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44 新ダンジョン

 少々遅くなったが、ガチムチリスの縄張りには無事侵入できた。

「リスー!」

「おお、また来たな人間ー!」

「また来たってなんのことかな?」

「きっと他の冒険者のことだろう」

「ああ、なるほど」

「リスリスー!」

「こちらの戦力はまだ完全ではないが、それでも俺たちは戦う、命ある限り!」

「リスー!」

「俺たちの魂の熱さで、やけどさせてやるぜー!」

「マイミ、通訳サンキュー」

「それじゃ、えいっ」

 ビシーンバシーン!

 ガチムチリス達を倒した。

「リ、リスー」

「ば、ばかなー」

「リスリス、リスー」

「たった三人に、我らがやられるとは。がくっ」

「マイミ、それ本当に言ってるの?」

「うん」

「結構こちらも危うかったが、なんとか倒せたな」

「よし。それじゃあガチムチリスの毛をとっちゃおー!」

「おー!」

 私達は手分けしてガチムチリス達の毛を刈った。

「リ、リスリスー」

「リスリスウウー」

「うう、毛を刈られてしまったあ。なんたる屈辱ー」

「流石に毛を刈った姿はかわいそうだね。アオアジュースでもあげておこっか」

「そうだな。それがいいかもな」

 アオアジュースを飲ませてあげると、ガチムチリスの毛はたちまち復活した。

「リスー!」

「リスー!」

「やったー、復活ー!」

「よし。それじゃあもう帰ろう」

「そうだな。もうすっかり遅くなってしまった」

「遺跡で結構時間くっちゃったね。どうする、野宿する?」

「ガチムチリスの近くでテント張るのも気分よくないから、テント張るとしても森を出てからにしよう」

「森まで出たら、更に走ってもいいかもしれないな」

「じゃあ、結局家まで帰る感じね。よし、いこー!」

 私達は急いで家まで帰った。


 翌朝。防具屋なう。

「おじさーん!」

「ガチムチリスの毛持ってきたよー!」

 私達はガチムチリスの毛を3アイテム分渡す。

「おじさんじゃなくてお兄さんだ。おお、やっぱり手に入れられたな。ちゃんとガチリスの毛じゃない。それじゃあ、報酬を払わないとな」

「はい!」

「いただきます!」

「ありがとうございます」

 ちゃりーん。私達はおこづかいをもらった。

「で、どうだった。防具の方は。安心感はんぱなかっただろう」

「はい。見た目に目を瞑れば、いけます!」

「でもギルドに女性冒険者もいるのに、私達しかこの格好でいるの見かけないんですよねー」

「もしかしたら、もっと良い防具があるんですか?」

「いいや。ない。ただ皆敬遠して買わないだけだ。それ以外の防具だと高かったり性能が劣ったりして、危ないのになあ」

「あー。まあ、わかる気がする」

「私だって、強いってわかんなかったらこんなの着ないしねえ」

「それではおじさん。失礼します」

「ああ。おじさんじゃなくてお兄さんだ。それじゃあ、またこいよ!」

「はーい!」

 私達は防具をこのセクシーシリーズに決めて、気合いを入れて冒険者ギルドに行くことにした。


「アーミットー」

「西の森にある遺跡って、なんなのー?」

「今日はおこづかいをもらったばかりなので、情報料を払えます」

「あら、キャバクランニングエンジェルス。へえ。私に訊くなんて珍しいわね。でも、西の森に遺跡? 詳しく教えてもらえないかしら」

「はい。かくかくしかじか」

「これこれこういうわけなんですよ」

「なるほど。明るい内部に、見たことがないモンスター。梨汁ブシャー。のような感じ。それはおそらく、新ダンジョンね」

「新ダンジョン?」

「ダンジョンにアタックダンジョンとライフダンジョンがあるってことは、知ってるわね」

「はい。この前の依頼で憶えてます。アタックダンジョンは攻略優先で、ライフダンジョンは優先度低いんですよね?」

「ええ、そうよ。ライフダンジョンはモンスターが湧くのが遅いし、ボスを倒してもまた復活するから、兵団側の管轄じゃなくて、冒険者側の分野なの。で、中がちゃんとしていて、明るくて、階段がいくつもあってきちんとダンジョンしてるのがライフダンジョンの特徴よ」

