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35 休日とマトバ家

「うさうさ」

「いやーんかわいー!」

「ねえ、にんじん食べる、にんじん食べる?」

「うさうさー!」

「やーん、癒やされるー!」

 今、キャバクランニングにはステップうさぎの客が来ている。

 そのおかげで、うさぎの接客をしているキャバ嬢達は皆ごきげんだ。

「ウタハ、マイミ、マトバ」

「はい!」

「よくステップうさぎを客引きできたわね。でかしたわ」

「これも全てはにんじん少年少女のおかげです!」

「おかげで手からキャロキャロジュースも出るようになりましたし!」

「ですが頑張りました。なのでおこづかいください!」

「現金ね。まあ良いわ。はい、ご期待通りの現金よ」

「わーい!」

 私達は、おこづかいを手に入れた!

「ありがとうございまーす!」

「この調子で、頑張ってね」

「はい!」

 私達は、ホクホク顔でキャバクランニングを後にした。

「ねえ、折角だから明日はオフにしない?」

「あ、いいねえ。ボーナスももらったし、遊ぼうよ!」

「うむ、悪くないだろう」

「じゃあさ。明日はマトバの家に行きたい!」

「お、良いね。遊びにいってもいいんだよね!」

「ああ、いいぞ。それじゃあ、明日は家で待ってる」

「いーえーい!」

「釣具貸してもらったお礼に、お土産持ってくるね」

「あ、そうだった!」

「そんな気にしないでくれ。気持ちだけで十分だ」

「そう、じゃあ気にしない!」

「マイミ。それは大人として問題だよ」

「あうー。ウタハが持ってくるんだったら、私も買うー。でも折角だから、うんと良いものを買って驚かせたいよね!」

「そうか。じゃあ期待して待っているぞ」

「え、そんな期待しないで」

「もう、マイミ!」

「ふふふ」

「えへへ」

「あはは!」

 私達は元気よく別れた。明日はお土産買って、その足でマトバの家に行こう。


 翌日。お土産のことはいろいろ考えたが、やっぱりお花が良いと思った。

 なので、青い花の花束を買ってマトバの家に向かう。

「ふふふ。なんかプロポーズみたい」

 いつか素敵な彼氏ができたらいいな。まあ、今はそんなチャンス微塵もないんだけどね。

 機嫌よく歩いてると、偶然マイミと合流した。

「あ、マイミおはよー」

「おー、ウタハおはよー。あ、ウタハのお土産は花束ね!」

「うん。これがベストだと思って」

「たしかに良いけど、そっちがベストだったら私はスーパーベストだからね!」

「マイミは何贈るの?」

「キャバクランニング写真集」

「あー、それはベストかなあ?」

「それお店で言ったらお小言言われるよ」

「だって贈り物の候補としては外れてるじゃん」

「キャバ嬢を外れとか言うなし!」

「たしかに。前向きに考えればはずれじゃなく当たりだ」

「でしょ。やっとウタハもこの私のセンスに近づいたね!」

「いや、むしろ溝ができたと思う」

 私達は話しながら、マトバの家に来た。

「ごめんくださーい」

「マトバの友達です。遊びに来ましたー」

「はい。ようこそおこしくださいました」

 今日も家政婦のジュネさんに会った。そして玄関を通り、マトバの部屋まで案内される。

「お嬢様。お友達がお見えになられました」

「ああ。入ってもらってくれ」

「では、ごゆっくりどうぞ」

 マトバの家はきれいだった。そしてマトバの部屋は和室だった。

「やーっぱマトバお嬢様ー」

「夜はネグリジェ着て寝るんでしょー」

「なぜわかった。ああ、ふたりとも。それはお土産か?」

「うん」

「イグザクトリー」

「ありがとう。花は早速活けよう。使ってない花瓶があったはずだ。取ってくる」

「お願いー」

「私のはここに置いとくよー」

「ああ」

 マトバが部屋を出る。するとマイミが鼻を鳴らした。

「クンクン。ここ良い香りがする」

「ああ、確かに」

「匂いの出どころはこのタンスかな?」

 マイミがタンスを勝手に開ける。

「マトバが帰ってきたら怒られるよ」

「気にしない気にしない。お、パンツいっぱい。ウタハも見てみる?」

「見ないよ。マイミ、じっとしてよ?」

「もー、ウタハはつまんないなー」

 そうして時間を過ごしていると、マトバが花瓶に花束を活けて戻ってきた。

「戻ってきた。が、ふたりとも。すまないが別室で勝負してくれないか?」

「勝負?」

「いいけど、なんの?」

「武器を使った、真剣勝負だ。ただ、一撃もらったらそこで終了のルール。鞭は私が貸そう。相手はうちの警備員なのだが、頼めるだろうか」

「いいけど、どうしてそうなったの?」

「私の弟が無理を言い出してな。私と組んでいる冒険者仲間の実力を見てみたい、と。すまないが弟は我が家の長男で、大抵のわがままは通ってしまうのだ。だから、適当にながしてくれて構わない」

「わかった。けど、勝負は何時だって本気だよ!」

「ウタハの言う通り。その弟君にお姉さん達の力を思い知らせてあげようじゃないか!」

「よろしく頼む。では、来てくれ」

「あ、ところで弟の名前は?」

「マトラだ」

「マトラめ、ギャフンと言わせてやるわ!」

 こうして私達は、急遽マトバの家で勝負することになった。


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