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公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました  作者: Karamimi
番外編

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地方に出張治療に行く事になりました【3】

しばらく走ると、馬車が停まった。


どうやら大きな施設の様だ。


「ここに沢山の患者が入院しているんだ。さあ、早速行こう」


3人で馬車から降りると、急いで施設の中に入った。中は広い空間になっていて、患者がたくさん寝かされていた。1人1人仕切りで仕切られている。


「セリーナ先生、来てくれたんだな。とにかく患者が多すぎて、困っていたんだ」


私に話しかけてきたのは、大病院の副院長だ。


「確かに患者がかなり多い様ですね。とにかく、治療とともに病気の原因を突き止めましょう」


「その件なんだが、これが患者のデータだ。高熱とともに、全員が赤い湿疹が出来ているという事が分かった。医学書をひっくり返して調べた結果、該当する病気がいくつか見つかったよ。該当する箇所が記載されている所に印がしてある。ただ、熱と赤い湿疹が出る病気は意外と多いようで、どの病気なのかわからないんだ」


そう言って困った顔をしている副院長。確かにあちらこちらに印が付いている。


「それでしたら、該当する病気の情報をまずはまとめましょう。それから患者に症状が出る前に、該当する行動などが無いか確認して、病気を突き止めるのがいいかと思います」


「そうだな!でも、患者のほとんどが話が出来ないほど苦しそうなんだ。聞き取りが思うようにできなくてね」


「そうですか。そうなると、とにかくまずは治癒魔法で治療して、元気になった人に聞き取りを行いましょう」


「そうだな、それじゃあ、まとめと聞き取りは私がやろう。生憎魔力切れを起こしてしまってね。セリーナ先生は治療を頼む」


「副院長、僕たちが病気の原因などをまとめるよ。先生は患者の聞き取りを行ってくれ」


「これはファーレソン公爵令息様とシャディソン公爵令息様。シャディソン公爵令息様は病に伏せられたとお伺いしましたが」


「セリーナ嬢に治してもらったんだ。とにかく、俺たちも協力するから何でも言ってくれ」


どうやらルーク様達も手伝ってくれるようだ。


早速私は、患者の元へと向かく。


「セリーナ先生、こちらの症状が重い患者からお願いします」


応援に来ている他の治癒師に案内され、奥の方へと向かう。確かにみんな苦しそうに呼吸をしている。さらに、顔中に赤い湿疹が出来ている。


「大丈夫ですか?すぐに治療いたしますね」


急いで近くにいた男性に治癒魔法を掛ける。


「あれ、なんだか急に楽になったぞ」


症状が重かった分、少し治療に時間が掛かってしまったが、何とか完治できたようだ。


「先生、ありがとうございます!本当にありがとうございます!」


こうやって感謝されると、やっぱり嬉しいものだ。


「元気になられてよかったですわ。今から病気を特定するために、聞き取り調査を行いますので、少しお待ちくださいね」


そう言い残し、次の患者の治療を行う。それにしても、患者の数が半端ない。必死に治癒魔法を掛けていくが、一向に減っていかない。


それでも何とか20人以上は治癒魔法を掛けた。ただ、もう魔力切れだ…


「ハーハー」


魔力の使い過ぎで、その場に座り込んでしまった。


「セリーナ、大丈夫か?」


私が座り込んでいるのを見たルーク様が飛んできて、抱きかかえてくれた。


「大丈夫です。少し魔力を使いすぎたようです。少し休めばまた回復するので」


「何を言っているんだ。顔色も悪い!とにかく、一度屋敷に戻ろう」


「いいえ、屋敷に戻っている時間がもったいないです。とにかく、この施設内で休憩いたしますわ」


屋敷を往復している時間が惜しい。とにかく1人でも多くの患者を治療して、病気の原因を突き止めないと!


「それなら休憩室があるから、そこで休むといい!食べ物や飲み物、ベッドもあるから。セリーナ嬢、こっちだよ」


グレイス様が奥の部屋へと案内してくれた。


部屋は意外と広く、テーブルの上にはサンドウィッチなどの食べ物が置いてあった。奥にはベッドも数台置いてある。


一番端のベッドに私を寝かせてくれたルーク様。


「さあ、僕がここで見張っているから、ゆっくり休むといい。そうだ、食事をした方がいいね。ちょっと待っていてね」


ルーク様が、テーブルに置いてあったサンドウィッチと飲み物を取ってきてくれた。


「ありがとうございます、ルーク様」


「セリーナは疲れているから、僕が食べさせてあげるね。さあ、口を開けて」


言われるがまま、口を開ける。小さく食べやすい大きさにちぎってくれたサンドウィッチを、口に入れてくれたルーク様。うん、おいしい。


「ルーク様、とてもおいしいです」


「それは良かった。ほら、もっとたくさん食べて」


そう言って、次々とサンドウィッチを口に入れてくれるルーク様。お腹一杯になったところで、ベッドに横になる。


「ルーク様、30分くらいしたら起こしてもらえますか?多分少し眠れば、魔力も少しは回復するはずですので」


「わかったよ。ゆっくりお休み」


ルーク様が布団をかけてくれた。とにかく寝ないと魔力が回復しない。ゆっくり目を閉じる。


魔力を随分と使い果たし相当疲れていたようで、あっという間に眠りについたセリーナであった。

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