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公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました  作者: Karamimi
本編

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第13話:公爵家のパーティーに参加します

診療所と実家に行った翌日、公爵様に呼び出された。


「セリーナ先生、ルークの体調も完全に戻ったし、湿疹もほとんど消えた。本当に、先生には感謝してもしきれないくらいだ!もし先生が望む事があるなら、何でも言って欲しい。何かないかい?」


望む事か…


「公爵様、お心遣いありがとうございます。実家にも多額の資金を提供して頂いたみたいですし、これ以上何も望む事はありません。こちらこそ、本当にありがとうございました」


借金も返済できただけでなく、今では使用人を雇える程生活に余裕が出来た。弟や妹たちにもやりたい事をさせてあげられる。これ以上何かを望んだら、バチが当たるわ。


「セリーナ先生は随分と謙虚なのだね。わかったよ、でも私に何かできる事があったら何でも言って欲しい。先生はルークの命の恩人でもあり、娘でもあると思っているんだ」


今娘って言った?そんな恐れ多い事をサラっと言われても…


「娘ですか。ありがとうございます、公爵様」


どうしていいのか分からなかったので、とりあえずお礼だけ言っておいた。でも、なぜか悲しそうな顔をしている公爵様。


「公爵様か…お義父様と呼んで欲しいのだが…」


「何かおっしゃいましたか?」


「いいや、何でもないんだ!」


急に慌てだす公爵様。今日の公爵様は、なんだか少し様子が変ね。



「そうそう、それでね、来週ルークの快気祝いを兼ねて、家でパーティーを開くことになっているの。もちろん、セリーナ先生も参加してくれるわよね。ドレスはこちらで準備してあるから、安心して頂戴」


公爵様の隣に座っていた夫人が、急に恐ろしい事を言いただした。


「パーティーですか?公爵家のパーティーに、私の様な者が出る訳にはいきません!」


公爵家のパーティーなんて、大貴族や王族たちが沢山来るのだ。そんなところに、私の様な貧乏令嬢(今は少しだけお金がある伯爵令嬢だけれど)が行くなんて!そもそも、私は3年前からずっと貴族の付き合いはしていないのだ!絶対に恥をかく自信がある。


「もう、セリーナ先生ったら。あなたも主役の1人なのよ!あなたのご両親も招待しているから、安心して」


今、主役の1人って言ったわよね!ひぇぇぇ、無理だわ。


「奥様、私は2年間、治癒師として治癒魔法を掛ける事に専念して参りました。そのため、貴族としてのマナーなど、ほとんど覚えておりません。もちろんダンスも、子供の頃に踊ったきりなのです。はっきり言って、パーティーに出ても恥をかくだけ。どうか、欠席の方向でお願いします!」


「まあ、セリーナ先生ったら、奥様だなんて。お義母様と呼んで頂戴!もう私たちは、家族の様なものなのだから!そうだわ、私も今からセリーナちゃんと呼ばせていただくわね!確かにセリーナちゃんの言う通り、2年もの間治癒師として仕事をして来たのだものね。ダンスやマナーが不安なのも分かるわ。だからね、パーティーまでの1週間、マナーやダンスの家庭教師を付けたの。だから安心して!」


嬉しそうに笑う夫人、じゃなくてお義母様?そもそもただの居候に近い私が、夫人の事をお義母様呼びなんてやっぱり変よね。って、そんな事どうでもいいのよ!それより、私の為に家庭教師を付けてくれたですって!1度きりのパーティーの為に!


「あの…でも…」


「セリーナちゃん、あなたは伯爵令嬢なのよ。借金も無くなった今、令嬢として生きて行く事も考えないと!とにかく、明日から早速レッスンが始まるからよろしくね。そうそう、ドレスなんだけれど、私の着ていたものを今の流行りに合う様リメイクしたのよ。アクセサリーなどは明日宝石商が来るから、一緒に見ましょうね」


どうやら私には拒否権と言うものが与えられていない様だ。それにしても、公爵家のパーティーに参加するなんて気が重い事この上ない。でも、やるしかないか…


翌日

早速マナーとダンスのレッスンが始まった。


「セリーナ様、歩くときは背筋をしっかり伸ばして!」


「紅茶を飲むときは食器の音をたてない!」


などなど、物凄くスパルタなマナーレッスンが始まった。でも、パーティーに紅茶なんて飲むのかしら?そう思って先生に聞いたら


「あなたは伯爵令嬢なのですよ!これからお茶会にも参加するのです。覚えておいて損はないのです!」


そう言われてしまった。


正直私は治癒師として生きて行くつもりなので、令嬢としてお茶会に参加するつもりはないのだが…もちろん、口答えなんて許されない。


午前中みっちりマナーの練習をした後は、お義母様に呼ばれ宝石を選ぶ。ちなみにうっかり“奥様”や“夫人”と呼ぶと、“お義母様”と言い直させられるのだ。正直面倒だが、仕方がない。


「セリーナちゃんには、このサファイアがよく似合うわ。ほら」


目ん玉が飛び出そうなほど大きなサファイアを、私の耳にあてるお義母様。


「母上、僕の瞳の色のアクセサリーが良いから、やっぱりエメラルドが良いんじゃないかな?」


「確かにエメラルドも良いわね。それならルークはセリーナちゃんの瞳の色に合わせて、サファイアにしなさい」


「そうだね、そうするよ!」


なぜか隣で盛り上がる親子。そもそも、どうして私とルーク様がお互いの瞳の色のアクセサリーを付けないといけないのだろう。そう思いつつも、午前中のマナーレッスンで疲れ切っている私は、反論する元気もない。結局2人が好き勝手に選んで終了だ。それにしてもあの宝石たち、いくらくらいするのかしら?きっと目ん玉が飛び出るくらい、高いのだろう。


なんだかめまいがして来たわ…


そして午後はダンスレッスンだ。ただ有難い事に、子供の頃習った事を体が覚えていた様で、意外とスムーズに踊れた。私のダンスに付き合ってくれたルーク様からも


「セリーナはダンスが上手だね。これならきっと大丈夫だよ」


そう言われたくらいだ。それでもみっちり3時間ダンスを躍らされた。もちろん、ダンスに付き合ってくれたルーク様も3時間踊っていた。それなのに、顔色一つ変えていない。私なんて、立ち上がれない程クタクタなのに。


この人、一体どんな体力をしているのかしら?7年近く闘病生活を送っていたはずなのに、ダンスも完璧だし。もしかしたら超人なのかもしれないわね…


「少し頑張りすぎちゃったかな?大丈夫?セリーナ」


座り込んで立ち上がれない私に声を掛けるルーク様。


「だ、大丈夫ですわ…少し休めば…て、何をするのですか?」


急に私を抱きかかえたルーク様。一気に心臓がうるさくなる。


「何って、セリーナが歩けなさそうだったから、部屋まで運ぼうと思って」


「大丈夫です、自分で歩けますから」


必死に訴えるが、涼しい顔で歩き始めた。大きくて立派な胸板が目の前にある。それに、あれだけ汗をかいたはずなのに、ルーク様からは良い匂いがする。


ダメだ、これは反則だわ!きっと私の顔は茹でだこの様に真っ赤ね。それにしても、ルーク様ったら涼しい顔をして!私ばっかりドキドキしてバカみたいじゃない!


ルークに抱きかかえられ、完全に動揺しているセリーナであった。

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