世界の終わりと悪夢の始まりの話
読みにくかったらすみません。
世界が終わる音がする。
魔族達の歓喜の声が響いている。
人々の嘆きの声が響いている。
それをぼうっと眺めながら私は彼の手を握った。
冷たい手だ。
それはそうだろう。
彼はもう■■■いるのだから。
だから私はぼうっとただ阿鼻叫喚の世界を見ている。
世界を救えるのは、彼だけだから。
彼は勇者だ。
いずれきたる魔族との決戦の切り札。
高貴な血筋であるものの、その定めを全うするために森の隠者にして伝説の魔術師に預けられた人。
そして私はたまたまその森の近くの村に住んでいた、幼なじみの何の力も定めもないただの村娘。
そんな遥か高みにいる存在に恋をしてしまっただけの人間。
遥か高みの存在だからと諦めていれば、未来は変わっていたのだろうか。
その存在に近付きたいなんて思わなければ、何か違っていたのだろうか。
今となってはわからないことだ。
でも
自分を焼き殺してしまうほどの恋の激情に突き動かされて、死に物狂いでただ走り続けた先に幸福があるとは、ずっと欠片も思っていなかったことは確かなことだった。
彼が自分に振り返るなんて、ありえないと。
そう思いながらも手を伸ばさずにはいられなかった。
その罰なんだろうか。
魔族共の首魁、魔王。
奴に挑む彼の率いる軍団に私は入ることが出来た。
役職なんてない一兵卒。
魔術も剣術も死に物狂いで習得したというにはあまりにもお粗末な結果であった。
それでも彼の側で戦えると思うだけで胸が高鳴った。
単なる一兵卒にも話し掛ける気さくな彼に私は何度も心臓が止まるかと思うほど嬉しかった。
この戦いが終われば、この思いを伝えよう。
そう思える程幸せな日々。
道中の魔族共を倒して辿り着いた魔王の居城。
そして戦いは始まった。
戦いは熾烈を極めた。
互いに極限まで疲弊していた。
しかし私は、私達は確信に近い思いを抱いていた。
この戦い、勝てるぞ…と。
きっと私達の勝利で終わるはずだった。
彼が私を庇ったりなんてしなかったら。
魔王からの避けられない致命的な攻撃。
避けられないと悟った私が思ったことはやはり彼の事。
彼に生きて欲しいと。
彼に勝って欲しいと。
そう心から願って、目を閉じようとして。
私を庇う彼の背中を見てしまった。
致命的な一撃を食らった彼は、私の方を振り返りながら何か言おうとして…そのまま事切れた。
その後のことは、お察しのことだろう。
勇者を失った軍団はいとも簡単に魔王に蹂躙された。
私は事切れた彼の体を抱いてそれを呆然とみていた。
魔王は軍団を皆殺しにした。
彼を抱いた私以外。
全てを終えた魔王は私を底無しの闇のような目で見てきた。
それをただ無感情に見返していたら、深い睡魔に襲われて私は倒れてしまった。あれは何かの魔眼だったのだろう。
気がついたときには傷一つなく眠っているような…しかし生きているものには有り得ない冷たさの彼と一緒に不思議な部屋で寝かされていた。
世界の各地らしきものを写し出している部屋。
望めば大抵なんでも出る不思議な部屋。
そんな部屋で私は魔族が人々を蹂躙する様を見せつけられていた。
ずっと、ずっと。
魔族に犯された世界が割れる様を。
人々と魔族のあげる叫び声を。
ずっと、ずっと、ずっと。
彼の隣で見続けている。
眠っているような彼の隣で。
最後の人の国を滅ぼして魔族の歓喜の雄叫びが響くと同時に
部屋に懐かしい、憎い顔が現れた。
「人間の少女よ、取引しないか?」
私は彼の手を握りながら、やはり無感情に奴を見返した。
私の長い悪夢の始まりのはなし。
主人公。
ただのモブ村人A。
ちょっと努力値が異常なだけのモブ。
軍団の中の能力値は普通だけどレベルだけは誰よりも上。そんな努力家。だが一兵卒だ。
何気に村では一番可愛い女の子だった。
幼なじみの勇者の為に色々頑張ってた。
軍団内では彼女の事が気になる男の人は何人かいたかもしれないが彼女は気づいていない。
というか心情関連についての鈍感ぷりは恋愛ゲームの主人公並みである。だがモブだ。
勇者。
パーフェクトボーイ。
ヘタレで恋愛初心者。
だが体の経験はある模様(主人公はない)。
十年ぐらい一緒にいた村一番可愛い女の子に尽くされて惚れない男はいるだろうか?
感情的になると詰めが甘くなったり
魔王。
愉快犯。
鬼畜。
作中ではかっこつけてるけど話し方は内藤
(例。うはwwwおkwwwwww)
貢献しすぎて頭おかしくなりそうになって書いてみた話。オチはないです。