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79 二兎を得る気でいく

 冒険者ギルドなう。

「よーし、今日も依頼を受けよう!」

「折角4ランクの依頼を受けられるようになったんだから、4ランクの依頼を受けたいよねー」

「山への依頼が多いな。また乗せていってくれるか、リューラ」

「はい。お任せください。私はいつでもどこでもお姉様方の足になりますわ!」

「それじゃあ、えーっと。あ、依頼って同時に受けられるんだっけ。山への依頼が多いんだし。複数受ければお得かも!」

「そうか。では私がアーミットから聞いてこよう」

「オーケーマトバ。じゃあ私達で依頼選んどくー」

 マトバがアーミットのところへ行ったので、私達は依頼を吟味した。

「それにしても、人間は毎日こんなにお使いを頼まれて、大変ですのねえ」

「うん。でも私達もお仕事だからね。毎日依頼がないと生活が困っちゃうよ」

「あら、そうですわね。でしたら、こっちの依頼はどうですか?」

「あー、リューラ。残念ながら私達はまだ、7ランクの依頼は受けられないの」

「なるほど」


 おしゃべりしながら依頼を選び終えると、丁度マトバが戻ってきた。

「ただいま」

「おかえりー」

「同時依頼は受け付けているらしいが、それで依頼失敗した時は大きくポイントをマイナスするらしい。場合によっては、ランクをそれ以上上げない措置をとるそうだ」

「それは危ない!」

「昇格チャンスが消えるってまずいね」

「大丈夫ですわ。お姉様ならこのあたりの依頼などすぐに達成できます。なんなら私もいますし」

「ありがとうリューラ。でもリューラばっかり頼るわけにもいかないから、ここはできる範囲でやる!」

「どうする。やはり無難に1つずつ受けるか?」

 マトバがそう言うけど、でもそれでも私は、うなずくことができなかった。

 どうやら私の欲の皮はマトバよりつっぱっているらしい。

「でも折角リューラのおかげで移動が楽なんだから、依頼2つくらいやっておかない?」

「さんせー! それでお金2倍ゲットだー!」

 マイミも賛成してくれた。マトバもうなずく。

「うむ。ではリーダーに従おう。なら、頼む依頼は決めたか?」

「うん。まずはこれ」

 そう言って、私とマイミが同時に違う依頼を指し示した。

 マトバはうなずく。

「うむ。ちょうどそれで2つだな」

 こうして今日私達がこなす依頼が決まった。


「アーミットー、今日は2つ依頼こなしまーす!」

「ああ、おはようウタハ。でもその前に、リューラの冒険者カードができてるわ」

「はい。ありがとうございます」

「はい」

 あーミットがリューラの冒険者カードをくれる。なになに。

「おー、1ランクからだー」

「ドラゴンでも最低ランクからなんだね」

「一応きまりだからね。でも、依頼をこなしていけばすぐに高ランクになれるわ」

 マイミと私とアーミットが言う。

「まあ、ランクなど関係ありませんわ。私はお姉様方と一緒にいられればいいのですから」

「それで、リューラをパーティメンバーに加えるから、パーティカードを貸して。登録しておくわ」

「はーい!」

「お願いしまーす!」

 ちょっと待って、パーティカードも変更完了。

 待っている間に依頼の受理もしてもらった。

「今日の依頼はイノッシシの肉納品と、拳法ザルの討伐ね。4ランク依頼を2つ同時だけど、いいのね?」

「はい。もうリューラがいるから安心です!」

「日が暮れる前には終わらせてきますよ!」

「まずはチャレンジから始めたいと思う」

「そう。でも無茶はしないでね。冒険者家業、いついかなる時も慎重に。が大事なんだから」

「はい、憶えておきます!」

「でも期待して待っててね!」

「おそらくだが、このランクのモンスター相手でも平気だと思うんだ」

「お姉様方なら、これくらいの仕事すぐに片付けてしまいますわ!」

 ということで、今日も出発!

