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74 リューラの妹宣言

「ふう。やっと快感が引いていくわ」

 リューラはようやく我に返ったようだ。

「キャバクランニングエンジェルス。まだ名前を聞いていなかったわね。あなた達、お名前は?」

「私はウタハです!」

「私はマイミ!」

「私はマトバだ」

「そう。ウタハお姉様に、マイミお姉様に、マトバお姉様ね」

「え?」

「ん?」

「む?」

 なんか、リューラの発言は間違っているような?

「あの、リューラ。何か間違ってない?」

「私達は別にガリューに手を出されてたりとかはないよ」

「当たり前よ。そんなことしてたら私が不倫お父様なんて地獄に突き落としてやるわ!」

 なんかリューラが憤慨した。

「というわけで、今日からお姉様方は私のお姉様よ。これから毎日私をその素敵な鞭で打ってちょうだい」

「いや、それは嫌!」

「リューラ、どうしたの、あなたドラゴンでしょ!」

「どうか冷静になってください!」

「私は冷静よ。そして遂に気持ち良い鞭打ちを見つけた。私は今日から愛のムチを一心に受け続けるの!」

「それたぶん愛の鞭じゃない!」

 だって私達、さっき愛情なんてこめなかったし!

 必死だったから、本気しかこめなかったし!

「私が見つけた愛なんだから私だけがヘブンできればいいの。大丈夫、私もお姉様達をちゃんと愛すわ。こっちは純愛的な意味で」

「それはそれで嫌!」

「私達ノーマルなんで!」

「どこか別の人とお付き合いください」

「鞭なんて扱う生き物はそんなにいないわ。一応言っておくけど、絶対に逃さないから」

 ひいい。はた迷惑、いや、ドラゴン迷惑だあ。

「まさかこの子、Mだとは」

「ううー、ドラゴンなめてたあ」

「やはりガリューの娘か。普通な感じではなかった」

「あーそれともー。お姉様方が私に鞭打ってくれないならあ、私は二番目のお母様の護衛やめちゃおっかなあー」

「そ、それは困る!」

「おのれえ、人質とは卑怯なー!」

「それはそれ、これはこれで頼む」

「じゃあ、今日から朝晩2回、私に鞭打ってね。お姉様方?」

 リューラはそう言って、とっても良い笑顔を見せた。

「私達、もう帰っていいかな」

 シュミリーさんがそう言ったところで、皆がぞろぞろガリューのもとへ向かった。


「話はわかった。妻を襲った連中は根絶やしにする。俺はこれからちょっとでかけてくる」

 どうやら先輩の話も丁度終わったようだった。

「その前にガリュー、リューラをなんとかして!」

「リューラはドMだったの。私達に鞭で叩かれないと先輩の護衛をやらないって言い出したの!」

 マイミと私がそうチクる。

「なに、リューラ、ダメじゃないか。性癖はともかく、俺の妻を守ってくれ」

「ですから、ウタハお姉様と、マイミお姉様と、マトバお姉様が毎日鞭で叩いてくれたら、なんでもしますわ」

「ん? 今なんでもするって言ったよね?」

「はい。この身にできることなら」

「というわけだ。ウタハ、マイミ、マトバ。これからリューラをよろしく頼む」

「お前は人としておかしい!」

「そうだ、ドラゴンとしてもきっと間違ってる!」

「いいのか、実の娘が鞭に打たれたがっていたら、止めるだろう普通」

「俺達は腐ってもドラゴンだ。そんな程度の攻撃では微塵も揺るがん。だから平気だ」

「でもここに平気じゃない目をしたドラゴンがいます!」

「ていうか私達にそういう趣味ないです!」

「頼むから止めてください」

「ウタハ、マイミ、マトバ」

 ガリューはそう言って、左手を私の肩においた。

「リューラは頼もしい味方になる。頼む、この通りだ。妻のためと思って協力してくれ」

「えい、えい」

 私は腹いせにガリューの右腕を指でつついた。

「痛い、痛い」

「あー、私もやるー」

「お前らふざけんなよ、流石に怒るぞ!」

「あなた、ここで乱暴したら承知しませんよ!」

「はい、ごめんなさい」

 どうやらここで一番強いのは先輩のようである。

「わかった。ではこれでどうだ。報酬をはずむ」

「わーい、ありがとうございまーす!」

「ちょっと待ったマイミ、だからってこれから一生リューラを鞭で打ち続けるのはおかしい!」

「そうだぞ。レディーに対する仕打ちじゃない」

「あーそっかー。でもお金、うーん」

「マイミ、悩まないで」

「お金が欲しいなら、私からも差し上げますわよ。確か、ドラゴンの鱗が高値で売れるのでしたわよね?」

 リューラがそんなことを言い出した。

「ダメ、鞭で叩いてほしいからお金出すなんて、絶対ダメ!」

「そうだぞ、リューラ。そんなことを言い出したらもう鞭打ちしないからな」

「そ、それは困ります、マトバお姉様!」

「そしてリューラにお姉様呼ばわりされたくもない」

 確かにそうだが、マトバ、ナイス!

「では、どうすればまた三人に鞭打ちしてもらえますの?」

「それなら、毎日リューラと稽古をすればいいんじゃないかしら?」

 ここで先輩が、そう提案した!

「実践稽古なら、鞭で打っちゃっても仕方ないでしょ?」

「うーん。たしかにそれならまあ」

「致し方ないかなあ」

「抵抗はあるが」

「では決まりですわね、お姉様方!」

 はあ。このドラゴン達、押しが強い。グイグイくる。

「では今晩も鞭打ち、お願いします、お姉様方!」

「鞭打ちではない。稽古だ」

「あ、ならウタハ、マイミ、マトバ。まだこの屋敷に泊まらない?」

「いいんですか先輩?」

「ええ。今日から皆いなくなったら寂しくなるし。残ってくれるならありがたいわ」

「それが良いですわお姉様方!」

「でも私は、そろそろ家に帰らないとお父さん達心配すると思うから」

「私のところもきっとそうだ」

「私はいいですよ、1人だし!」

「あら、じゃあマイミ。これからもよろしくね!」

「はい、こちらこそタダメシをありがとうございます、先輩!」

「ひとまず、ガリュー。報酬をください」

 シュミリーさんがそう本題に入る。

「ああ。日給換算だったな。襲撃があって護衛にも成功したから、特別手当もだそう」

「わーい!」

 こうして、先輩の護衛は終わり、同時にリューラという新ドラゴンが現れた。

 なんか朝晩の稽古も追加したけど、これも先輩のためになるなら、仕方ない。

「鞭打ちのため、お姉様方のため、ついでに私の未来の妹のために、二番目のお母様の護衛、しっかりつとめてみせますわ!」

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