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Afterschool Troopers  作者: STB
2/2

初めての仲間は、少女で、兵士で。

こんにちは。STBです。

第二話です。

今回は仲間が増えます。

それでは、お楽しみください。

アレクサン・アカデメイア。

民間軍事会社〈アレクサン社〉がイギリスの片田舎に設立した学校の名だ。

小学校、中学校、高等学校の3つが入ったこの学校の生徒は皆、学生でありアレクサン社の社員でもある。

何故ならここは、教養のある子供兵を育成することを目的として造られた学校だからだ。

かつて、各地の内戦では文字の読み方すら知らない子供が銃を持って戦っていた。

そんな状況を憂いた〈アレクサン社〉社長が、戦場で投降した子供たちに教育を与える場所を提供しようとしたのがこの学校の始まりとされている。



そんなアレクサン・アカデメイアの4階、生徒代表室で、三ノ月 日影は呆然としていた。

原因は目の前にいる少女、新崎 香奈の一言。

「……新崎先輩、今何と?」

「だからさ、今度新しく出来るUNITのリーダーを君にやってもらいたい、って言ったの」

UNIT。

それは〈アレクサン社〉の持つ陸、海、空軍のいずれにも所属せず、本社の〈軍事作戦運営委員会〉と呼ばれる重役会議の命令によって動く小規模の特殊任務部隊。

しかしそのリーダーは元特殊部隊員や情報機関員から選ばれるものだ。

少年兵上がりの日影には縁のない話なはず。

「いや、でも何でよりによって僕が!?」

「それがさ、本社の方に何となく君の推薦状出したら、奇跡的に通っちゃって。いやーびっくり」

「何で僕の許可なく推薦状なんて出したんですか! せめて一言言って下さいよ!」

何を今さら。

香奈がこういうことを平気でする人間だということは知っていたじゃないか。

しかし分かっていても、日影は抗議せずにはいられなかった。

「いやだってさ、この学校から一人適任者を推薦するよう言われたんだけどさ」

香奈が椅子から立ち上がり、日影の方へ歩み寄る。

「私がこの学校で話せる人って君一人じゃん? さすがに話したこともない人を推薦する気にもならなくて。だからまぁ、仕方なかったというか……」

もう何も言う気になれなかった。

こんなことは、もう何度目のことだろう。

そういえば、あの時もそうだった。

「2年前も、こんな感じでしたね。先輩のお父様が来たときに」

「……まだ根に持ってるの? あの時のこと」

香奈が日影の右腕に抱きつく。


2年前の冬のこと。

学校にやって来た香奈の父親は、彼女に将来の結婚相手のことを話しに来た。

だが、そんな相手を受け入れるわけがない香奈。

香奈は友人である日影を強引に父親の前に引っ張り出して「今付き合っている人だ」と言ったのだ。

当然、大変だったのはその後。

相手が少年兵だということに激怒した彼女の父親はロシア系PMCの暗殺部隊を雇って日影の殺害を依頼。

世界で5本の指に入る戦略家の香奈が尽力したことにもあって日影の暗殺は回避されたが、それ以来、香奈と日影は恋愛関係にあるということになっているのだ。


「もういいですよ。メキシコであの人の雇った殺し屋連中に追いかけられたのは嫌な思い出ですけど」

あれからもう2年続く二人の関係。

香奈の父親が手配したスパイがいつどこで見ているとも知れないので、定期的に二人で出掛けているのは事実だ。

「……って、そうじゃなくて。UNITのリーダーの件ですよ。どうするんですか」

「どうしようもない、かなぁ。とりあえずやってみてよ、リーダー」

香奈が日影の右腕から離れる。

言うは簡単。するは難し。

リーダーをやらされる日影としてはたまったものではない。

だが日影も観念したのか、

「リーダーは、何をすれば?」

