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女神
〜女神視点〜
白い空間に、再び静寂が戻った。
ルナリの姿は、もうない。
ひび割れていた世界も、何事もなかったかのように元に戻っている。
「……まったく」
女神は、誰もいないはずの空間で呟いた。
「本当に、君たちは似てるね」
彼女は指先を鳴らす。
白の中に、淡く光る糸のようなものが浮かび上がった。
二本。
絡み合い、何度も断ち切られ、また結ばれようとしている。
「今回は、ちょっと無理をしたかな」
笑顔は、いつも通り軽い。
けれど、その目はどこか遠くを見ていた。
「時を越えるなんて、本当は褒められた行為じゃないんだよ?」
糸の一本に、かすかな歪みが走る。
ほんの一瞬――見逃してしまうほどの違和感。
「まあ、いいか」
女神は肩をすくめ、いつもの調子に戻った。
「失敗したら、その時はその時だし」
そう言って、親指を立てる。
「今度こそ、ちゃんと選べるといいね」
誰に向けた言葉かは、分からない。
白い世界は、静かに閉じていった。




