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17 ボス撃破

 私達はゴフンアックス達をつれて、一度ダンジョンの入り口にまで戻ってきた。

「兵士さーん、一度帰ってきましたー!」

「おう、ご苦労。様子はどうだ?」

「それが、このゴフンアックス達がボスのところまで案内してくれるそうです!」

「ゴフ!」

「何、本当か!」

「はい。私達が昇天させたので、間違いありません!」

「昇天? よくわからんが、ボス討伐のチャンスだ。今兵士を集める。ピー!」

 兵士が笛を拭いて、兵士達を集めた。

 あ、第三団長のゲイラーさんもいる!

「ゲイラー団長、こんにちは!」

「おおっ、お前さん達か。で、何があった」

「このゴフン達、案内。ボスの元、つれてく!」

「ゴフ!」

「なるほど、でかした。よし、お前ら。これはチャンスだ、のりこめー!」

「おー!」

「私達も行きます!」

「いや、ボスのところへ行ければいいから、冒険者の役目はもう終わりだ」

「ゴフ!」

「このゴフン達、わたしたちが一緒じゃないと案内してくれないそうです!」

「そうか、なら仕方ねえ。そのかわり、怪我すんなよ!」

「はい!」

 こうして私達は、休むまもなくダンジョンへと再びアタックした。


「ゴーフー!」

「ゴフ、ゴフー!」

 ゴフンアックス達が案内したのは、ゴフンの巣窟だった。

 しかもゴフン達の一番奥には、錆びた冠をかぶったゴフンがいる。そいつが剣を団長へ向けて、一鳴きした!

「ゴフー!」

「ワレはゴフンキング。お前ら、やってしまえ! って言ってます!」

「そうなのか。ならこちらも、行くぞ!」

「おー!」

 こうして始まる、ゴフンキング勢対兵団の戦い。

 兵団は戦いのプロと言うだけあって、少しずつ相手を押していく。

 そしてヨッパがその中に混じって、地味に奮闘していた。

「ふんっ、はあっ! 見ててくれ、ウタハちゃん!」

「皆さん、頑張れー!」

「ファイト、ファイトー!」

「一番近くで応援してまーす!」

 私達は後ろから応援。ちょっと戦いが激しすぎて、入っていけそうにない。

「うう、俺ももっと強ければ」

 ヨンドが悔しがってるけど、頑張れ。

「ヨンド君。もっと大きくなったら、活躍しようね!」

「大丈夫よ。チビはもう十分活躍したわ」

「怪我しなかったのが一番の成果よ」

「うるせえっ。くそ、いつか一番強くなってやる!」

 その意気だ、ヨンド君。頑張れ!

「やっ、せい、はあー!」

「ゴフー、ゴフー!」

 そして戦いは佳境を迎えていた。ゲイラー団長とゴフンキングが切り合う。

「ゲイラー団長ー、頑張れー!」

「頑張れ、頑張れ!」

「女の子の前で負けないでくださいねー!」

「ウタハちゃーん、こっちにも応援くれー!」

「やだ!」

「ガーン!」

 そして、兵団はなんとかゴフンキング達を倒したのだった。


「ゴフンキングは、俺が倒したー!」

「おー!」

 ゲイラー団長を、皆が称える。他のゴフン達も、無事倒せたみたい。

「やったね!」

「これでクエストクリアね!」

「なんとかなって良かった」

 私達も安心していると、そこに。

「ゴフー」

「お、どうした昇天したゴフンアックス達」

「ゴフー、ゴフー」

「え、ここは道の途中? ボスは他にいる?」

「ゴフー」

 うなずかれた。親指も見せられてしまった。

「ふはは、帰って祝い酒だー!」

「おー!」

 うわー、声かけづれー。

「兵士さん達、ボスは他にいるって!」

 あ、ヨンド君が言ってしまった!

 皆静まり返った!

「本当か?」

 ゲイラー団長が訊く。

「うん」

 ヨンド君がうなずく。

「ゴフ!」

「ついてこいって言ってる!」

「ゲイラー団長、あっちです!」

「よーし、続けー!」

「おー!」

 よ、良かった。また士気が戻った!


 更に奥へ進むと、広い空間に大きな蛇がいた。

「シャー!」

「あれはダーコンナだ!」

「強敵だ、いけますか、ゲイラー団長!」

「ちょっと強敵すぎるな。増援を呼ぶか」

「その必要はねえぜ!」

「お、お前たちは、昇天してて使い物にならなかった冒険者達!」

「俺たちは今まで体力を温存していたから戦える!」

「折角クエスト受けたんだ。恥ずかしくないくらいは働いてやる!」

「そして、活躍してキャバクラッンニングエンジェルスと手を繋ぐ!」

 あ、後からやって来たむさ苦しい冒険者全員に言われたー!

「ひいいー!」

 私達は思わず戦慄する。

「そうか、よくわからんが、加勢してくれたら勝てるかもしれん!」

「ならこの勢いでいきますか。全員、息を合わせてダーコンナへ突撃ー!」

「おー!」

「見ててくれよ、ウタハちゃーん!」

「いやー!」

 こうして、冒険者達と兵団が寄ってたかってダーコンナに襲いかかった。

 そして、勝った。

 無事、レイドクエストは達成した私達。

 けれどその後に待っていたのは、冒険者達と手をつながなくてはならないという地獄だった。

 冒険者達はそのまま私達とギルドの酒場で飲んで酔っ払って、全員が眠った後、なんとか解放された。

「ふうー、やっと終わったあ」

「ううー。今日は特にきつい一日だった」

「そうね。まさかあんなことになるとは」

「でも、ヨンド君も私達も無事で、良かったね」

「そうね。チビも今回は、役にたったんじゃない。明かり持ち役で」

「彼には、良い男になってほしいものだ。そして、私達に貢いでほしい」

「うん」

 私達はそろってうなずいて、バーでいっちょまえに眠っているヨンド君の頭をなでた。

「強く、かっこよくなってね、少年」

「すや、すや」

 まる。

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