1話
この体の持ち主の散歩コースを歩きながら過去のことを振り返る。もう二度と私は的場 歩をやらないつもりなのだ。
私の計画は、ニホンのみならず世界を壊すことである。正確には世界の終わりに争い合うみんなを見ながら死にたかった。
私は中学校の頃から何度も色んな人の友情を壊してきた。3年生の頃は2年生の頃から1年かけたりもした。そこの白鳩には理解できないでしょうけど。
この転生世界はニホンをベースとして作られた。それはもし、私が悪女を操る必要があればニホンの文化と言語があると楽だからだ。唯一ニホンと違う点は、魔法というものがあるという点。でも転生世界にだけあるとニホンを壊せない。
だから魔法を使う全ての人間は、動力に人間の体内の水分少量使うと簡単に魔法が使えるようにした。失い過ぎると死んでしまうから。また、使い方を知っているならどんな世界でも使えるという設定した。先のことまで考えて全部私の都合良く設定した。私の為の世界。
この悪女、宮本 叶絵は高校2年生の17歳。そもそも色んなプレイヤーにこのゲームさせて叶絵と入れ替わるか、とかの実験もしてたから恋愛ゲームをベースにする必要があった。だから高校2年生。
代々魔族を作ったり、操ったりする魔法を引き継ぐタイプにした。対人間用にはこれが良い。でもこれは恋愛ゲームだ。それだけで悪女叶絵がヒロインを襲って負けるはずがない。
過去を振り返っているとどうやら家に着いたようだ。うーん。代々引き継ぐタイプは伝統ある家がいいってイラストレーターが決めたけど、和風のどっしり構えた家は魔法とは合わないと思っちゃうなぁ。
父、母、叶絵の3人暮らし。たまに練習として魔法で叶絵が作ったペットを飼うが、操れずそのまま殺処分される。そんな日常。
「歩、どこに行ってたの。」
歩?叶絵の母は私を歩と認識している?それに娘の行動にいちいち気にしない性格のはず。この家は別に魔法以外は厳しい家じゃない。むしろ放任的な方。孤児院のおばちゃんが私に結構関わってきて面倒だったから。愛は信用できないから。
もしかしたらここは的場家になっているのかもしれない。それなら尚更入れ替わることに成功した、という根拠になるのではないだろうか。
「突然出てってごめんね、ちょっと散歩してた。魔族いたら操る練習もできるかなぁって。」
叶絵の母は私が実の娘であると疑わないだろう。そもそも父も母も叶絵をあまり気にしない。
「そう、明日は学力魔術テストがあるから水筒用意しときなさいよ。」
私と叶絵が入れ替わったからか知らないが、恋愛ゲームの物語のプロローグに入るのだろう。なんてこんなに運がいいのだ。あとはこのゲームのヒロインと関わっていないように見せて生き延びて、ニホンが終わるというメッセージを見よう。
あの森から白鳩がついて来ていたのだろう。気づいたら私の部屋の窓枠に止まっていた。こっちには入れないよ。
寝る前に自分の姿を見たら叶絵の見た目をしていなく、私の見た目のままだった。入れ替わり転生のような事ができた証拠だと思おう。
白鳩がこちらを見つめていたのでカーテンを閉めなかった。朝になるまでこちらを見ていた。
この世界は魔法の使い方を知らないと魔法は使えないのだ。そう設定したのは私自身。私が魔法を使えるはずもない、という事に気づいた頃は魔術テスト中の事。
魔族を操ることも、作ることもできずにいる私は魔術テストを打ち切られ、点数無しの落ちこぼれ扱いとされた。代々引き継いできた能力であり、ゲームの設定上90点以下を出さない優等生。完璧な少女。完璧な少女をヒロインとヒーローが倒すハッピーエンドが恋愛ゲームのシナリオの前提なのに。私の物語なのに!
宮本 叶絵の人生を的場 歩の物語と履き違えたあの時の私は、あまりに幼すぎたのである。だから望まない悲劇が起きるのだ。
宮本 叶絵:みやもと かなえ
私の願いを叶えてくれ、という意味で叶絵。魔族を操って街が襲われないようにする外交官のような役割をしている。
歩の口癖は「私が」「この私が」のような感じで自己中であり、自分中心の考えをしているように動いて貰ってます。人とのコミュニケーションを幼い頃から真剣に取り組んでいないので、相手の気持ちが分からない無能なネットイキリみたいな振る舞いになっています。