 私達は門を出てからドラゴンリューラに乗せてもらい、山を目指した。


 イノッシシと拳法ザルは山の中で見つかるらしい。

 というわけで、リューラに山の中腹まで飛んでもらった。

 そらをとぶって便利。

「たぶんこの近くにイノッシシと拳法ザルがいますわ。そんな感覚を感じます」

「さすがリューラ。ドラゴンならではの察知能力」

「だが右を行けばいいのか左を行けばいいのか、判断ができないな」

 リューラとマイミとマトバがそう言った時、丁度下の方からモンスター達の怒鳴り声が聞こえてきた。

「ブヒー!」

「ウキー!」

「あ、あっちから声がするよ。行ってみよう!」

「オッケー!」

「わかった!」

 私は皆をひきつれて山の中を駆ける。

 するとちょっと開けた場所に、大勢のイノッシシと拳法ザル達が戦っていた。

 彼らが争う場所の真ん中には、柿が実る木がある。

「ブヒー!」

「ウキー!」

「赤柿は俺のものだー! いや、俺が食うー! って言ってる!」

「さすがマイミ、通訳ナイス!」

「で、どうする。この乱戦にとびこむか?」

「お姉様方ならこの程度のモンスター軽くひねれますわ。臆することなどないでしょう」

 私、マトバ、リューラがそう言うけど、モンスター達が争っている中に入るのはちょっとなあ。

「じゃあ私いっちょ暴れてくる。マイミ無双だ!」

 と思ったけどマイミがやる気になった!

「マイミだけでは心配だ。私もいくぞ」

「マトバもいくの!」

「うん。ウタハは様子見?」

「う、うん。だって、モンスター達が先に争って疲れたところを狙うのが、一番なんじゃないかなあって」

「そんなことしてたら日が暮れちゃうよ。もうパッと倒してパパッと終わらせよう!」

「ウタハの言うこともわかるが、折角私達は日々の稽古のおかげで強くなったのだ。もっと思うがままに暴れていいと思う」

「そ、そっか」

 マイミとマトバの言う通りかもしれない。ちょっとやる気になってきたぞ。

「大丈夫ですわ、ウタハお姉様。お姉様方の命は私が守ります」

「リューラ、ありがとう。じゃあ、2人が行くなら私もいきますか!」

「よ、それでこそリーダー!」

「よし。それじゃあ、1、2の3!」

「いっけー!」

「うおーりゃー!」

「と言ったら走るぞ!」

「マトバー、走ってないのはお前だけだー!」

「続けー、この無双フィールドでキャバ嬢乱舞だー!」

 マイミは楽しそうに、マトバはマイペースに、私はちょっと緊張しながらもイノッシシと拳法ザルの戦いに加わった。

 すると、最初の不安が嘘のように、モンスター達を倒すことができた。

 本当に私達、リューラとの特訓で強くなっていたみたいだ。

「ブヒイイー!」

「ウギイイー!」

 そして後から現れる、大きなイノッシシと拳法ザル。

「お前達がボスかー!」

「折角だから、倒してやる!」

「それ、突撃!」

 そいつらもぽぽぽぽーんと倒す。

 息があがって立ち止まってみれば、あたりはすっかり倒れたモンスターでいっぱいになっていた。

「ブヒイイー」

「ウキイイー」

「よくぞ我らを倒したお前たち。その赤柿はお前たちのものだ。だって」

「そっか。こいつら、ほんの少しの食べ物を狙って争っていたんだね」

「戦いとは、寂しいものだな」

「じゃあ、遠慮なく赤柿をもらう前に」

「皆、キャバクランニングに遊びにきてね!」

「さすがお姉様方、今日も決まってますわ!」

「あ、リューラももう一緒のメンバーなんだから、やらなきゃダメだよ!」

「え、そうなのですか?」

「そうそう。折角リューラもきれいなんだし。一緒にやろ!」

「でないと寂しいからな。私達も」

「ええ、はい! では、私も加わりますわ!」

「それじゃあ、せーの!」

 改めて!

「皆、キャバクランニングに遊びにきてね!」

「ですわ!」

 予定通り依頼も達成。やっぱり私達、強くなってる!


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