「そうなんですか」

「じゃあ、あそこはライフダンジョンだったのかあ」

「あまり驚異ではないのなら、無視しても構わない。むしろその方が良いんですね」

「いいえ、無視しすぎるとモンスターが溢れ出てくるし、多少の攻略は必要よ。それに、ダンジョン内やボスのドロップアイテムには貴重なアイテムがあることが多い。だから、ダンジョン攻略は一攫千金ネタよ」

「え、一攫千金!」

「私達大金持ち!」

「そうか、では興味が出てきたな」

「まあ、ダンジョンを攻略できる実力があれば、だけどね。で、あなた達、これは相談なんだけど、あなた達が見つけたダンジョンは未知のダンジョン、要するに新ダンジョンなのよ。だから、ギルドとしてはダンジョンの詳しい情報が欲しいわけ。あなた達がもたらした情報は有益だから、ここまでの私の説明の情報料はいらないわ。むしろこっちが情報料を払ってあげる。だから、そのダンジョンの詳しい場所とか、ダンジョン内の地図とか、憶えている限り教えてくれない?」

「お金くれるんですか、なら喜んで!」

「ええっと、まずあった場所はねえ」

「適当になら地図を描けますので、紙とペンを貸してください」

 私達は憶えている限りの情報を、アーミットに教えた。

「ふうん。ありがとう。でも、全体的にふんわりしてるわねえ。これだと情報料は少なめかな?」

「なあんだ。残念」

「でも、あのダンジョンは未知のダンジョンで、お宝ががっぽりなんですよね!」

「まあそうよ。その可能性は0じゃないわ」

「なら、こうしてはいられないな。ふたりとも。もう一度あのダンジョンに行ってみよう」

「うん!」

 こうして私達は、新ダンジョンを攻略して一攫千金を目指すことに決めた。


「ダンジョンに行く前に、必要な物をそろえよう!」

「というわけで、冒険道具屋に来てみました!」

「おじさん。ダンジョンに役立つ道具があったらください!」

「ああん。そう言われてもなあ。ダンジョンも普通の冒険も変わらねえよ。そろえるのは装備、食料、緊急時の回復アイテムぐらいのもんだ。マッピングのために紙とペンを買うのもありだが、嬢ちゃん達この前買わなかっただろ。いるのか?」

「私は、地図書けないから買わない!」

「私も!」

「私はなんとかいけるかもしれないが、自信はない」

「なら決まりだ。装備はしっかりしているように見えるから、食料なら食材屋、回復アイテムは回復アイテム屋を頼りな。ここには嬢ちゃん達の欲しがるものはないよ」

「なあんだ、そうなのか」

「おじさん。教えてくれてありがとうございます!」

「おう」

「でも何も買わずに帰るのも悪いので、このコンパスを買っていきます」

「まいどあり」

 私達は食料と回復アイテムを買って、ダンジョンアタックの準備を終える。

「よし。それじゃあ、明日ダンジョンに行く? アンミ先輩に定時連絡もしなきゃいけないし」

「あー、そうね」

「それもいいかもしれない。だがふと思ったんだが」

「なになに」

「マトバ、言ってごらん?」

「私達はもうアーミットに新ダンジョンのことを話してしまったから、それを聞きつけた他の冒険者もお宝を狙って行くんじゃないか?」

「大変だ!」

「ウタハ、マトバ、早く行こう!」

「よし、ダッシュだ!」

「しゅっぱーつ!」

 こうして私達は、急いで新ダンジョンへ向かった。


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