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13休日お見合い

 兵団本部に到着。

「すいませーん」

「どうした、何かあったか?」

「私達、彼氏募集にきたんですけどー」

「帰れ」

「まあそう言わず、兵団の皆さんは毎日鍛えてて女の子との出会いが足りてないでしょ。一回くらい、ゲリラお見合いしてみませんか?」

 よし、ここで畳み掛けよう。日頃の技の冴えを今こそ見せる時だ!

「それ、誘惑攻撃!」

「私も、誘惑攻撃!」

「えい、誘惑攻撃!」

「うううっ」

 よし、兵士に大ダメージが入った!

「ねえ、兵士さん、おねがーい?」

「し、仕方ないなあ。ひとまず、ここで待ってなさい」

「はーい」

 門番兵士は兵団本部内へと入っていった。まずは第1段階、完了ってとこかな。

「この分ならお見合いできそうかな」

「良い男いるかなー」

「私達の運を信じよう」

 しばらくすると、兵士が戻ってきた。

「第三団長から許可が出た。お前たち、入っていいぞ」

「はーい!」

「わーい!」

「ありがとうございます。ところで、あなたは私達とお見合いしたくないですか?」

「あー、俺はこのまま見張りだ。じゃあな」

「はーい!」

「お仕事おつかれさまでーす!」

「よかったら、キャバクランニングに遊びにきてください」

「え、君たち、キャバ嬢だったの?」

「はい!」

 よし、それじゃあ兵団本部へ突入だー!


 小さな会議室に案内されると、そこに一人のたくましい男がいた。

「お、お前たちがゲリラお見合いしたいっていう痴女だな」

「私達、痴女じゃありません。私はウタハです!」

「私はマイミ!」

「私はマトバ、よろしくお願いします」

「おう。俺はゲイラー。第三兵団長様だ」

「いやーん、そうだったんですねえ。やっぱりとってもかっこいいです!」

 マイミがすかさずヨイショした!

「ああ。まあな。だが、俺はもう所帯持ちだ。子供も二人いる」

「ちぇっ、なーんだ」

 マイミのテンションがすかさず下がった!

「だが、俺達の中には、もう良い年なのに結婚できてない不能共がいてな。今日はその三人と会わせてやる。お前たち、男が欲しいんだろ。ベテラン兵士だから、腕と給料はなかなか良いぞ」

「よし、燃えてきた!」

「べ、ベテランかあ。歳の差ありすぎるのはちょっとなあ」

「私は、誠実な人なら良いです」

 マイミ、私、マトバがそれぞれテンションを変動させる。

「まあ、こっちに座れ」

「はーい」

 私達が言われたとおり席に座った、その時。

「ゲイラー団長。お呼びでしょうか!」

 この会議室に三人の中年が入ってきた!

 中年かあ。

 うん、なんだ。

 ワタシ的には、もう無しかな。

 ひとまず、無難に話をして、別れよう。

「お前たち、この子達は彼氏募集中だそうだ」

「!」

 三人が私達を見た。

「まあ座れ」

「はい」

「そしてゲリラお見合いだ。3、2、1、はいスタートー」

「団長、急すぎです!」

 一人がそう言った、その直後。

「急にお邪魔してごめんなさい。私、マトバです。どうかよろしくお願いします」

 マトバがしおらしく会話を始めた!

「はーい、私マイミ。私を大事にしてくれるナイト様募集中。皆さんお強いんですよね?」

「え?」

「さっきゲイラーさんから、皆さんベテランの頼れる実力者って聞きましたー。どれだけ強いんですか?」

「どれだけって言われても、まあ、俺に勝てるやつはこの兵団ではそんなにいないな」

「俺はそんなこいつより強い」

「何!」

「俺はこの二人と勝ったり負けたりするぐらいだが、まあ、強いぞ」

 やった、話はできる。これで空気が死んだりはしなさそうね!

「やっぱり強いんだー。私、頼りになる人が彼氏になってほしいな?」

 そしてマイミ、この歳の差でもいけるのか。すごい。

「それより皆さん、そろそろお名前を教えていただけないでしょうか?」

 おっと、マトバが話を一旦とぎらせた。でもこれは大事な質問だ。

「あ、ああ。俺はヤータだ」

「俺はユーツだ」

「俺はヨートだ」

「皆さんも彼女募集中なんですよね、私達みたいな女の子は好きですかー?」

 マイミ、攻める。

「ああ、まあ。あ、けどその前に、君たちは普段何してる子なのか教えてくれ」

 ヤータがそう訊いてきた。

「私達、キャバクランニングのキャバ嬢でーす!」

「まだまだ新人ですが、精一杯頑張っています」

「きゃ、キャバ嬢?」

「ま、まさか」

「それは」

 三人とも、私達の職業を聞いて引いている。

 え、キャバ嬢って、そんなにマイナスステータスかな?

「二股、夜は知らない顔、NTR。ううう、心が引き裂かれてしまいそうだ」

「マトバ、NTRって?」

「さあ、きっとピュアハートがえぐられるような魔法の言葉なんじゃないか?」

「へえー」

 そうなのかあ。

「ウタハ、マトバ、なんか一気に空気が悪くなっちゃった。ここは接客バトルで一気に勢いを取り戻そう!」

「ええ、そうね!」

「仕方ないわね」

「それ、誘惑攻撃!」

「えい、誘惑攻撃!」

「てい、誘惑攻撃!」

「うーわー!」

 私達の攻撃で、ピュアベテラン兵士さん達はあっさり昇天した!

「よし、上手くいった!」

「でも、私的にはここまでかなあ」

「そうね。キャバ嬢をマイナスに見てる人たちとは付き合えないわ」

「えーっ、ふたりともここでおりるのー。じゃあ私もやめとくー」

「ふむ、まさかこういう結果になるとはな」

 マイミまで諦めると、今まで黙っていたゲイラー団長が口を開いた。

「嬢ちゃんがた、悪いが今回はここまでだ。三人は昇天しちまったみたいだから、もしまだ諦めないんだったらまた後日来てくれ」

「はーい」

「では、これで帰らせていただきます」

「失礼しました」

「ふーむ、こいつらには良い刺激になると思ったが、逆効果だったかな」

「そんなことはないと思います!」

 何より、私達の名誉のためにそう言っておこう!

「あ、あとこれも言わせてください」

「皆、キャバクランニングに遊びにきてね!」

 ドーン、今日は私服バージョン!

 そして私達は兵団からおさらばして、今日一日を楽しく終えたのだった。

 まる。


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