「最初はメンバー集めだね。最低4人、最大で8人集めて欲しいかな」

日影は少々困った顔をする。

それもそのはず。

「集めろと言われても、僕には誘える友達なんかいませんよ」

「あー……。そうだった、恋人はいても友達がいない日影くんだからねぇ。どうしたものか」

「……嫌みですか、それは」



と、いうわけで。

日影の情報端末に、香奈からあるデータが送られた。

「なんですか、これ」

「本社から出してもらった特別行動許可。これからしばらくはメンバー集めのために、君は学校を休めるし、人材探しのために海外に行くことだって出来るよ」

アレクサン社のロゴマークと特別許可について書かれた数行の英文。

簡単なデータだが、これを持つ意味は大きい。

何より「メンバー集めのため」と言えば様々のな所を視察しやすい。

「じゃあ、後は頑張って。メンバーが集まったら教えてね」

「……善処します。一応」

そう言って、日影は生徒代表室を出た。


「さて、どこに行こうか」

突然海外というわけにもいかない。

まずは、手近な場所を当たってみるのが無難だろう。

思い当たる場所が、日影には一つあった。

「地下3階の射撃訓練所、かな」

この学校の生徒は皆、学生であり兵士だ。

射撃や戦闘訓練が可能な施設がこの学校の中にいくつか存在する。

その一つが、地下の射撃訓練所である。

今は放課後。誰かしら人がいるはずだ。

エレベーターを使い、日影は地下3階まで降りる。

この階にあるのは射撃訓練所のみ。

来るといつも硝煙の匂いが漂っているのも、この階の特徴と言える。

射撃訓練所の前には、訓練所教員が一人座っていた。

名前は忘れたが、確かアメリカ軍が存在した頃に空挺部隊にいた過去を持つ人だ。

「どうした? 射撃訓練をしに来たのか? 悪いが今日は予約が……」

「いや……そうじゃなくて。これを」

日影は情報端末に、先程の特別行動許可を表示した。

すると、教官が目を丸くして、

「おいおい、本当だったのか。今度のUNITリーダーを学生の中から出すってのは」

どうやら噂にはなっているようだ。

「だったらベストタイミングだったな。今から射撃訓練に来るのは一級品の兵士だ」

「一級品?」

「キリハ・ラーグニッツだよ。名前を聞いたことくらいあるだろ?」

日影は頭の中の引き出しを漁る。

そう、確か同じクラスの女子の名前だ。

「もしかして、1-D組のラーグニッツですか」

教官が首を縦に振る。

ラーグニッツといえば、3ヶ月前にアルバニアでテログループに拉致されたフランス大使救出作戦で有名になった少女。

共に作戦に参加したアルバニア警察特殊部隊員の話によれば、「一切の無駄な動きが無く、戦闘能力は我々以上」とのことだ。

「お前、UNITのメンバーを探しているんだろ? だったら2階で見ていくといい。彼女はもうすぐ来るはずだ」


教官に案内されて、日影は2階に上がった。

この射撃訓練所はただ目の前に出てくる的を撃つタイプのものではなく、イギリス軍特殊部隊SASがかつて使用していた〈キルハウス〉を元に造られている。

地下3階の3分の2に当たる部分をある屋内に見立て、近接戦闘も含めた建物突入作戦を想定した訓練が行えるタイプのものだ。

2階の椅子に座り3分ほど経っただろうか。

日影が階下に少女の姿を確認した。

整った黒髪を青いリボンで結びポニーテールにまとめ、その手には愛銃のSCARアサルトライフル。

銃の代わりに通学バックを持たせれば、所謂〈量産型女子高生〉の完成といったところか。

とにかく、銃さえ持っていなければ普通の高校生であり、警察特殊部隊員を唸らせるような者に見えないのは確かだ。

「それじゃー、始めてくださーい!」

軽快な声で、キリハが教官に訓練の開始を促す。

そして訓練開始を告げるブザー音がけたたましく鳴り響いた。

刹那、キリハが動き出す。

