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78 いざ山へ

 久しぶりに冒険者ギルドに来た。

「ここがお姉様方の昼の職場ですか」

「職場とは言い難いけどね。まあそうだよ」

「久しぶりに依頼かー。腕が鳴るね!」

「何か良い依頼はないものか」

 私達は掲示板を見た。

「☆3ランクに山の依頼があるよ」

「チーチーラの討伐だって。報酬は歩合制、倒しただけもらえるのかあ」

「新緑の刃にも山に行った方が良いって言われたし、一度受けてみるのはどうだ?」

「うん。賛成。というか折角だから、今ならどんな依頼もオーケーだよ。修行の成果が出る時だからね!」

「私はできるだけ楽なのが良いけどねー。そんでもって報酬が高いやつ」

「そんな依頼は滅多にない」

「山ですか。それなら私がお姉様方を乗せていきますわ」

「おー、ありがとうリューラ!」

「そういえばリューラはドラゴンだった!」

「助かる。やってもらえるか」

「はい。喜んで!」

 というわけで、私達はチーチーラ討伐の依頼書を受付に持っていった。

「アーミットー、久しぶりー!」

「あら、本当ね。キャバクランニングエンジェルス。仕事する気になったの?」

「はい。そう言われるともやもやしますが、まああってます」

「というか、今まで大変だったんですよ。ガリューの護衛依頼の詳しい話、聞きます?」

「ああ、まあね。その話は私も聞いてるわ。町にモンスターが出たからね。少しギルドでも騒がれたわ」

「ああ、知ってましたか」

「ええ。ガリューから依頼達成の報告を聞いた時に、あなた達の名前も出されたから、びっくりしたわ。で、それであなた達も、いろいろ依頼を達成したから、これからは4ランクの依頼も受けていいことにするわ」

