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11-2

今日は暗黒神官デイジーと2人でお出かけ。

テレポートで王都のスラム街へとやってきた。


「ヒロト様ーここまで送ってきて貰っていうのはなんなんですが私と2人でいいんですか?」


「いいって何が?」


「アプリコットさんですよ、正妻ですよね? 私も挨拶にいってあくまでハーレム要因だからねって釘さされたんですけどおでかけはいいですかね?」


「多分大丈夫、というかハーレムはよくておでかけはマズいというのは基準がわからない」


「乙女心は複雑なんですよお」


などと話しながら2人で歩いている。


スラム街というだけあってなんかガラの悪い人がウロウロしている、だが特に何かしてくるわけでもなく道端で寝転がってたりキセルみたいなのでなんか吸ってたりするくらいで平和な場所だった。

平日の午後、辺りは平和だった。


「今日はお墓参りです」


「好きな人のお墓?」


「好きな人のお墓にしか墓参り行きませんよー? 嫌いな相手だけど義理で行ってるとか墓で眠ってる相手にも迷惑なんじゃないですかねえ」


お墓に到着した。

なんか墓の上にテントみたいなのを立てて謎の男が住みついて寝てる。

この辺りは土葬なんだろうか、野犬か何かに掘り起こされた骨が散乱している。人の頭蓋骨もいたるところに落ちている。


暗黒神官デイジーが錫杖をふるってテントを破壊する、テントの中で寝ていた男が起きるが何か言う前に暗黒神官デイジーは錫杖で殴り殺した。


墓参りなのにあっさり殺すなあ。


「このテントとかは?」


「1年ぶりにきましたからね、よくわからないのが住みついてたりすることもあるでしょう、まあ蜘蛛の巣みたいなもんですね。ちなみに夜になると麻薬中毒者と密売人が集まってくる場所でもあります」


なんか語りだした。


「ここは私の息子の墓です、年の離れた姉弟ってことになってますが……息子が死んで以来、私はなんとか息子を生き返らせる方法はないかと探し回っていました、そして22歳の時にハイミル教の門を叩いたのです、謎の能力の持ち主がいるとしたらここかと思って……そしたらすごい才能がどうたらこうたらと騒ぎになって……」


なんか自分語り始めちゃったよ、というか暗黒神官デイジーっていま何歳なんだろうか。

それはそうと命の重さみたいなことを言っているがそれを言うならさっき殺した男の命も大切な命なんじゃないのか。


とりあえず生き返らせてやるか、ただ寝てただけだしな。


「死者蘇生」


「そうです、私は死者蘇生ができないかと探し求めて……」


暗黒神官デイジーがこっちを向く。

さっき殺した男が生き返っていた。

何故か男性用の暗黒神官の服に着替えている。

アンデット要素を含まない完全な死者蘇生だがやはり一回死んで生き返ると何かは変わるらしい。

バンジージャンプどころじゃない凄い経験だろうしな。

他にも少し変わっているようだが誤差だよ誤差。


「……」


暗黒神官デイジーが呆然とこっちを見ている。

男は走って逃げていった。


「ヒロト様、今のは」


「死者蘇生だけど」


「ここ、ここに使えますか?」


「できるけど、死者蘇生」


墓が闇に包まれる。

やっぱり闇である。


闇がおさまると1人の男が立っていた。

20歳くらいだろうか、さっきの男が着ていた暗黒神官の服よりちょっと豪華な服を着ている。

基本的に真っ黒なことは変わらないが幽かに赤く輝く線のような装飾があって禍々しい。


改めてよく見てみるがアンデット化はしていない。完全な死者蘇生だ。


「おお、成長している!?」


「あれ? ママ?」


「そうだよママだよ、デイジーママだよ、大きくなったねえ、立派になったねえ」


おお、感動的な場面だ。


「息子が大きくなったら童貞は私が貰うって友達とかに公言してたんだけど、ヒロト様が居るからやっぱりマズイですかね、息子とはいえ他の男は」


「はっはっは、断る」


俺が答えるより息子の方が先に爽やかに断った。

まあ普通にイヤだよな。


「俺とは無関係にイヤがってるぞ」


「しょうがないですねえ」


暗黒神官デイジーちょっと残念そうにひきさがった。


息子がこっちを向く。


「はじめましてヒロト様、大暗黒神官ビクトリアです。ただいま馳せ参じました、死神にも狩りとれぬ強い亡霊としてぼんやりと町を眺めていた私に再び生を与えてくれたことを心から感謝し、忠誠を誓います」


