表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/88

54 鳥と戦う

「もうこれでこの町での用事は済んだね」

「じゃあ折角だから観光してかない?」

「それもいいな。折角隣町に来たんだ。いろいろと見て回りたい」

「じゃあ、今日はぶらぶらしよう。マリナにオススメでも訊こうかな?」

「それいいね。マリナ暇かなー?」

 すぐにマリナを見つけると、マリナは笑顔で教えてくれた。

「あー、観光名所ねー。それなら、いろつき草畑かな」

「いろつき草?」

「ただの草なのに名所なの?」

「うん。まあ簡単に言うと、地面が草の色で、赤、青、紫と一色ばーって広がってて、結構壮観よ。今の時期は収穫前だから色が濃いし、一度見て損はないわ」

「なるほど。じゃあ、そこに行ってみるか」

「ありがとう、マリナ!」

「うん。場所は町の南側だから」

「わかった。では行ってくる」

 こうして私達は、いろつき草を見にでかけた。


 見渡す限り、右が青、左は赤。地面が鮮やかに染まっている。

「うわあー、ここがいろつき草畑!」

「おおー、たしかに変わってるねー」

「美しい、かは微妙なところだが、鮮烈な印象ではあるな」

 私達は道を歩いて、いろつき草畑を見て楽しむ。

「でもなんだか凄いよ。壮観って感じ」

「この中入ったら怒られるよね」

「でも触ったら肌がかぶれそうで怖いな」

「育ててるらしいから、大丈夫だと思うけど」

 そう思って歩いていると、ちょうど空から、大きな鳥が飛んできた。

 鳥は畑の中に入り、着地する。

「あ、鳥だ」

「結構大きそうだね」

「ん、あれはもしかして、クサツツキじゃないか?」

「おー、マトバは詳しいね?」

「ここら辺にいる鳥なの?」

「いや、クサツツキは草を食べるモンスターだ。もしいろつき草を食べに来たとしたら、鳥害じゃないか?」

「え、じゃ、大変じゃん!」

「どうする、倒しちゃう?」

「私達でか。ちょうど、私達は冒険者だしな。畑に無断で入るのは気が引けるが、今ここには私達しかいない。よってすぐ動けるのは私達だけだな」

「うん。じゃあ、よし。倒そう!」

「お、リーダー頼もしい!」

「そうと決まれば、行くぞ!」

「ゴー!」

 私達はいろつき草畑に侵入し、クサツツキの元まで走る。

「トリー!」

 クサツツキは本当にいろつき草を食べていた。そして近づいた私達に気づいて、嘴を向けて威嚇する。

「鳥がトリって言うなー!」

「悪さをするなら、私達キャバクランニングエンジェルスが許さないからね!」

「よく逃げずにいたな。このまま倒してやる」

「トリー!」

 こうしてクサツツキとの戦いが始まった。


「トリー!」

 まずクサツツキが攻撃してくる。私はなかなかのダメージを受けた。

「くう、なかなかやる。けど犬セクシーを装備しているから、まあまあ平気!」

「よくもウタハをやったなー!」

「キャバ嬢に怪我を負わせた報い、受けろ!」

 ビシーンバシーン!

「トリー!」

 クサツツキは私達の鞭を受けたが、まだまだ元気そうだ!

「トリー!」

「きゃあー!」

 ああ、今度はマイミがやられた!

「くうう、いったーい。けど、猫セクシーのおかげで、まだやれる!」

「よくもマイミを。それ!」

「たあ!」

 ビシーンバシーン!

 また攻撃をしたけど、今回はクサツツキが素早く動いて、ほとんどかわされた!

「ああ、こいつ速い!」

「く、意外とやる!」

「予想以上の曲者だな!」

「トリー!」

「くうう!」

 今度はマトバがやられた!

「マトバ!」

「大丈夫だ。うさぎセクシーのおかげでまだ戦える!」

「このお、たおれろー!」

 ビシーンバシーン!

「トリー!」

 く、クサツツキはまだ倒れない。しぶとい!

「トリイー!」

 あ、クサツツキの体が輝き出した!

「な、なんかまずいかも!」

「これひょっとして、相手の必殺技モーション?」

「ふたりとも、やられる前にやるか、防ぐか、逃げるか決めろ!」

「やられる前にやる!」

「キャバ嬢に逃走はないのだー!」

「よし、決まったな!」

 私達は恐れず進み、クサツツキに全力の攻撃を浴びせる!

「必殺、ウェルカムトゥヘブン!」

 ビシーンバシーンピシャーン!

「トリイー!」

 ああ、まだクサツツキは立っている!

 そしてクサツツキは光り輝きながら、私達に突進した。

 けど。

 スカッ。

「あれ?」

「おや?」

「む?」

 クサツツキは私達をすり抜け、通り抜けた。

「トリ?」

 クサツツキも首をかしげている。

「あ、もしかしてこれは、死霊騎士の加護のダメージ無効化効果?」

「なるほど、運が良かった!」

「そして相手は今動揺している。チャンスだ!」

 マトバの言う通り。私達はまた攻撃をしかける!

「それ、ウェルカムトゥヘブン、イチコロの型!」

「ウェルカムトゥヘブン、骨抜きの型!」

「ウェルカムトゥヘブン、胸キュンの型!」

 ビシーンバシーンピシャーン!

「トオーリイー!」

 これで、クサツツキは倒れた。

「ふう、やった!」

「いやー、思ったより強かったねー」

「倒せて良かった」

「おーい、大丈夫かー!」

 その時ここに、武装した人たちがやって来た。

「あ、はい。大丈夫ですー!」

「クサツツキは私達が倒しましたー!」

「それは良かった。だがここは関係者以外立入禁止だ。感謝はするが、ほめることはできない」

「え」

「今回はクサツツキをすぐに倒してくれて助かった。だから、礼を言うし、入ったことは咎めない。けど、クサツツキハンターとして常に俺たちが警戒している。次からは、クサツツキが現れたとしても入らないでくれ。わかったな」

「あ、はい。わかりました」

「はーい」

「すみませんでした」

「うむ。では早く畑から出てくれ」

「はい。あ、でもこれだけは言わせてください」

「私達、キャバ嬢なんです」

「だから、せーの」

「皆、キャバクランニングに遊びに来てね!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