まずはドアを蹴り飛ばし突入。正面に現れた二体の的を撃つ。

そのまま、真横の標的も処理。

ここまでは予想通りだ。

次の部屋にも的が現れる。が、今度はテロリストを模した的の前に人質役の的が現れた。

これを撃つと大減点になる。

しかし的確にテロリストの目を撃ってキリハはまた次の部屋へ移動した。

「……すごい」

日影は息を飲む。

キリハの動きには全く無駄がなかった。

SCARを完全に自分の体と一体化し、自らも歩く兵器となって的を潰す。

これが、本当に洗練された兵士。

おそらくアレクサン社の訓練メニューだけではここまでにはなれない。

彼女の「古巣」が、キリハ・ラーグニッツという殺戮マシーンを作り出したのだろう。

まさに、理想の人材。


訓練終了のブザーが鳴った。

「また自己ベスト更新か。さすがだな、ラーグニッツ」

教官の賛辞に愛想笑いで返すキリハ。

今の彼女は兵士から少女の顔に戻っている。

同じクラスにいながら気づかなかったが、キリハの笑った顔は結構可愛い。

いや、そんなことは今どうでもよかった。

階下に降りて、日影は思いきってキリハに声をかける。

「あっ、あのっ! ラーグニッツ……さん」

名前を呼ばれて、キリハが振り向いた。

「あれ? 君は確か……」

「僕は……三ノ月 日影。えっと……」

「知っているよ! 同じクラスの三ノ月くんでしょ?」

意外だった。

一度も話したことがないのに、こちらの名前を知っているとは。

「三ノ月くん、今度UNITのリーダーになるんでしょ。それでメンバー集めのために見に来たって、さっき教官が」

「あー……うん。そうなんだ。それで……」

この兵士を逃すのは惜しい。

ダメ元でも誘ってみるべきだと、日影は確信する。

「その……僕が今度リーダーをやるUNITに、入って欲しいんだけど……」

日影は自分の足が若干震えているのを感じた。

当たり前だ。

香奈以外の女子と話したのは何ヵ月振りか、もはや覚えていないレベルなのだから。

「いや、その……駄目だったら別にいいんだけど」

「いいよ。別に」

いいよ。

その言葉が〈承諾〉を意味するものだと理解するのに日影は数秒を要した。

「おーい。三ノ月くん、聞いてる?」

固まっている日影の顔の前で、キリハが数回手を振る。

「あっ、ごっ、ごめん! こんなにあっさり了承してもらえるなんて思ってなかったから」

「いやいや、私も興味があるから。面白そうじゃん、UNITってさ」

「面白いかどうかは……分かんないけど」

「あと、私のことはキリハでいいよ。私も君のこと、日影くんって呼ぶから」

トントン拍子で話が進んでいく。

こんなに上手くいっていいのだろうか。

「私の他にメンバーはあと何人必要なの?」

「最低でも二人は必要かな。個人的には一人スナイパーとか欲しいんだけど」

「スナイパー……知り合いにいたかな?」

「いや、これから探せばいいんじゃないかな」

日影は気づいた。

なんだ。香奈以外とも話せてるじゃないか。

こういうのが、友達というものなのだろう。


こうして、早速メンバーが一人加わった。

名前はキリハ・ラーグニッツ。

笑うと可愛い、しかし優秀な兵士。

再びこんにちは。STBです。

今回はキリハのメイン装備、SCARアサルトライフルについて。

個人的には、本当に大好きな銃です。

CoD mw2でSCARに出会ってから一途に好きです。

いやー、SCARちゃん可愛い。欲しい。実銃が。


失礼。冗談はさておき。

最後にフラグとして出したように、次はスナイパーが出ます。

どんなスナイパーライフルを使わせるか、今から楽しみです。


それでは、読んでくださった皆様、ありがとうございました。

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