オレンジの太陽と紅茶の天井
煮卵を買う夢を見た
親は私より早起き
作り置きの朝ごはんはいつもの光景
生姜焼きとカニカマのマヨネーズ和えだ
しょっぱい物はおいしい
「ごちそうさま」のあとは窓を見る
カーテンを開けると世界と繋がる気がするから
視界に広がるいつも通りの街並みを俯瞰する
ちいさな人がちょこちょこ働いていた
私も混ぜてよ
おばちゃんたちの井戸端会議
遠くにそびえる名前も知らない山から昇った
オレンジに染まるまあるい太陽
(おいしそう。
あの日見た期間限定のチョコのように……)
この景色はお気に入りだ
……あ
思い出したように
日めくりカレンダーをめくる
今日はバレンタインデー
特別な日
とはいえ
見つけなければやることが無い
プレゼントはもう渡した
ごろごろ~
ごろごろ~
していたら天井キラキラ輝いて紅茶色
波のように揺れていて泳ぎたくなった
手を伸ばす
シュッと伸びた影は
私の指より長くてキレイ
(影の世界では私は美しいんだろうな……)
なんて思いながら
紅茶色の天井を眺めてボーっとする
りらーっくす
りらーっくす
大きく息を吸ってみた
部屋から生姜焼きの匂いがする
(片付けなきゃな)
そう考えながら
天井が紅茶を飲み干すまで影あそび
ぜんぶ終わったらストロベリーティーを飲もう
ハッピーバレンタイン!
最後まで読んでくれてありがとうございます!