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6 防具も揃える

「武器の次は防具ね」

 ようやく立ち上がれるようになったところで、マトバがそう言った。

「そうだね」

「防具かあ。かっこいい鎧とか着るべきかな」

「ひとまず、行って見てみましょう」

 私達はうなずいて、なんとか歩きながら防具屋へ向かった。


 防具屋のおじさんも、筋肉すごくてたくましい感じだった。

「いらっしゃい。嬢ちゃん達、防具が欲しいのかい?」

「はい。丈夫な鎧をください。お値段控えめで」

「私達今、あんまり手持ちないんで。手頃な防具ありますか?」

「まず、安いやつから見せてください」

「あいよ!」

 すると防具屋のおじさんは、すぐに私達用の装備を見せてくれた。だけど。

「お値段手頃となると、これくらいかな。価格は保証するぜ!」

 そう行って防具屋のおじさんが見せてくれたものは、全然鎧じゃなかった。

「なんですか、これ」

「踊り子の服と、ブルマーだ!」

 防具屋のおじさんは自信満々だけど、私はちょっと引いてる感じ。

 踊り子の服は、なんとなく知ってる。おっぱいとお股しか隠してないような、見せるブラ&パンティー装備だ。

 けどブルマーっていうのは、知らなかった。一見布っぽいんだけど、腕や足を隠してない。特に足。これはもうほぼパンティーだ。

「おじさん、これ鎧じゃないよー」

 マイミもそう声をもらす。

「おじさんじゃない、お兄さんだ。鎧は値がはるんだ。革鎧でもな。その分こっちは安いぞ。それに追加効果もある」

「どんな効果ですか?」

 マトバが真面目に聞いた。私はちょっと聞きたくない。

「踊り子の服は回避能力上昇だな。そしてこっちのブルマーは、怪我しにくくなる。といっても、防御効果は見ての通りだがな。しかし追加効果は馬鹿にできないぞ。これらは男には装備できないし、どうだ、買わないか?」

 と、言われても、正直、お店のキャバ嬢服より際どい防具なんて、着られるわけ。

「じゃあ買った!」

 ないと思ったんだけどー!

「ちょっとマイミ、これ買うの!」

「うん。私踊り子の服買うー。だってこれ着れば攻撃なんて回避できるんでしょ。怪我しないなら便利じゃん」

「あ、あっけらかんとしすぎな気がする」

「ウタハは気後れしすぎ。それにこれ着て客引きもするんだから、そっちの効果もありでしょ。決まり!」

「い、良いのかなあ?」

「おじさーん。踊り子の服一つくださーい」

「おじさんじゃない、お兄さんだ。まいどあり。ここで装備していくかい?」

「はい!」

 ああーっ、マイミがぱぱっと踊り子の服を装備しちゃったー!

「それでは私は、ブルマーを買う」

「えっ、マトバもこれ買うの!」

「ええ。怪我しにくいって、結構良い効果だと思うの。それにこれ着て歩いたら、客引きに使えるかもしれないし。マイミの意見も取り入れるわ」

「なんと」

 すごい度胸だ、マトバ!

「それに踊り子二人が歩いてるのもちょっと周囲から浮く気がするし、私はこれで良いわ」

「いや、ブルマーも十分際どいと思う」

「それとも、三人で一緒に踊り子の服着る?」

 マトバに真正面からそう問われる。

「いや、私は絶対嫌!」

「そんなに拒否らなくてもいいと思うんだけどなあ」

「というわけで、私はブルマーを買います。おじさん」

「おじさんじゃなくてお兄さんだ。まいどあり」

 これであっという間に、マイミが踊り子、マトバがブルマー姿になってしまった。

「ウタハはどうする? 私と同じブルマーを着るか?」

「私と踊り子服おそろでもいいよー?」

「駄目。どっちも買わない!」

 私は全力で防具屋のおじさんを見た。

「おじさん、もっと良い防具見せてください。おこづかいは、二人よりも持ってるんです!」

 私だけ初心者の鞭を買ったから、この言葉は嘘ではない!

「おじさんじゃない、お兄さんだ。しかし、嬢ちゃんはこいつらじゃお気に召さないかい。となると、これらよりも三倍くらい値がはるが、こいつはどうかな?」

 そう言うとおじさんは、ピンク色の服と緑色の服を持ってきた。

 どちらも同じデザインだけど、なんだかかわいい!

「これはセーラーン服といってな。生半可な革鎧よりも丈夫なんだ。色は他に白や黒もあるけど、好きな色を選べるぞ。豊富なカラーバリエーションがこいつの持ち味なんだ」

「ピンク色のセーラーン服をください!」

「お、まいどあり。ここで装備していくかい?」

「はい!」

 私はお店の着替え室を借りて、皆と一緒にお着替え完了した。

「おまたせー!」

「おー待った待ったー。ウタハ、似合ってるよ!」

「その防具もかわいい。これならいける」

「うん。ちょっとスカートの丈が短い気がするけど、跳んだり跳ねたりしなければ大丈夫!」

「おー本当かー? じゃあいっちょジャンプしてみろよー」

「マイミ、発言がヤンキーだよ?」

「よし。三人とも新しい戦闘力を得たし、それではそろそろ仕事に戻ろう!」

「おー!」

 三人で拳を振り上げる。ふふ、よし。それじゃあ今日もお仕事、はりきってがんばろー!

「ああ、嬢ちゃん達。ところで仕事を受けてくれないかい?」

 と、ここで防具屋のおじさんに言われた。

「なんでしょうおじさん」

「おじさんじゃなくてお兄さんだ。今丁度ふわふわ羊の毛が入用なんだ。3アイテム分でいいよ。とってきてくれないかい?」

 ここでまさかのおつかいクエスト。どうしよう?

「どうする、マイミ、マトバ、引き受ける?」

 私は皆の意見を訊く。でもマイミはすぐ防具屋のおじさんに親指を見せた。

「もちろん取ってきてもいーよ。でもそのかわり、今夜キャバクランニングに遊びにきてね!」

「え、キャバクラッシュ? ああ、嬢ちゃん達キャバ嬢だったのか。なんだ、新米冒険者と勘違いしたよ」

 防具屋のおじさんはそう言うと、感心するようにうなずいた。

「わかった。今日中に持ってきてくれたら、今夜お店に行こう。報酬はそれでいいんだね?」

「はい!」

「オッケー!」

「それでよろしくお願いします!」

 私達は即座にうなずいた。やっぱりお客ゲットのチャンスは、逃せない!

「じゃ、よろしく。でも、キャバ嬢って防具必要だったか? いや、嬢ちゃん達の装備ならキャバクラでも通用するか」

「やっぱりこれ、そういう装備なんですか!」

 私は思わずそう口にする。

「いや、趣味と実利を求めたハイセンスな防具達だ」

 防具屋のおじさんはそう言った。

「ハイセンス、つまり、私にぴったりの装備というわけね!」

「マイミ、反応するべき場所が違う!」

「まあ、鎧よりゴツゴツしてないから良いと思う。ウタハ、マイミ、行こう」

「うん!」

「オッケー!」

 マトバはマイペースなところあるなあ。ブルマーを着るだけのことはある。

「それじゃあおじさん、いってきまーす!」

「まーす!」

「いってきます!」

「おお、気をつけろよ。それと、俺はおじさんじゃなくてお兄さんだ!」

 こうして私達は、ふわふわ羊を求めて町を出ることにした。


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