「本当ですかー、ありがとうございまーす!」

「あ、あと新しい仲間です。こちらリューラ!」

「リューラは冒険者登録とか、いりますか?」

「そうね。それじゃあしてもらおうかしら。パーティでこれから活躍するなら、冒険者登録してもらった方が都合が良さそうだしね」

 アーミットはうなずいた。私はリューラを見る。

「というわけで、リューラ。ちゃちゃっと冒険者登録しちゃって」

「わかりましたわ」

「ではこの紙に名前と戦闘職を書いて。それからパーティ加入手続きはこっちの用紙ね」

「はい。職業、ドラゴンと」

 リューラはサラサラ必要事項を記入した。

「まさか、ドラゴンが冒険者登録するとは。ちょっと待っててね。というか、無事作れたら明日カードを渡すわ。パーティカードの変更はそれからね」

「はーい、わかりましたー」

「それじゃあ次に、討伐依頼を確認してくださーい」

「はい。チーチーラの討伐ね。気をつけて」

「うむ。では行ってくる」

 私達は諸々の手続きを終え、冒険者ギルドを出た。

「さあ、お姉様方。それではまいりますわよ!」

 リューラはそう言って、ギルドの前でドラゴンの姿になる。

「わあ、リューラ、こんなところでドラゴンになっちゃダメー!」

「そうなのですか?」

「そうだよ、皆驚いてるよー!」

 私とマイミがたしなめる。事実通行人は皆、立ち止まってリューラを見ていた。

「ではまた人の姿に戻りますわ」

「いや、それではリューラに手間をかけさせるだけだ。今回は今この場で背に乗せてもらおう」

「オーケー。でも次からは流石に町の外でね!」

「わかりましたわ!」

「それじゃあ、リューラ、お願い!」

 マトバ、マイミ、リューラ、私が言い、そそくさとリューラドラゴンの背に乗せてもらう。

「それじゃあ、行きますわ!」

 そしてリューラが羽ばたき、私達は空を飛んだ。

「おー、すげー!」

「本当だね!」

「2人共、あやまって落ちるなよ!」

「大丈夫ですわ、しっかりつかまっていてください、お姉様方!」

 ある程度の上昇を終えたリューラは、ピューンと山へとひとっとびした。

 そらをとぶが使えるって、便利だ。


「チーチーラなら、おそらくこの辺りですわ」

 リューラが山の麓で着陸する。

「ありがとうリューラ!」

「おかげで凄い移動が楽だったよ!」

「リューラ、ありがとう」

「うふふ。お姉様方にお礼を言われるとうれしいですわ。では、お礼は鞭打ちということで」

「それは折角だから夕方にとっておこうか」

「今はチーチーラを探して倒そう!」

「早速探すぞ。やはり山の中にいるのだろうな」

 私達は山に向かって歩いていく。

 すると山に入ってすぐに、小さい生き物が目の前に現れた。

「チー?」

 そいつは首をかしげる。

「か、かわいい!」

「ちっこい、抱きしめたい!」

「むう。愛らしいな」

 私達は思わず油断してしまう。

「お姉様方、ご注意を。それがチーチーラですわ」

「え、こんな可愛い子がモンスター?」

「た、倒せないよこんな子を!」

「それでは、接客バトルで相手するしかないか?」

「気をつけてください。お姉様方。そいつらは可愛いふりをして近づいて」

 リューラが話している最中に、四方からいっぱいチーチーラが現れて、とことこ近づいてきた。

「い、いっぱいいる!」

「超かわいい!」

「待て。囲まれたら、危険じゃないか?」

 マトバがそう言った時。

「チー!」

 チーチーラの一匹が、マトバの胸にとびついた!

「な、なんだこいつは。急に胸を、きゃー!」

「チー!」

「チー!」

 そして他のチーチーラもとびついてきて、私とマイミの胸をもみしだいた!

「きゃー!」

「何こいつらー!」

「いけません、お姉様。そいつらは遭遇した者のおっぱいをふよんふよんする変態モンスターなのです!」

 リューラはそう言って、自分にとびついてきたチーチーラを片手ではらいのけた。

「乳めがけてとびつくやつら。名付けて、チーチーラなのですわ!」

「なんと、最初からこいつら体目当て!」

「むむう、そう言われると許せない!」

「やっぱり鞭を使うしかないか!」

「マイミ、マトバ。今こそ稽古の成果を出すよ!」

「オッケー!」

「最初の相手が小動物なのは心苦しいが、許せ!」

 ビシーンバシーンピシャーン!

 チーチーラ達は私達の鞭にやられて、すかさずダウン!

「チー!」

「チー!」

「よーし、この調子で」

「あ、こいつら今度はちゃんとおそってきた。モンスター的な感じで!」

「これなら心置きなく倒せる!」

 ビシーンバシーンピシャーン!

 私達は一匹残らずチーチーラを倒した。

「さすがお姉様方。それでこそですわ!」


「チー」

「チチー」

 チーチーラ達は皆満身創痍となり、へたりこんでいる。

「よし。勝った!」

「お前たち。私達は討伐が目的だったから、ドロップアイテムを置いて、どこか別の場所に移住するんだよ」

「命までは取らない。それが私達のやり方だからな」

「チチー」

「最後におっぱいもんでいい? って言われても、ダメ」

「マイミのモンスター通訳が今日も発揮されている」

「ああでも、キャバクランニングに来てもらうのはありなんじゃないか?」

「賛成!」

「それじゃあいつものあれ、やりますか!」

「皆、キャバクランニングに遊びに来てね!」

「チー!」

「チーチー!」

 チーチーラは私達の宣伝を聞くと、元気になって町へと向かった。

 これでキャバクランニングも繁盛するだろう。

「ではお姉様方。帰りも私が送ってさしあげますわ」

「うん。お願い。でも、流石に今回は門の外で降りてね」

「ええ。心得ました」

 こうしてリューラという名のタクシーが仲間になって、私達の仕事は一段と楽になったのだった。


 その後のキャバクランニングにて。

「ちょっと、ウタハ、マイミ、マトバ。あなた達チーチーラをつれてきたでしょう。チーチーラはキャバ嬢のおっぱいをもむから要注意客なんだから!」

「ひえー、ごめんなさーい!」

 どうやら今回は、おこづかいは期待できそうになかった。


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