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月曜日 メンバー集め

「高須さあ、俺にもう一回書かせてくれないかな、それではっきりするからさ!!」


そんな修介の言葉に高須はものすごい嫌な顔をしてこう言った。


「やだよ、おまえ絶対嫌な事書くだろ?渡さないよ!」


「そう考えるのは仕方ないけどさ、俺、まだその鉛筆が本物かって信用できないんだよ!だってそうだろ、俺まだ一回しか使ってないからさ・・・なあ貸してくれよ、悪いようにはしないからさ!な、な?」


修介は必死だった。

この鉛筆が本当に人を操れるのならば、所有権が発生している人物は自分である。だからこそ、メインで持っている者は自分でなくてはならないと思ったからである。

そして、本当に本物かという自分の核心を持ちたかったのだ

高須はそんな修介の必死な形相に圧倒されてしまった。


「わっわかったよ、悪いようにしないなら・・・な」


「ありがとう」そう言って修介は受け取った。


「で、何書こうとしてんだよ!心配だから見させてもらうぞ!」


高須は修介の命令をのぞこうとする。


「いやいや、あほ、そんな見てたら効果ないだろうよ意味ないから!」


「でもよ、これ見たって結局動かされんだろ?だったら別に見ようが見まいが関係ないじゃん!」


その言葉は確かに核心をついていた。

それに反発出来なかった修介は別にやましい事もなかったので高須にメモを見せながら命令を書くことにした。


「えーっとなになに~(高須 佳悟 電話した彼女から弁当の差し入れを誘導する)」


そんな気を持ち上げるような事を書いてみる。


「そんなあったら嬉しいけどね。あいつ、そんなに気を遣うような奴じゃないからさ」


とひねくれたような事を高須は言う


「で、なんだ電話すりゃいいのか?なんか、これ命令じゃないような気がするけどまあいいか」


そう言いつつ毎回ベタベタな会話を電話で繰り広げる高須は半分ウキウキしながら彼女に電話をかけ始めた。


「あ、もしもし、しのぶ!あのさあ」


「ケイちゃん、私の初お弁当食べてみない」そういう会話が聞こえた。


高須は目を丸くしていた。


「おまえ、いつもそんな気を遣うような事しないのによくもまあ弁当なんて気の利くような事してくれたね。」


そんな皮肉を口走る。

すると、食堂の入り口からその彼女が携帯で話しながらこちらに歩いてきた。


「だって、この間デート中にちょっと叱られたしさ、自分でも気が利かないってわかってるし、たまにはこういう気の利いた事してあげないとっておもって~」


ともじもじしながら高須に話しかけてきた。


そんなあからさまな反応があってたまるかと思いつつ、二人の会話を傍らで頬杖をついて聞いていた。


「しかし、タイミングよかったよ俺の弁当さっきぐちゃぐちゃになってさ、困ってたんだサンキューな」


アツアツな二人を見ててちょっとイラッとしてしまったが、まあいつものことだと気持ちを切り替えて高須に話しかけた。


「これってさ、偶然になるのかな?おまえ誘導してないじゃん?」


高須はちょっと嫌な顔をしながら俺に切り返す。


「別にいいだろうが、弁当は一件落着なんだしさ」


そういうと、しのぶさんが口をはさんできた。


「実は、ケイちゃんの弁当ぐちゃぐちゃになるの偶然見ちゃってさ、私の弁当あげよっかな~って思って・・・アッでもこれ本当に私が作ったやつだし、それに実はちょっと多く作っちゃったからさ、一緒に食べるの丁度いいなぁって~・・・」


電話で誘導ではないが、実はすでに気持ちの誘導をしていたということだったのか?俺はそう思い込みで納得し、「この鉛筆は本物だな」そう呟く。


二人は楽しそうに会話をしている。どうやら自分の入る隙は無いらしい、高須に素振りで「じゃあ」とあいさつをして食堂から出て行った。

その傍らで高須としのぶさんは学校の中庭に歩いていくのが見えた。


「仲良く二人で弁当を食べるわけか」


そう思いながら俺は次の授業の部屋へ向かった。

「彼女欲しいなぁ」とつぶやく、教室の端の椅子に座った俺は不意に窓から空を見上げる。

飛行機雲が空に線を描く、秋の空は澄み渡り太陽は少し申し訳なさそうに光っていた。


 今日の講義は終わり、これからサークルの時間である。

俺はSF研究サークルという所に所属している。

メンバーには高須もいるわけだが、その他俺と高須含め6人のメンバーがいる。メンバー全員SFに関する人物を敬愛しており、俺はレイ・ハリーハウゼン、高須はHGウエルズである。


またメンバーには二つ年上の国原拓氏という先輩がいる。彼はスティーブン・スピルバーグ、彼は俺の高校の先輩でその時代から知る顔見知りである。


二兎 正蔵君、みんなからは正蔵君と呼ばれている。彼は二つ下の19歳でジュールヴェルヌを敬愛している。とびぬけて頭が良く、しかも気前が利く性格をしている。


菊池 一平、みんなからは一平さんと呼ばれていて俺とは一歳違いの22歳だが同じ学年で一緒に授業を受けている。彼はバックトゥザフューチャーの大ファンでその影響がらロバートゼメキスを敬愛している。

更にはウルトラマン好きで俺とは馬が合う、特撮の神様、円谷英二の話をすると盛り上がるから、彼とはいつも遊んでいる仲である。


神奈 恭介、みんなからは恭介先輩と呼ばれている。25歳の浪人生で、SF研究サークルを立ち上げてくれた張本人である。庵野秀明の大ファンでエヴァンゲリオンは彼にとっての聖書(バイブル)らしい、また押井守のファンでもありパトレイバーを好んでいる。

彼はロボット好きでいろんなロボットアニメを見てきているらしいのだが大定番ともいえるガンダムはあまり好きではないらしい、特にはエヴァを好むがマクロスもその次に好きなロボットアニメだそうだ、彼はそんな話になるとすごい熱が入って暴走が止まらない、収まるまでが大変だが、その話はみな同じような気質なのであまり苦にならずに聞いている。


そんなメンバーが、部室に入ってきた。

俺は高須に鉛筆を持ちながら目でサインを送る。すると、高須は何かを悟ったかのように俺にすり寄ってきた。


このサークルは特に何かを皆でやるわけでもなく、パソコンでカタカタ調べものをしたり、個人で好きな作品のSF事情を研究するというだけのもの、自由なのだ。


俺は高須と鉛筆について話を始めた。


「この鉛筆の面が6面だろ、俺とお前はすでに登録されてるわけだけど、残り4面があるわけだ!メンバーが丁度残り4人だから、鉛筆に全員登録できるわけよ!これでちょっくら遊んでみないか?効果は身をもって実証済みだろ」


俺のこの言葉に高須は、にやけ顔で答えた。


「俺わかってたよ、お前絶対にそういう遊びしようとするだろうなって!」


「とにかくさ、どうする。お前にやったみたいに最初から皆に説明しちゃうか?」


高須と相談しながらこの遊びを楽しもうと俺は企んでいた。

だけど、この判断が後から最悪な結果を生むことを俺は知る由もなく、単なる遊び半分ではじめてしまった。


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