32 ガチムチリス
「あ、ガチリス討伐あったー!」
マイミは素早くガチリス討伐依頼を見つけた。
「よし、きたね。リベンジの時が。早速依頼を受けよう!」
「私達は今度こそ、あの小さきリス達を倒す!」
私達は気合いを入れて、依頼を受けて町を出た。
西の森にダッシュで来ると、森の入り口からまたガチリスが現れた。
「リスー!」
「リスリスー!」
「リスー!」
数は三匹。丁度いい、一対一ずつで勝負だー!
「マイミ、マトバ、それぞれ相手してあげよう!」
「オッケー!」
「レンダ流鞭術、受けてみよ!」
私達はそれぞれ別のリスさんを狙って、全力で鞭打った。
ビシーンバシーン!
「リスー!」
「リスリスー!」
「リスー!」
こちらの攻撃は上手くいった。ガチリス達はたやすくふきとばされ、反撃にも移れないようだ。ふふ、これが今の私達の強さだ!
「それー、それそれー!」
「いっぱいサービス、あげちゃうよ!」
「遠慮なく受け取るが良い!」
「リスー!」
「リースー!」
「リスー!」
私達の鞭の連打が決まると、ガチリス達はお腹を見せて倒れる。ふふ、勝利。
「やったー、勝ったー!」
「わーい、私達強くなってるー!」
「うむ。良かった良かった。む」
けど、ずっと喜んでいるわけにはいかなかった。
「リス!」
「リスリス!」
「リス!」
またガチリス達が現れたのだ。今度は三匹より多い!
「どうやらまた現れたみたいだね。マイミ、マトバ、いくよ!」
「おうともよ。マイミ様の鞭さばき、おかわり希望なら喜んで大サービスだ!」
「皆まとめてかかってこい。全員しつけてやる」
「皆まとめては正直たんまだけど、戦いは無情。覚悟してよね!」
「リスー!」
「リスー!」
こうしてガチリス達が再度攻撃してきて、私達は二戦目に突入。
数が多いからちょっと余裕なかったけど、まあ勝てた。
「えーい!」
「とりゃー!」
「これで最後!」
ビシーンバシーン!
「リースー!」
ばたっ。最後のガチリスが倒れる。
「やたー、勝ったー!」
「ふう、なんとか倒したー」
「それでもこちらのダメージは軽い。大勝利といっても過言ではないだろう」
「よし。それじゃあ後は、ドロップアイテムを回収するだけだね」
「ああ。あとガチリス達は起き上がったら、できれば移住してもらおう。一応依頼は討伐だし、この場からいなくなってもらった方が良いだろう」
「賛成ー」
「今日は今日中に帰れるね。あっ」
私達が気を抜いてしゃべっていると、森から新手のモンスターが現れた。
数は三匹。どれもガチリスに見えるけど、なぜか彼ら、鞭を持ってる?
「ムーチリース」
「ムーチリー」
「ムチリスー」
「マイミ、マトバ。どうやらまだ敵が残っていたみたい」
「ふたりとも。相手はガチムチリスだって。よくぞガチリス達を倒した。今度は俺たちが相手になってやる。だって」
「さすがマイミだ。モンスターの通訳はお手の物だな」
「こういうのはフィーリング。で、どうする」
「当然、かかってくるなら相手になってあげるのみだよ!」
「そうじゃなくて、相手は三匹だよ。また一対一で戦う?」
「それがいいだろうな。相手の攻撃が一人に集中する可能性は、潰しておいた方が良いだろう」
「それじゃあ、決まり。ガチムチリスさん。私達が一対一ずつで相手してあげる。かかっておいで!」
「ムーチリース」
「リスムチー」
「ムチムチリスー」
「ふっ。我らガチムチリス三連星。怖いもの知らず共め。我らの恐ろしさを思い知らせてやる。だって」
「思い知るのはどちらの方かな。さあ、いざ勝負!」
こうして私達は、それぞれ一対一でガチムチリスと戦うことにした。
ガチムチリス達はそれぞれ私達を狙って、とびかかってくる。
「それー!」
「よいしょー!」
「ヒート、アーップ!」
「リスー!」
「リスムチー!」
「ムチムチー!」
全員が同時に鞭を振って、私達の仁義なき戦いが始まった。
く、このガチムチリス、強い!
「やあ、てやあ!」
「リス、リスー!」
自力の差では、向こうのほうが上だ。攻撃力、防御力、素早さ全て、相手の方が上回っている。
対して私が対抗できる点といえば、かわいさと鞭技の技量さだ。
「せい、高速三連打!」
「リスー!」
ガチムチリスはなんとかしのごうとするも、受けきれず何発かもらう。更にレンダ流鞭術の衝撃が加わり、相手の動きはよく止まる。
しかし、純粋な力勝負では相手の方が上。ガチムチリスの鞭がセーラーン服姿の私に少しずつ傷を負わせていく。
持久戦では不利かもしれない。こうなったら、必殺技で早めにけりをつける!
「必殺、ウェルカムトゥヘブン!」
「リースー!」
私の攻撃はガチムチリスに当たった。
けど、ほとんどが防御された。隙をつかなかったせいもあるだろう。そのせいか、まだガチムチリスは立っている。
「リースー、リスー!」
そして、ガチムチリスの猛反撃が始まった。
「く、今までと速さが違う!」
完全に押される私。でも、ここで諦めちゃいけない!
「私はキャバ嬢。鞭の扱いで負けて、たまるかー!」
私も必死に鞭を振るう。すると、不思議と頭が冷静になっていった。
わかる。ガチムチリスの動きが見慣れてきた。次の攻撃をしのげば、いける!
ビシンバシーン!
私はガチムチリスの鞭を弾いて、そこに完全なる隙を見た。
「リス!」
「必殺、ウェルカムトゥヘブン。イチコロの型!」
一瞬で私は、オリジナリティーを加えた必殺技を放つ。
「リースー!」
これでガチムチリスは倒れた。
「はあ、はあ、皆は!」
「あ、ウタハも倒したんだね!」
「やったな、皆!」
良かった。ふたりとも無事だ。
「ふう。ちょっと危なかったけど、なんとかなったね」
「うん。まあ私達はレンダ先輩の弟子だし、これくらい余裕だって!」
「そうだな。勝つべくして勝ったということだ」
「よし。それじゃあ久しぶりに」
「皆、キャバクランニングに遊びに来てね!」
「リスー」
私達は死屍累々としているリスモンスター達に、客引きついでの勝利宣言をおこなったのだった。




