。



「……」



 しかし、そんな態度でアホ面下げていたら許せるものも許せない。

 女の子が許しても作者が許さない。

 案の定。大樹の後ろで身を隠している女の子は白い目をヒカルへ向けている。



「ほ、ほら僕、探検がすごい好きで知らない物を見つけたり、綺麗な場所を誰よりも先に見つけたら全部独り占めできるでしょ? そう思ったら、初めて見る雪って奴の感触をいち早く確かめてみたくてそしたら、冷たい! 軽い! 柔らかい! の三点セットでお買い得です。じゃなくてぇ!」



「……ぇ?」



 いよいよ変な奴だと認識されつつある事態。

 女の子の可愛らしい顔が見たくない形に歪みつつある。

 そんなのヒカルも作者も見たくない。



「ごめん、ごめんなさい!! もう変なことしないから。落ち着くから! だから許してください!!」



「ヒカル君ってさ」



 名前を呼ばれたことで許しを得たと勘違いしたのか、ヒカルはパッと顔を輝かせる。

 涙の滴がふわりと目尻から零れ、積もった雪を小指の爪分だけとかした。



「はいぃっ!」



「ここ――二つの森の境界線に来たのは今日が初めてなの?」



「はい! 今日が初めてです。大人たちの言い付けを破ってでも来てみたかったんですっ」



 感激のあまり、目の前の寛大な御心を持つ女の子に、自分の知る限り最大の敬意の表し方、もとい敬語で接しようと固くヒカルは誓った。



「敬語は止めて。同い年だから」

 しかし、ピシャリと言い放つ女の子の目は、本気と書いてマジだった。

 未だに、大樹の幹から顔だけをそっと覗かせた、可愛い仕草をしているというのに、一年中雪が降り積もる白の森の民特有のものなのだろうか、怒った時の声は冷や汗をかくに足りうる鋭さを内包していた。



「ごめんなさい」



 ここまで来たら、もうヒカルに自由はない。

 幼くして、怒った女性の恐ろしさまでをも知ってしまったヒカルは、この場においてはただ謝るしかなかった。



「それで、大人たちはどんな言いつけをしているの?」



「えっと、雪の降る森に近づくな。あそこには化け物がいて食べられるぞ。森が二つに分かれているのは神

様のご厚意によるもので、お陰で私たちは安全に生きていける。なぜなら化け物は暑さに弱い心の冷えた者だから。とか、かなぁ」

 


 うーん、と顎に手を当て眉間に皺を作るヒカル。

 言い付けは、これで全てだっただろうかと思索する横で、その話を聞いた女の子は静かに驚いていた。

(それって、私たちの言い付けと内容が同じじゃない!)

 なぜなら、ヒカルの言う言い付けは、女の子が物心ついてから今まで、耳にタコができる程言われ続けてきた内容に酷似していたからだ。

 話の大筋は全くもって同じ、違う所はこの一文。



『魔物は寒さに弱い、燃えるような怒りの心の持ち主だから。』



 ただの偶然だろうか?

 いや、そんなはずがない。

 まるで裏を合わせているかのようなこの言い伝えに、意味がないわけがない。

 一体いつから、そして誰がこんな嘘を付いたのだろう。

 幼い容姿に似合わぬ、思案を展開する女の子。

 しかし、ずっと気になっていたことがあるのをすっかり忘れていた。



「そういえば、ヒカル君はなぜ私を、その……」



「え? 何?」



 女の子は、自分で口に出すのはいささか恥ずかしいものがあると、いざ問いかける時になって気が付いた。



「だから、何で私をいるかも分からない妖精だと勘違いしたのよ!」

 


そう、女の子の疑問は全くもって素朴なものだった。

 大人たちに虚妄を植え付けられておきながら、なぜ自分を隣の森に巣食う化け物と思わなかったのだろう。

 自分自身、初めてヒカルを見た時は、身の毛もよだつ思いをし、迷うことなく逃げようとまでしたのに。

 もしかしたら、ヒカルの森では自分の森とは違い、言い伝えに更なる続きがあるのかもしれない。

 それこそ、自分を化け物なんかではなく、妖精と信じ込んでしまうような言い伝えが。

 女の子は、そう思い至ると少しだけ胸が高鳴った。



「実は、大人たちが嘘を付いているんじゃないかって思ったのさ」



「え?」



 この意外な答えに女の子は少しヒカルを見直した。

 一見、衝動的で考えなしのどうしようもない男の子だと思っていたが、既に自分と同じ見解に至り、それに確信を得るためここまで足を運んだのか。

 だとしたら、見かけによらず切れ者である。

そう思った。

 しかし、続いた言葉はやっぱりヒカルらしいものだった。



「あんなにも頑なに言い付けるってことは、何か隠したいものがあるに決まってる! 誰にも教えたくない、つまり楽しいことだよ! 大人たちは子供に黙って森の妖精さんとお話しとかしてるに違いないと思ったんだ! そりゃあ独り占めしたくなるよねっ!」

 


 まるでここだけ緑の森に変わったかのような眩しい笑顔を見せるヒカル。

 しかし、女の子の顔はより一層、冷たい物へとシフトしていった。

 もう、この目の前の子どもを警戒するなんてばかばかしい。

 そう判断したのか、大樹の幹からおもむろに体を晒した女の子は、さっさっと雪玉をこしらえると、迷わずヒカルの顔に投げつけたのだった。


と、いう夢を、作者は一昨日見たのでした。

                    完。


彼女たちの生活はこれからどうなっていくのか?

私には分かりません笑。

なぜなら、続きを書く気がないからなっ!!

ふはははははははは!


ごめんなさい。


最後までお付き合い下さった読者さんありがとうございましたっ。


それでは!


せーのっ


うまーぼ!!

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