23 ガチリス戦
「お、キャバクランニングエンジェルス。無事ファイアキャットのヒゲを持ってきたわね」
「はいー。あ、尻尾ももらってきましたあ」
「もらった?」
「いえいえ、取ってきました!」
「これで依頼達成ですよね?」
「ええ、問題ないわ。むしろ、おめでとう。これで昇格よ」
「え? ということは?」
「あなた達は一定数の依頼をこなした。よって、冒険者ランクとパーティランクを1から2に上げるわ」
「やたー!」
「ありがとうございまーす!」
「頑張ったかいがあったな」
「2ランクのエンブレム入れるから、冒険者カードとパーティカードを渡して。それと、次からは☆マークがついた2ランクの依頼も受けられるから、憶えておいてね」
「はーい」
私達はそう言われて、ちょっとやる気が出た。
「ねえ、どうする。帰る前に、明日の分の依頼受けておく?」
「お、いいねえ。折角だから受けとこうよ」
「そうだな。といっても、良い依頼があればだが」
いざ見てみると、依頼書は朝の半分以下になってる。でもその中にはあ。
「あ、ガチリスの討伐、これ良いんじゃない?」
「ガチリスって、おお、☆依頼じゃん。いきなりいっちゃう?」
「まあ、受けられるようになったのだから、受けてみるのも良いだろう。折角余っているんだしな」
「よし、じゃあ受けよう!」
「おー!」
こうして、明日はガチリスを倒しに行くことに決めたのだった。
明日になった。
「よーし、それじゃあガチリスを倒しにいこー!」
「おー!」
私達は走って西の森へ向かう。
途中ではたらくアリを倒したりしながら、お昼ごろに森の入り口へ到達。
「ふう。毎回移動は楽じゃないね」
「うーん。良い移動方法があればいいんだけどなあ」
「今のところは自分の足しかない。だがこれが仕事だ。何か良い手を見つけない限り、このままだな。だが私達は日帰りで帰れる分、まだ楽な方だろう」
「そうかあ。そうだね」
「でも毎日走るのはなあ。明日はのんびり休まない?」
「それもいいな。だがお休み気分は依頼を達成してからだ。ところであれが、ガチリスじゃないか?」
「え?」
「どれどれ?」
「リスー!」
あ、本当にガチリスが森から現れた!
「リス、リスー!」
ガチリスは好戦的なリスで、ちっこい割にすばしっこく私達に襲いかかる!
「これはちょっと鞭使う!」
「いきなり襲ってこられたらね!」
「悪く思うなよ、ガチリス!」
「リスー!」
私達は上手く連携しながらガチリスを鞭打った。
ビシンバシーン。
「リス、リス!」
しかしガチリスはしっかりこちらの攻撃をガードしながら、確実に近づいてくる。この子、こんなにちっちゃいのに打たれ強いの?
「リスー!」
あーっ、ガチリスがマイミにパンチをしかけたー!
「おふう!」
マイミは顔を殴られて良い声を出す。マイミでも避けられなかったなんて、やっぱり素早さもかなりある!
「こんのケダモノがあっ、乙女のツラに何してくれてんじゃー!」
「リスー!」
「ぐおー!」
マイミがまたガチリスに殴られる。今度はボディーだ。
「マイミ、今助ける!」
「こいつ、小さい割に強いぞ!」
私とマトバが、同時に鞭をしならせる!
バチーン!
その攻撃を両手ガードしたガチリスは、しかし衝撃でかなり後ろに吹き飛ばされた。
「リスーッ」
でも向こうはまだまだ体力ありそう。目が諦めていない!
「リスー!」
「リスウー!」
そして更に困ったことに、森の奥からガチリス達が更に現れた。
「これ、ちょっとまずくない?」
「うう、若干、ピンチかも?」
「一体に翻弄されている今、厳しいかもな」
私達は冷や汗をたらす。
「リスー!」
そしてガチリス達は一声鳴くと、一斉に私達におそいかかってきた!
「ちょっとたんまかもー!」
「お前ら、いきなり増えるなー!」
「く、どうにか迎撃を!」
私達がうろたえた、その時。
どこからともなく、ソニックブームがとんできた。
「リス!」
「リスー!」
ガチリス達はソニックブームにやられ、体勢を崩す。
「こ、これは!」
「もしかして!」
「見覚えのあるこの、たやすく行われるえげつない行為は!」
「ワン!」
「ワンワン!」
「ガイヌ!」
私達が見ている前で、ガイヌ達がガチリス達におそいかかった。
「リスー!」
「ワンワン!」
おお、すごい。接戦だ!
「ガイヌ達、ありがとう!」
「君たちはきっと、以前私達が手懐けた犬達だな!」
「そしてここで私達も戦えば、勝利ムードだー!」
私達も再起動して、ガチリス達を鞭でしばいた。
「リスー!」
「リスー!」
ガチリス達は多勢に無勢だが、致し方なし。
これも、自然界のあり方なのだ。
無事ガチリスを倒し、ドロップアイテムももらった。
そして私達は、ガイヌ達にお礼を言う。
「ガイヌ達、ありがとう!」
「ワン、ワン!」
「マイミ、なんだって?」
「なんで私に聞くかな。でも、助けた報酬はしぼりたてミルクで良いって」
「オッケー!」
「あああと、最近赤ちゃん生まれたから、そいつらにもミルクプリーズだって」
「ああ、わかった。命を助けられたんだ。そのくらいしてやろう」
「ワン!」
「もうやられそうになるなよ。だって」
「それは、努力する!」
こうして、私達はガイヌ達に助けられつつも、依頼を達成したのだった。
まる。




