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56 コンコンコーン

 コンコンコーン。

 それは、この隣町の近くで取れる戦闘食料らしい。

 私達はそれを求め、町を出て北側の道を走った。

「コンコンコーンかあ。一応コーンらしいけど」

「聞いた話だと、町からちょっと離れたところで取れるとか」

「すぐに見つかればいいんだがな」

 そう話しながら進むと、やがてコーンが実っているのを見つけることができた。

「おお、これがきっとコンコンコーンだ」

「やったね、すぐに見つけられた!」

「いくつか実っていることだし、これらを手に入れて依頼達成だな」

「まてーい!」

「まちなさーい!」

 どこからともなく子供の声が聞こえてきて、私達の前に黄色い髪の少年少女が現れた。

「はい、待ちます!」

「なんかこの展開に憶えがあるし!」

「まあ、ギルドが選んだ依頼だしな。簡単にはいかないだろうとは思っていた」

「俺の名はコーン少年!」

「私はコーン少女!」

「二人はコーンの妖精!」

 どーん! コーン少年少女は二人してポーズをとった。

「初めまして、コーン少年、コーン少女」

「あなた達が何を言いたいかはなんとなくわかるわ」

「コンコンコーンを取ってはいけないと言うのだろう」

「ああそうだ!」

「話が早くて助かるわ!」

「コンコンコーンは俺たちの家族同然!」

「一粒たりともあげはしない!」

 やっぱり、この展開は前にもあった通りだ。

 でも、にんじん少年少女のように、何か手助けをすれば状況を打開できるはず!

「そこをなんとかお願いします!」

「コンコンコーンをください。そのかわりに、あなた達の手助けをするわ!」

「にんじん少年、にんじん少女も、他の野菜を作る少年少女を助けてやってほしいと言っていた。どうか、私達を信じてほしい」

「ん、にんじん少年とにんじん少女?」

「あなた達、にんじん少年とにんじん少女とマブダチなの?」

「はい。まあ、ちょっと助けただけですけど」

「でもキャロキャロジュースももらったんだよ!」

「飲むか?」

 私達はコーン少年とコーン少女にキャロキャロジュースを渡す。

「ごく、ごく。これはたしかに、キャロキャロジュース!」

「なるほど。たしかににんじん少年、にんじん少女と仲が良いのね」

「なら、少しは信じてやってもいい。俺たちの悩みを聞いてくれるか?」

「うん。もちろん。そのかわり、コンコンコーンが目当てだけど」

「わかったわ。少しでいいなら分けてあげる。私達の悩み。それは、コンコンコーンを食べに来るモンスター、ムカムカデの討伐よ」

「ムカムカデ。この辺で現れるモンスターね」

「ああ、そうだ。そいつらを一掃してほしい。一掃できれば、しばらくの間は安心できる」

「わかったわ。やってみる!」

「私達に頼んだからには、大船に乗ったつもりでいてね!」

「では行ってこよう」

「ああ、頼んだぞ」

「気をつけてね!」

 こうして私達は、ムカムカデを倒すことになった。


「ムカーデー!」

 ムカムカデが現れた。

「てやあ!」

「はあ!」

「せい!」

 ビシーンバシーン!

「ムカーデー!」

「く、しぶといな!」

「ムカデだから、鞭が効きにくいのかも!」

「それでも効いてるよ。もっとおせばいける!」

 私はマトバとマイミにそう声をかけて、絶えず鞭を振る!

 ビシーンバシーン!

「ムカーデー!」

 それから少しの間激しい戦闘を繰り広げて、無事ムカムカデを倒した。

「ふうー、ちょっと強かった」

「まあ、それでも私達の敵じゃないけどね!」

「だが、あと何体倒せばいいんだ。よく考えたら、何時終わるかわからないぞ」

「とにかく、地道にムカムカデを倒そう!」

「おー!」

「まあ、それしかないか」

 それからも、私達はムカムカデを探しては倒し続けた。

 そして日が暮れた。

「あー、もう暗くなるね」

「流石に夜はあ、町に戻ろうか」

「そうだな。それに、町に戻れば何か良い手を思いつくかもしれん。今のままじゃ終わりが見えないからな。夜ならギルドに他の冒険者達もいるだろう。そこで聞き込みをしたい」

「なるほどー。マトバ、あったま良い!」

「あー、たしかにずっと、ムカムカデ探しじゃ大変だもんねー」

「よし。それじゃあ戻ったら接客ついでに聞き込みだ」

「おー!」

 というわけで私達は町に戻って、ギルドで酒を飲む冒険者達から話を聞き出すことにした。


「お兄さーん。私、ウタハでーす」

「私はマイミでーす!」

「私はマトバだ」

「今私達、ちょっと困ってるんですけど、よければお話聞いてくれませんかー?」

「ん、なんだ。かわいい姉ちゃん達だな。どうした?」

「私達、ムカムカデがいなくなるまで倒さないといけなくなったんですけどー、探し歩くと大変でー。なにかいい方法ありますか?」

「ん、ムカムカデを倒す、か。かわったやつらだな。全滅させる程倒したいなら、口笛鳥を使えばいいんじゃないか?」

「口笛鳥?」

「モンスターを引き寄せるマジックアイテムだよ。そいつを使えば周囲のモンスターがこぞってやってくる。モンスターを倒すのが目的なら、丁度いい品だ。冒険道具屋で売ってるぞ」

「へえー、そうなんですかー。良いお話がきけて、良かったです。ありがとうございます!」

「げへへー、そうだろー。それより姉ちゃん達、もっと近くに寄ってくれよー」

「いいですよー。さらにー、えい、誘惑攻撃!」

「おしゃべり攻撃!」

「ドリンク攻撃!」

「うひゃー!」

 私達は飲んでる冒険者達を倒しつつ、明日の方針を決めた。

「どうやら、口笛鳥を使えばムカムカデを全ておびき寄せられるみたいだな」

「じゃあ、それを使って一気に終わらせよう!」

「そうしたらコンコンコーン、ゲットだね!」

「うん!」

「それじゃあ、今日はもう明日に備えて寝よう!」

「おー!」

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