39 カバ
「アーミットー。だいだいこん採ってきたよー」
「あら、さすがね、キャバクランニングエンジェルス。どうやら、やたらカンガルーじゃ相手にならなかったみたいね」
「やたらカンガルーはやたら強かったけど、私達の方がより強かったって感じかな」
「とにかく、おめでとう。今回の依頼達成で、あなた達のランクは3に昇格よ。これからは3☆の依頼も受けていいわ」
「わーい、やったー!」
よし。また実力を認められた。これで更に高額な依頼を受けられる!
「ただし、わかってると思うけど3☆ランクの依頼はこれまでのより難しいから、注意してね」
「はーい」
「それじゃあ、カードを書き換えるから少しの間貸してね」
私達はカードを3ランクにしてもらい、ご機嫌でカウンターから離れた。
「よし。早速依頼を見てみよう!」
「そうね。どんなのがあるかなあ」
「なるべく遠くに行かないのがいいが」
依頼ボードを見てみると、ランク3、☆依頼はかなりあった。もしかしたら3ランクの依頼が一番多いかもしれない。
「あ、護衛依頼だって」
「隣町まで同行かあ。うーん、でもこれ、絶対時間かかるよね。町についたら戻ってこなきゃいけないし」
「こっちは、生態調査とある。西の森をくまなく歩き回って、遭遇したモンスターの報告か。これも、時間がかかりそうだな」
「あ、ミズカラ草の納品だって。これは南の森から採ってくればいいだけだし、今回はこれにしようよ!」
「いいよ、賛成!」
「じゃあ、これを受注しよう」
私達はミズカラ草の納品依頼を受け、早速出発した。
前来た時南の森には、ゲルスライムが現れた。今回は、それにも注意する。
「ちゃんと上にも注意しよう」
「そうね。この前は上から降ってこられたし」
「もうベトベトにされたくはないからな」
出てくるモンスターを倒しつつ進んでいると、やがて木の上にゲルスライムがスタンバってるのを発見した。
「プルプル」
「あー、ゲルスライムいたー!」
「まあた上にいるよ」
「見つかったから良かった。早速攻撃しよう」
「木魔法」
「火魔法」
「水魔法」
私達の魔法をくらったゲルスライムは、すぐ下に落ちてきた。後はそこを鞭で痛めつける。
するとゲルスライムは、あっさり倒れた。
「キャバクランニングに、遊びに来てね!」
ゲルスライムは逃げる。ドロップアイテムは、スライム美容液じゃない。残念。
「不意打ちされなかったらこんなに簡単に倒せるんだね」
「よし、この勢いで先に進もう!」
「どんどん行こう」
私達はこのまま、どんどん進む。
すると、森の中で池を見つけた。池を覗き込むと、池の底で草が青く光っている。
「これがミズカラ草だね」
「すぐ採取して、依頼達成だ!」
「で、誰がこれをとってくる?」
私達は顔を合わせる。
「私、濡れたくないなあ」
「私も」
「私だってそうだ。仕方ない。ここはじゃんけんで決めよう」
「そうね」
「よし。恨みっこなしだよ。じゃんけん」
「フウー!」
気を張り詰めていたところで、不意に私達の体を突風がおそった。
「わあ!」
「きゃあ!」
「ひゃー!」
ザッバーン。皆揃って池の中にダイブしてしまう。
ひゃん、冷たい。じゃなくて、今の何!
「あ、モンスターだ!」
マイミの言う通り、いつの間にかモンスターが現れていた。空色のカバさんだ。
「あれはフーフーカバ。池の近くに住んでいて、誰かが来ると息でふきとばして池に突き落とす、はた迷惑なモンスターだ」
「マトバ、説明ありがとう!」
「あーもう、びしょ濡れになったおかげで怒りマックスだよ。あいつ、絶対倒す!」
「カバー。フウー!」
「きゃあ!」
「またあ!」
「くう!」
私達はまた池の中に倒された。あーもう、中までびしょびしょ!
「この迷惑カバさんめ、ゆるさん!」
「ウタハ、マトバ、別れて接近するよ。また一緒に吹き飛ばされたら大変だから!」
「その案、のった!」
私達はある程度離れ、フーフーカバに接近する。
「フウー!」
「なぜ私なんだー!」
ザッバーン。
マイミがまた吹き飛ばされたけど、私とマトバは問題なし!
「よーし、接近したらこっちのもん、もう即行で決めてあげるんだからね!」
「挟み撃ちだ。抵抗できると思うな!」
ビシンバシーン!
私とマトバの鞭が、フーフーカバを痛めつける!
「カバー!」
けどフーフーカバは暴れて抵抗した。ダメージは、あんまりなさそう?
「こいつ、タフだ!」
「なら、必殺技だ!」
「オーケー、必殺、ウェルカムトゥヘブン!」
「必殺、ウェルカムトゥヘブン!」
ビシーンバシーンピシャーン!
「カバー!」
フーフーカバはたまらず悲鳴をあげた。そして尻尾を見せて逃げようとする。
「く、まだ体力があるなんて!」
「想像以上に強いぞ!」
私とマトバがうろたえた、その時。
「おんどれあー、ゆるさーん!」
マイミが池からあがってきて、跳んだ!
「スーパー美少女キーック!」
「カバー!」
マイミの蹴りがフーフーカバのお尻に命中。そのままカバさんダウン!
「からのー、ウェルカムトゥヘブンー!」
ビシーンバシーンピシャーン!
「カバー!」
これで、フーフーカバは倒れた。
「さすが、マイミ、ナイス!」
「へん。これが私の恨みじゃー!」
「それじゃあいつもどおり」
「皆、キャバクランニングに遊びに来てね!」
「で、結局私達、全員ぬれちゃったね」
「あーんもうー。ただでさえエロい装備が更にエロくなってるー」
「仕方ない。三人でミズカラ草をとろう。その後、焚き火で服をかわかそう」
「さんせーい」
こうして私達は、三人でせっせとミズカラ草を採取したのだった。