大暗黒神官だと……ただの墓参りのつもりが凄い拾い物をしちゃったぞ。

そもそも暗黒神官デイジーからしてハイミル教でも凄い才能の持ち主とか言われてたらしいし、その息子なら凄い才能を秘めていてもおかしくはない。


必要じゃなきゃ男なんか見たくもない俺だが、その俺でも近くにおいてもいいくらいの爽やかイケメンだしな。


「ああ、よろしく」


「じゃあ私が前に居たお店にいきましょう、ここから歩いてすぐですよ」


とりあえず言ってみることにしたら……そこはスラムにあるやたらと立派な売春宿だった。

周囲の建築物がみんなボロいのにここだけはしっかりとした作りになっている、余程儲かっているのだろうか。


暗黒神官デイジーはどんどん入っていく。

ちなみに大暗黒神官ビクトリアの服は目立つので着替えた。

お金は暗黒神官デイジーが出した、天使アイリーンと一緒に町をうろうろするにあたってお金はいっぱい持っているということだった。

そんなにいっぱい現金持ってたら危ないのではないかと思うが、そもそも盗もうとする相手が寄ってくることを誘うつもりで現金をいっぱい持っているらしいので問題ないらしい。


店に普通に入っていく暗黒神官デイジー、俺と大暗黒神官ビクトリアはキョロキョロしながら入る。

なんともギラギラしたいかにも夜の店ですと言わんばかりの店だった。

内装もかなり凝ってる。

それともなにか、国のVIPがお忍びでやってきたりする店か?


「ここって国の偉い人がお忍びでやってきたりする店だったりするの?」


「あれえ? ヒロト様知ってたんですか? ここプリムローズは店の一番人気だった娘は今はこの国の王様のハーレムに入ったくらいなんですよ、まあもっともこのお店に在籍できるって時点でこの国一番の店に在籍だから相当なものなんですけどねえ」


入るとサーベルを腰に装備した男2人を従えたお姉さんが出てきた。


「開店はまだ……ってデイジー!?」


「はあい、こっちは私の息子、童貞捨てさせようかと思って、こっちは私の愛人というかご主人さま、今日は貸し切りでいいかな」


「そりゃ貸し切りはいいけど高いよ」


暗黒神官デイジーが懐から他とはデザインが違う金貨を1枚差し出す。

それを見たお姉さんが慌てたように両替屋呼んでとか言ってる。


そうこうしているうちに中に通された。

女の子達がいっぱい集まっている。


ふーむ、せっかくだし社会勉強をするとしよう。

この世界の風俗事情を知るという学術的に意味のあることだ。

大暗黒神官ビクトリアもイヤそうじゃないし。


そんな大暗黒神官ビクトリアが言った。


「それじゃあ、このお店で一番若い娘がいいかな」


「若い娘はいっぱい居ますが、お客をとれるようになるのは13歳からなので13歳が一番若いですね」


「じゃあ13歳の女の子で」


「今お店には13歳は7人居ますが、誰にいたしましょうか、こちらで選ぶか指名するかですが」


おお、爽やかイケメンくんロリコンだったのか。

ちなみに俺はロリコンではないぞ。


その後、女の子と遊ぶだけじゃなくて豪華な夕食を食べ、温泉に浸かり、ふかふかのベットに宿泊した。

帰ったのは翌日の昼になってからだった。


なんていい店なんだ、これは王様もこっそり来るだろうな。

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