57 ムカデ掃討
ちゃんと口笛鳥を買って、またコンコンコーンの近くまで来る。
口笛鳥は鳥の人形で、頭にスイッチがあった。
「これを使えば、ムカムカデを簡単に倒せるんだね」
「早速使ってみよー!」
「正確には、おびき寄せるだけだがな」
いざ口笛鳥のスイッチ、オン!
すると。
ピー、ピー、ピー!
口笛鳥から甲高い音がなり始めた。
「これでよし!」
「さあ、どこからでもかかってこい!」
「ムカムカデ、覚悟!」
私、マイミ、マトバがそう言って、身構えていると。
ゴゴゴゴゴ。
なんか地響きと共に、四方八方から大勢のムカムカデが現れた!
「ひいいー、ちょっと来すぎー!」
「なんでこんなに来るのー!」
「うろたえるな、こうなってしまっては仕方がない。なんとしても生き残るぞ!」
「うん!」
私達は背中合わせになり、ムカムカデを迎え撃った。
そしてがむしゃらにムカムカデ達を倒す!
「てやあ!」
ビシーンバシーン!
「うりゃあ!」
ビシーンバシーン!
「せい!」
ビシーンバシーン!
幸い、私達はもう弱くはない。たくさんのムカムカデに囲まれても、なんとか戦えた。
予備として持っていた回復薬なんかも使い、ひたすら戦い続ける。
「ムカーデー!」
「ムカー!」
ビシーンバシーン!
「えーい、たおれろー!」
「昇天しろー!」
「こんなところでは死ねない!」
ビシーンバシーン!
死力を尽くして、一体、また一体とムカムカデ達を倒していく。
すると、なんとかムカムカデの数は減っていき、気がつくと残りは数える程になっていた。
「よし。もう少しで倒し終える!」
「もう何十体倒したかわからないけど、これで終わる!」
「よし、ふたりとも、もう少しだ!」
私達は最後の追い上げとばかりに、勢いよく鞭を振る。
ビシーンバシーン!
「ムカー」
そして、とうとう最後のムカムカデを倒し終えた!
「よし、なんとかなった!」
「やった、私達生きてる!」
「ふう、生きた心地がしなかったな」
私達がそう言って、ほっと一息いれた時。
「オオムカーデー」
なんと、この場に更に一体、とてつもなく大きなムカムカデが現れた。
「ひいー、大きいの出たー!」
「ボスだー!」
「こいつはオオムカムカデだ。この一帯のボスに違いない!」
「オオムカーデー!」
「くう、こいつも倒すしかないか!」
「ウタハ、マトバ、一気にけりをつけるよ!」
「ああ。息を合わせるぞ!」
「了解、必殺!」
「ウェルカムトゥヘブン!」
私達は全力で必殺技をくりだす!
ビシーンバシーンピシャーン!
「オオムカーデー」
「く、まだ倒れない!」
「でも、ダメージは効いてるよ!」
「このままとどめを刺すぞ!」
「オオムカーデー!」
私達はオオムカムカデの攻撃を耐えしのぎながら、攻撃を繰り返した。
そして。
「必殺、ウェルカムトゥヘブン!」
「オオムカーデー!」
どしーん。やった、とうとうオオムカムカデが力尽きた!
「やったー、勝てたー!」
「あー、生きた心地がしなかったー」
「だが、これで依頼達成だ」
私、マイミ、マトバが言った、その時。
「ウラムカーデー」
今度は黒いオーラをまとったムカムカデが現れた。
「ひいー、また現れたー!」
「しかも今回の、なんかやばそうじゃない?」
「こいつはきっとウラムカムカデ。このあたりの裏ボスだ!」
「ウラムカーデー!」
「きゃあ!」
「ひゃあ!」
「うう!」
「あ、攻撃されたけど、なんともない!」
「きっと、死霊騎士の加護が発動したんだ!」
「それじゃあ今度はこっちの番だ。一気にいくぞ!」
「ウェルカムトゥヘブン!」
ビシーンバシーンピシャーン!
私達は力の限り攻撃したけど、でもウラムカムカデはびくともしない!
「駄目だ、全然効いてない!」
「きっとレベル差がありすぎるんだ!」
「く、鞭が効かないなら、どうする!」
「逃げたいけど、逃げられそうにない!」
「うわあ、万事休す!」
「こんな時、どうすれば!」
「慌てるな。君たち。君たちには、まだキャバ嬢としての力が残っている!」
なんと、ここにシェイドさんが現れた!
「シェイドさん、来てくれたんですね!」
「わかりました、シェイドさん。ここは、接客バトルで切り抜けます!」
「全力で相手を昇天させます!」
「うん、その意気だ。君たちのキャバ力で、ウラムカムカデを倒すんだ!」
「えい、誘惑攻撃!」
「おしゃべり攻撃!」
「ドリンク攻撃!」
「ウラムカー!」
「やった、効いてる!」
「このままおすわよ!」
「勝ってみせる!」
私達はその後も接客バトルをおこなった。そして。
「ニューチャームスマイル!」
「ファインフォルテッシモ!」
「清楚トレビアンヌ!」
「ウラムカデー!」
「ああ、ウラムカムカデが口に光をため始めた!」
「きっと殺人光線を放つ前触れだ!」
「く、ここまでなのか!」
「いや、よくやった。キャバクランニングエンジェルス。後は私に任せなさい」
シェイドさんはそう言うと、外套を脱ぎ捨てて前に出た!
その姿は、飛び抜けて美しき妖精のごときキャバ嬢!
「とっておき、シェイドダークネスイリュージョン!」
「ウラムカーデー!」
これで、ウラムカムカデは倒れた!
「やったー!」
「それじゃあ、私はこれで失礼する」
「ありがとうございました、シェイドさん!」
「私達、この恩は決して忘れません!」
「お詫びに、牛丼の割引券を今度お渡しします!」
「うん。ありがと」
シェイドさんは外套をひろうと、いつものごとく闇に紛れ消え去った。
「ムカー」
そしてウラムカムカデは昇天して、天に昇っていく。
この時私達は、ムカデの加護を手に入れたのだった。




