58 町に帰ってくる
「コーン少年、コーン少女。ムカムカデの退治終わったよー!」
「本当死ぬかと思った。だから追加報酬もちょうだい!」
「それと、また同じことをやれと言われても、できないからな」
「ああ。ムカムカデの気配が消えたのはわかった!」
「それに、オオムカムカデやウラムカムカデの気配もね」
「これなら当分コンコンコーンを狙うモンスターは現れないだろう」
「私達を助けてくれてありがとう。約束通り、コンコンコーンを渡すわ」
「わーい、ありがとー!」
「それだけー、他にはなんかなーいー?」
「こら、マイミ。失礼だぞ」
「わかってる。今回は予想以上の成果だった。だから、更にいつでもコンコンスープを飲める権利もやろう」
「これは特別大サービスよ。ありがたく思いなさい」
「え、本当ですか、ありがとうございまーす!」
「えー。スープかあ」
「こら、マイミ。コーン少年、コーン少女。感謝する」
「ああ。それじゃあ、にんじん少年とにんじん少女にもよろしくな!」
「あなた達は良い人間として、憶えておくわ」
こうして私達は、コンコンコーンを手に入れて、ギルドからの依頼を無事クリアした。
ギルドに戻って依頼達成の報告をする。
「ギルドからの依頼終わりましたー。これがコンコンコーンでーす」
「あら、ありがとう。こんなにもらってきたの? 凄いわね」
「ええ。なんてったって私達、大活躍でしたから!」
「そう。ならこれで、あなた達のペナルティーは終わりよ。依頼の達成度も大きいから、報酬は多めにあげるわね」
「わーい、やったー!」
「あと、ムカムカデ等のドロップアイテムの買い取りを頼みたい」
「ええ。いいわ。素材の買い取りは向こうの素材屋でやってるから、そっちに行ってちょうだい」
「わーい、やったー。今ちょうどムカムカデ達を倒しまくって、素材がありすぎてたから、全部売れるか不安だったんだよねー!」
「へえ、そんなに倒したんだ」
「はい。もう死ぬかと思いました!」
「それだけ大変だったってことね。頑張ったわね」
「はい!」
「それじゃあ次からは、普通に依頼を受け付けるわ。あなた達、頑張ってね!」
「はい!」
受付嬢にはそう言われたけど、あいにくと今は、町までの護衛依頼がなかった。他の町への護衛はあるんだけど。
「んー、どうしよう。マイミ、マトバ。このまま普通に帰っちゃう?」
「そうね。アンミ先輩に報告に行きたいし、もう帰っちゃうのもありかもね」
「なら、明日出発するか。今日はもうベッドで休もう」
「さんせーい!」
「フレッシュエアのごはんを、食べ収めるとするか!」
私達はムカムカデのドロップアイテムを売り払って大金を得た後、泊まっている宿でのびのび休み、明日に備えた。
そして朝。朝ごはんを美味しく食べて、お弁当も作ってもらってから、出発!
「皆。フレッシュエアにまた来てね!」
「うん。マリナも元気でねー!」
後はずっと走って町を目指す。幸い一度通った道だし、現れるモンスターの強さもわかってる。だから特に苦労もなかった。
夜。私達は慣れた調子でテントを張り、夜ご飯にコーン少年少女からいただいたコンコンスープを飲む。
「わあ、このスープ美味しい!」
「体にしみるー、生きてて良かったー」
「想像以上に良いものをもらったな」
見張りを交代しながら寝たけど、ぐっすり眠れた。
そして、走っているから行き以上の進み具合を見せて、今日中には町につくかも。と思った時。
「あ、そうだ。折角だからにんじん少年少女に挨拶してこようよ」
「あー、そういえば近くを通るね」
「にんじん少年少女のおかげでコーン少年少女の警戒心がとれたところもあるからな。一度礼を言ってもいいかもしれない」
「でも、ただ礼を言うのもあれじゃない? 何かお土産がないと喜んでくれないよ」
「そんな現金な。でも、たしかにそうかも」
「ではやはり、一度町に戻るべきだな」
ということで、一度町に戻り、にんじん少年少女に会いにいくのはその後ということにした。
まずは、キャバクランニングで報告する。
「アンミ先輩。隣町のキャバクランニングでお悩み案件を無事解決してきました!」
「おお、ありがとー。三人とも、よくやってくれたわ。それじゃあ、おこづかいをあげるわね」
「わーい!」
チャリーン。私達はおこづかいを得た!
「ありがとうございまーす!」
「うん。ではこれからも、客引きをよろしくね」
「はい!」
そうしてキャバクラッシュを去った後、私達はにんじん少年少女へのお土産を買って、翌日にんじん少年少女の元を訪れた。
「にんじん少年、にんじん少女ー」
「会いに来てあげたよー。お土産持ってきたよー!」
「調子はどうだー?」
「あ、ウタハ、マイミ、マトバ!」
「今日はどうしたの、お土産ちょうだーい!」
「はい!」
私達はにんじん少年少女に、にんじんの種や肥料を渡す。
「ありがとう、助かるよ!」
「これでにんじん畑を更に広げられるわ!」
「あとこれも、お土産よ」
「お土産というか、コンコンスープ!」
「コーン少年少女と会った時に、にんじん少年少女のことが役に立ったんだ。良かったら飲んでくれ」
「わあ、コーン少年少女の手作りだ!」
「いただきまーす!」
私達もコンコンスープを飲む。
うん。とっても美味しい!
「うん、美味しい!」
「さすがコーン少年少女。なかなか良い仕事してるわね!」
「あいつらは元気だったか?」
「うん。私達のおかげで元気になったよ!」
「本当大変だったんだから」
「コーン少年少女も、また結構な難題を出してきてな」
私達はにんじん少年少女に、コーン少年少女からのお願いの顛末を話した。
「へえー、コーン少年少女、うまいことやったなあ」
「ねえ、ウタハ、マイミ、マトバ。お願い。私達の畑の周りのモンスターも、全部倒して?」
「いや、それは嫌だ。ごめん」
「正直、もうあんな地獄は見たくない」
「少しくらいなら力になれるが、口笛鳥はもう二度と使いたくない」
「なあんだ、残念」
「でも、少しくらいならやってくれるんだ?」
「うん。折角来たから、任せて!」
「そのかわり、おこづかいを要求する」
「こら、マイミ、現金すぎるぞ。だが、たしかに何かあった方がやる気が出るな」
「じゃあ、またキャロキャロットを分けてやるよ!」
「ちょっとだけね!」
「よし。それじゃあやりますか!」
「ありがとう!」
「私達はここで応援してるわね!」
その後、私達は日暮れまでモンスターを探して倒してから、にんじん少年少女と別れて町に帰った。
にんじん少年少女もしばらくぶりだったけど、元気そうで良かった。




